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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第3章
54/80

053 予感

担当:宮居

エルとの通信を切ったシナは早速、魔法水の制作に取り掛かった。

本当はルイも居てくれた方が成功率は上がるんだけど、そうは言っても仕方ない。ウルを呼ぶのは嫌だし、アンジェじゃ無理だろうし、1人でやるしか。

まぁ、中途半端に人の手を借りるくらいなら1人でやった方が成功すると思うんだけど。


「にしても何に使うのかしら」

魔法水は蒸発しない不思議な水。

生物が飲むと体の中に留まってしまうから良くないとされている。

エルの口から魔法水の名を聞くなんてね。

術式を組みつつ手を動かし魔法陣を作る。

適当なボトルも用意して。

「さて、上手くいくかしらね?」



「さて……薬草は見つかったけど次はフェアリーを回復させる術を見つけなきゃなんだよね……?」

「今知り合いが魔法水を準備してくれるかもしれないんだけど……」

「魔法水作れる知り合いがいるの?」

「作るのかな……?あ、噂をすればだ」

フェアリーたちが休んでいた小屋に戻ってきて話していたらシナから通信が入った。


『上手くいったわ。今から送るから待ってて』

『ありがとう』

そう言うと目の前の空間が歪んだ。

そしてそこから……

「よっと。お待たせ」

シナが出てきた……

「わっ人が!」

アムも驚いている。フェアリーたちもだ。姿見えてるのかな……?

「はじめまして。はい、エル。何に使うか知らないけどこれが魔法水よ」

ボトルを手渡される。振ってみると水の音がした。

「ありがとう……」

「どういたしまして。じゃあ帰るわね。あ、薬草は見つかった?」

「うん、充分な数あると思う」

「良かった。じゃあ後で。鈴鳴らしてね」

そう言って手を振ってシナは帰ってく。

またあの空間の歪みを使って。これも魔法?


「……今の何?」

「知り合いの魔法使い」

「あんなこと出来る魔法使いいるんだ……」

便宜上シナには魔法使いになってもらって、

「フェアリーたち飲めるかな?」

フェアリーに水を持ってく。

小さなコップをアンナが持ってきてくれた。それに水を入れて、フェアリー達に飲ませる。

たちまち服の色が戻ってきて、顔色も良くなって、そして。

「ん……?」

フェアリーたちが起き出した。


「やった!エル、ありがとう!」

ミミリィは大はしゃぎだ。

「え、エル?ん?あれ?」

一方、泉のフェアリーたちは困惑している。

「ずっと寝てたんだよ。何があったの?」

「……わからない……泉が消えてしまうのを見てからの記憶がないんだ……」

「ドラゴンが飛んできたのが見えて、その泉の水が無くなったの……」

「原因はなんなんだろうね?」

「ドラゴンに誰か乗ってなかった?」

「よくは見てないからわからないや……もしかしたら乗ってたかも」

「そっか……」

ドラゴンが原因なのか、それとも別の何かが原因なのか、それがわからないんじゃ……

「……エル、あとは任せて。貴方は仲間の元に帰って?」

アムが言う。

「その魔法水だけとりあえず貰っていい?これでフェアリーたちとどうにかして見せる。貴方はまだ旅があるんでしょ?全部終わったら、また会いましょ?」

一瞬迷ったが、頷いた。

あとは任せることにする。薬草を手に入れることが目的だったし……アムに任せれば大丈夫だ。この国で1番、フェアリーたちと仲良いはずだし。

鈴を鳴らす。

「じゃあ、あとは頼んだよアム」

「まっかせといて。次帰って来る頃には綺麗な泉にしておくよ。絶対帰ってきてよね!」

それに頷く。握手をして私は山を降りることにした。


『今迎えに行く。動かないで』

シナからメッセージを受信し、動きを止めた。

森まで降りて来たところだった。


また、空間が歪む。


「よっ。さぁ、帰りましょうか」

歪んだ空間からシナが出てきた。これ、どうなってるんだろう?

頷くとシナが手を差し出す。繋げってこと?

手を握ると空間に引きずり込まれた。

「目、閉じてて」

眩しい光が見えて、目を開けていられなくなった。一応頷いて目を閉じる。


「着いたよ」

声に目を開けて辺りを見ると、宿屋の部屋だった。ベッドにはルイが寝てる。

「お疲れ様」

「ありがとう……」

ポケットから薬草を取り出して渡した。

「へぇ、これが」

シナはひらひらと薬草を振っている。

「うん、ヤオに見せればいいと思う」

「そうね……ありがとう。お疲れ様」

「どういたしまして」

「2日足らずで持ってきてくれるとは思わなかったわ。そろそろルイも起きるだろうし……アンジェが帰ってくるまで、貴方は休んだら?」

アンジェはどこかに行っているのだろうか……でも、そうだな。少し疲れたし……

「そうする」

「じゃあこれは預かっとくわね。おやすみ」

「うん、おやすみ」


薬草をシナに預けて部屋を出る。

隣の部屋に入ると、確かにアンジェはいなかった。どこかに行ってるのかな……

……とりあえず今は休もう……

シャワーを浴びて、ベッドに入る。

目を閉じるとすぐに夢の中に落ちていった。




「ふわぁ……」

「あ、おはよう」

「おはよう……何も無かったか?」

ルイが起きた。寝ていた間の話をする。

「ふーん。そうか。まぁちゃんと帰って来れて良かった。アンジェはいつ帰ってくるんだ?」

「夕飯までには帰ってくると思う」

「じゃあその時に今後の計画を話すか」

「そうしましょ」

ルイに頭をぽんぽんっとされる。

「ありがとうな。今回も助かった」

「別に、感謝されることじゃないよ。襲いにくるようなやつはいなかったし」

「それでもだよ」

ニコッと笑う。久々に見る表情。

なにかあったのかな……?

法術の疲労で寝てしまった場合、不思議な夢を見ることが多いって言ってたし。

「もう少しでこの国ともお別れだな」

「そうね。石がちゃんと回収出来たらいいんだけど」

「それなんだけどさ、あの石、どう思う?」

「どうって?」

「呪石って言われてるけど、術式がちゃんとしてない気がするんだよな」

「あぁ、それは確かに、そうかも」

シナの首輪を外す前まではちゃんと術式が組まれている呪石だった。全般強化系の呪鎖らしいものだった。

シイの腕輪も、シイの腕に付いてるあいだはちゃんと、行動範囲制限の呪鎖が組まれていたはずだ。それを感じた。けど、今は?

「アンジェがなぜあれを必要としてるのかがイマイチわからなくてな……」

「現状、うっすらと術式が残ってるだけの石……よね」

「集めたらなにかあるのか……?」

「呪石を集めたら、なにかが起こるなんて聞いたことないけどね」

「まぁ……付いてきゃわかるんだろうけどな……シナも今後、ずっとアンジェに付いてくか?」

「ルイは?」

「一応、最後までついてく予定」

「仕事はいいの?」

「まぁなんとかなるだろ」

ルイがそう言うなら、答えは決まってる。

「アンジェにって言うより、ルイに付いてくかな」

「そう来たか……。まぁ、呪鎖と魔法の組み合わせなら、シナが1番だから居てくれた方が心強いが……なんか、嫌な予感がするんだよな……」

ルイのこういう勘はよく当たるのよね……。

大事にならなきゃいいけど……。



石はもうすぐで3つ目。

無事に石を入手して、この国から出られるかしら……?

モチベはあるけど「これ小説としてどうなん??」みたいな文章ですみません。


次週は番外編更新します。

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