051 在処
担当:宮居
「さて……予想通りなわけだけどこれどうしようか?」
「うーん……フェアリーたちは?」
「反応無し。とりあえず周辺探ってみる?」
「そうしよう。フェアリーたちが見つかればいいんだけど……」
「反応見ながら歩いてみるね」
「お願い」
大きな穴の脇を歩いて、さらに奥の道へ進む。
あ、薬草も探さないと。
滑らかな斜面を上に進む。この上には確かに小屋があったはずだけど……
「小屋の方から声がするね……」
「行ってみよう」
フェアリーたちだけとも限らないので慎重に進む。
声が大きくなってきた。
「メアー……起きてよ~」
「泣くなよミミリィ……」
「だって……うぅ……いつになったら起きるの……?」
小屋の前まで来た。反応はフェアリーたちだけみたいだ。仲良かった子の名前が聞こえるし、多分大丈夫。
扉をノックする。多分彼らも気づいているけど。
「……エル、とアム、かな?」
フェアリーの力で扉はビクともしない。
「そうだよ。助けに来た」
勢いよく自分ら側に扉が開いた。ぶつかりそうになるのを避ける。
「エールーっっっ」
泣きながら、森のフェアリーのミミリィが飛んでくる。
それを胸で受け止めた。小屋の中を見ると他にもフェアリーがいる。泉のフェアリーと森のフェアリーたち。
「そいえば帰ってきたんだってね!久々だねぇエル。まぁ、再開を喜ぶ暇はそんなにないんだけどさ」
森のフェアリー、アンナが言う。
森のフェアリーは全部で3人。
アンナ、ミミリィ、ルーシャだ。
泉のフェアリーは4人。
メア、コルト、クリィ、ルワ。
ミミリィとクリィは双子みたいにそっくりな見た目をしている。
名前の音が同じだと容姿も似やすいらしい。
お城にいると噂の虹のフェアリー以外はみんな女性の、可愛らしい見た目をしている。
「泉の水が枯れちゃって、みんな起きないんだ」
フェアリーは空中に力無く浮かんでいる。
洋服の色も、元気だった頃とは違い色褪せている。羽根もだ。灰色。透明感がない。
「何があったかわかる……?」
「地震があったんだ。大きな地震。ドラゴンが飛んで来て」
「そのあとみんなこんな感じ……特にドラゴンがなにかをしたって訳じゃないんだけど……泉が枯れて、フェアリーたちも力を無くした」
「うーん……。泉に水を蘇らせても、フェアリーが元に戻ってくれないとまたすぐ枯れちゃうよね……」
「そうなんだ。多分、魔法水がないと……」
魔法水は蒸発もしない不思議な水。魔力も持っていて、生き物を回復させる力がある。
しかし残念ながら、この島ではそれが湧き出る場所はない。
フェアリーたちを回復させる量あればいいのだけど……。
アンジェたちに、頼めるかしら……?
「魔法水、確証はないけど、フェアリーたちを回復させる分くらいは用意できるかも……」
「ほんと!?」
「知り合いが……うーん……とりあえず連絡とってみるから待って……」
教えて貰った魔法、左手首を指で2度叩く。
『……聞こえるか?』
かなり声は遠いが、一応成功したみたいだ。
ルイの声。この国にいても繋がることが分かってよかった。
『うん、あの、お願いがあるんだけど』
『ちょっとオレじゃあすぐには聞けないから、シナの方に言っくれ』
『あ、うん、わかった』
ルイもルイで忙しいのかな……?
