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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第3章
55/80

054 壊門前

担当:四葩

「ありがとね、これ」

九つの鉢植えされた植物を示しながらアンジェが言う。

鉢の底には先程の爆弾もどきが入っているし、なんなら植物の方だって持ち出し禁止の代物

リスクを侵してまで協力してくれたことに感謝だ

「いえいえ。私も趣味に合ったものが少なくて……楽しかったですよ」

一点の曇りなき眼がキラキラと満足げに満たせているから謙遜ではないだろう……

謙遜なわけない、あんなにも楽しんでいたのだから

アンジェのヤオに対する認識が大人な憎めない奴、から欲望に忠実な腕白少年となっていたのは本人だけが知っている。

「日付が決まるまでソレよろしくね」

仕掛ける日までこの爆弾は預けるしかない。

なんせこの国の気温で難なく爆発が起こるのだから

「はい、お預かり致しました」



「あっ……」

部屋に戻ると一つのベッドが人形に盛り上がって覗き込めばぐっすりとあどけなく眠るエルがいた。

「寝かせておこうかしらね」

一人での長旅に疲れただろうと離れてみたとたんにパッチリとエルの瞳が覗き起き上がる。

「おはようエル。……どうしたの」

おかしい……礼儀正しいエルが返事を返さず一点を見つめ続ける

「来る」

いつの間にか起き上がっていたエルが視線の先とアタシの間に入る。

視線の先の床が浮きがあったらエルが飛びつく

「エルっ待ってっ」

そう叫べば間一髪にエルが止まると

「熱烈な歓迎をありがとう」

クスクスと自分を討とうとした少女とそれを止めたアンジェにニアは微笑みかけた。



「……んでアンジェ以外は初対面だな、オレがルイ、こっちのがシナだ。であんたに襲いかかったのがエル」

「よろしくね」

「その節は申し訳ございませんでした」

ニアが来たことでルイたちを呼ぶとルイが自己紹介を始め、エルの言葉にニアが首を降って応える

「よろしくお願い致します。ニア-ジウアロです。……して、準備は整いましたか」

ピリッとした空気を纒ながらニアが訊ねた

「爆弾は準備出来たわ。あとはヤオへの対価を渡せば大丈夫よ」

「対価の葉はここにあるわ。明日にでもヤオに渡せば石も手に入るでしょう」

問いにアンジェとシナが応えれば満足げに微笑んだ

「素晴らしい。依頼して正解でした……本当にありがとう、ありがとうございます」

深々と頭を下げるニアに一同が驚き頭を上げさせる

「段取り的には明日ヤオに対価を渡して石が手に入ったら夜に爆弾を仕掛けて明け方に門を破壊……ここまではいいかしら」

アンジェが確認すれば頷きが人数分返ってくる

「その後は皆さん港に向かってください。ブシュリカの船が留まっていますから……後赤い石の現在の居どころはアーサーという方がご存知ですので彼に伺ってみてください」

「ブシュリカ?あの大国が?」

ルイが訝しげに先を促す

「ええ。門の爆破の後はブシュリカに攻め入ってもらい王族に貿易を条約させます」

「そんなこと出来るの」

眉をひそめたシナにニアが自嘲するように小さく笑いながら頷く

「出来ますよ。奴らはこの条件をのむでしょう……自分たちが少しでも生き永らえるために」

「国民は?反発があるんじゃないの」

アンジェが訊けばそれすらも想定していたかのように首を横に振る

「この国にだって若者はいるんですよ……外界に憧れを抱きつつも隠している若者たちが……私には老いぼれなんぞどうでもいいのです。次世代を成す者さえ救えれば、それが私の届く範囲ですから」

そう言いきったニアは幽閉されていたってやっぱり王族なのだ。傲慢で、自分の領分が理解できている国民の上に君臨する者だと全員が感じたのだろう

それから先反論はなかった




「来る頃だと思いました」

ニアとの打ち合わせが終わり次の朝日が昇ったあと、ヤオのもとへ向かった。

「ほんと怖いぐらいだわ。その察知能力」

本当に人間なのかしら

「血の色は赤ですよ、私」

「……だから思考を読まないでちょうだい。はい、これが言っていた葉でしょ」

エルが採ってきた葉を袋ごと渡す。

「えぇ確かに。これで呪石がお渡しできますよ。中でお茶でも呑んで待っていてください」

中身を確認したヤオがにこやかに笑い部屋の奥へ進む


お茶を頂いているとキンッと金属のぶつかり合ったような清んだ音がした。

「お待たせ致しました。これを」

ヤオが差し出したのは紛れもなく眼鏡についていた石だった。

空よりも深く静かな青色がころりとあたしの手のひらに転がる

「確かに受け取ったわ」


出ていこうとしたあたしを呼び止めてヤオがもう一度最終確認をしようと茶をいれてくれた

そういえば、ずっとフヨンの姿を見ていない

「フヨンは?明日の明け方には門爆破しちゃうわよ」

「大丈夫ですよ。もうフヨンは他国へ遣いに出していますから」

「ふうん。遣いに、ねぇ」

それはきっとここには戻ってこれないような、そんな遣いにだろう

「ヤオはこの後どうするつもり?」

ふと、目の前で微笑む青年が気になった

彼はどうするのだろう……急に霞に消えてしまいそうに思えた

「うーん特には考えいませんでしたね。先程の条約ならば外聞を拡げに海に出ても良いですねぇ……いっそアンジェさん方に着いていこうか……」

「いいんじゃない……まぁ他の三人がどういうかだけどね。腕っぷしもあるだろうし、医者代わりになるし」

考えたらなんだかいい拾い物のような気がしてきた

「ふふふ」

いきなりヤオが笑いだす。

「え?なに」

「いえ、アンジェさんは本当に損得勘定で関わるのですね。同情するのではなく」

嬉しそうに微笑むヤオになんだか居心地が悪い




「では夜に」

なんだか又もや手のひらで踊らされたような気がしないでもないが、予定は概ね成功したしまぁいいか……

夜から朝方はきっとバタバタと忙しいだろう


昼寝でもしておこうか


番外編を含めですが毎週更新継続中です٩( 'ω' )وそろそろここも終わりですね!やったぜ!

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