繋がりやすいのがルイだったからとりあえずルイに繋いだのだが……シナにも繋がるかな。
『エル?』
同じく声は遠いが聞こえる。シナにもちゃんと繋がったみたいだ。
『そう。あの、お願いがあるんだけど』
『なぁに?薬草はまだ見つかってないのよね?』
『うん、その前に解決しないといけないことがあって……魔法水、作れたりしないかなって』
『……なるほど?魔法水ね……作れるけどどうやって届けたらいい?』
『船を作ってもらったところまで行く』
『うーん……そうすると早くても明日の午後になってしまうわね……いいわ。こっちでなんとかしてあげる。早くて夕刻には送れると思うわ』
『どうするの……?』
『エルは受信も得意よね……?準備が出来たら、また繋げるから。その間に探せるなら薬草を探しておいて』
『わかった。ありがとう』
じゃああとで、と言って通信が切れた。
不思議な感覚が抜ける。頭を横に少し振って、フェアリーたちの方を見た。
「なんとかなるかも」
「ほんとに!」
フェアリーたちが喜ぶ。くるくると頭上を飛んでいる。
「魔法水が送られてくるまで、薬草を探さないといけないの。協力してくれない……?」
「もちろん!探してるのはなに?」
「ブルーファリア」
「?そんなもの何に使うの?」
フェアリーたちにとってはとても価値の低い薬草なのだ。病気や怪我なんかも治せないし、フェアリーは呪いにかからないし。
呪いというとのから彼らは知らないのだ。そんな概念が存在しない。
だから……説明もしない。
「仲間が欲しがっててね」
「まぁオッケー任せてよ。ミミリィは念の為残って……アムもみんなを見ててくれる?」
「いいよ。薬草類は苦手だから」
アムは薬草の見分けが下手なのだ。
「それじゃあお願い。じゃあ行こう!」
アンナとルーシャと共に、山道を歩く。
この辺はまだ歩きやすい。もう少し上がると山頂で、そこに行くまでの道が荒れに荒れてるのだ。フェアリーたちには関係ないけど、歩く方は辛い。
「そろそろだね。先に上だけ確認してくるね!」
そう言ってアンナは飛んでいった。
フェアリーには大きい薬草だから、どちらにしろ登らなきゃいけないんだけど、見つけてくれたら嬉しいな。
「あたしはもう少しエルのそばで探すよ」
ルーシャは傍を飛び回っている。
「ありがと」
1人できつい道歩くよりいいよね。
そう言えばフェアリーたちが荒れてるって話を国王から聞いていたけど、全然そんなことないし、山も普通に登れたな……?どういうことだろ。
「ねぇ、ルーシャ、国王様からフェアリーたちが荒れてて山登れないって聞いてたんだけど」
「あれ、アムから聞かなかったかい?」
私が寝ている時に話をつけていてくれたのか。
「国王様の手を煩わせたくないから、許可したものしか通さないことにしたって、小さな噂を流したのさ。アムに話を聞けば助けに来てくれたって言うから。信憑性を持たせるために遊びに来た子どもたちは帰してたけどね」
なるほど。
「あ!来た来た!あったよエル!これでしょ!!」
アンナの姿が見えると、すぐさまこちらに飛んで来て、薬草を指さした。
確かに見た目はあれだ。
「水かけてみないと確証はないよ」
全く同じ見た目の薬草が別にあるのだ。
ただの水をちょろっとかけてみる。
色が変わった。これだ。
本来なら水に浸すと青く発光するのだが、今はあいにく必要な量の水を持っていない。だけどこの薬草は水をかけるだけでも反応する。こうして見分けるしかないのだ。
「いくつあればいいんだろ……」
「ここらじゃ使わないし、生えてるの全部持ってっても構わないよ?」
アンナは言う。だけどこれいちいち調べるのもめんどくさい。数は多くないけど……
「足りなくなったら困るし……全部確かめるか……」
あまり水も持っていないのだけど、仕方ない。
ほんとに少しずつ、それぞれの葉っぱに水をかけ、薬草を確認していく。
10あったうち、6が目的に薬草だった。
回収して、ポシェットにしまう。
あとはシナからの連絡を待つだけだ。
3人で山道を降りる。小屋へ戻る。
「お疲れ様~どう?あった?」
「あったよ。アム、ここまでありがとう」
「どいたまだよ~まだ終わってないけど」
シナから魔法水を受け取ってフェアリーたちと泉を元に戻して、薬草を持ってルイたちのとこへ帰る。
もう少しで、またお別れだ。
「またすぐ、別れが来ても、また会えるよ。帰ってくるでしょ?」
「勿論。私の故郷はここだから」
「また少し寂しい日々が続くけど、大丈夫。また戻ってきてくれるの待ってるよ」
「ありがとう」
向かい合って笑い合う。
さて、シナからの連絡はいつ来るか。
フェアリーの名前なんかは覚えなくて大丈夫です!!担当者もちゃんとは覚えてません!w
別サイド書いててリレーっぽさ(?)が無くなるのが嫌でこうなりました()
そろそろこの章も終盤かな!?




