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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第3章
46/80

045 皆のいる場所

担当:宮居

「"お探しの薬草が水に浸すと青く発光するものならばこの国にはありません"ですって」

クーロンとニコル兄さんから話を聞いたオレたちは宿に帰ってきた。

アンジェは既に寝ていて、エルだけが起きていたので、エルを470号室に通し、話をしている。

シナが伝言を伝え終わったところだ。さて、どうするか。

「なら……1度国に戻らなきゃダメかな……」

「エルの?」

「エルフが集まる国。わたしの故郷……そこにならあるから……」

「それはどこにあるんだ?」

バックから世界地図を取り出す。

エルが地図を見て……海の上を指さした。

「まぁ、地図には書いてないと思ったけどさ。ウルーム海……この辺の陸までなら連れていけるんだが」

近くの国を指さす。そこからは船だろう。

「船を貸すことも出来るけど」

シナが言う。

「どうせオレらは近づけないやつだろ?」

「……協力してくれるの」

「あぁ。まぁ……上手くいくとも限らないが」

「もうその国はないしね」

そう、エルフの国があるという海の近くの国は、今はない、オレらの故郷。

ただの荒地になってるはずだが、海に沈んでいる可能性もある。

新しい地図を買っておくんだったな。

「でもそしたらアンジェが1人、この国に残ることになってしまう」

「大丈夫だ。オレらはすぐ戻る。一瞬だ。今行くならアンジェもオレらがいなくなったことには気づかない。エルは国にしばらく滞在することになるんだからそれはバレるだろうけど」

「……何をする気?」

「まぁ……これも呪いだな。もっと便利にしたやつ」

「……そんなに色々、この世界に術があるの?」

「言うほどじゃない。もうエルが知らないのはないんじゃないか。法術は魔法みたいな呪いだしな。ノーダメージとは言わないけど、気にしなくていい。アンジェの役に立ちたいんだろ?」

エルは頷く。

恩人に恩を返したいんだろう。

「じゃあ早速行くか」

法術を組む。

「必要なものを持ったら、この円の中に入ってきてくれ」

ピンク色に光る円。魔法陣のようなものを思い浮かべて貰えばいい。複雑な模様が書かれていて、これが術式となる。

「いつでもいいぞ。入ったら転移する」

エルが頷き、円の中に入ってくる。

瞬間、部屋から人が消えた。





「……上手くいったな。沈んでなくて良かった……じゃあシナ、あとは頼む」

「帰りはルイの仕事だけどね。すぐ戻ってきてよ」

それに手を挙げて応えた。シナたちに背を向け、とある場所へ向かう。



「さて、どのくらいのサイズがいい?」

「大きくなくていい」

「小型船ね……どのくらいの距離を行くの?」

「どうだろ……そこまで遠くはないと思う」

「りょーかい」

魔法で船を作り出し、それを呪いで強化する。簡単には沈ませない。

船のサイズの陣が、海上へ浮かぶ。

手の平を合わせて音を鳴らすと、陣のあった場所に船が現れる。

「乗って。運転の仕方を教える」

と言っても、魔法で操縦出来るから、手動の操作はあまり無い。

「あとこれ、目的が終わったら鳴らして。ルイに連絡がいくようになってる」

小さな鈴を渡す。

「今振っても鳴らないから。目的が終わったって思いながらというか、まぁ呪鎖が組んであるから、終わらなきゃ鳴らないようになってる」

呪いってのはほんと便利な"道具"。

「じゃあいってらっしゃい」

手を振って、ルイが歩いて行った方へ歩き出す。

別に見送りなんて要らないだろうし。

すぐにエンジン音がして、船が動き出すのがわかった。

あとは国に辿り着けるかどうか。



「ルイ」

「もう終わったのか」

ルイの背中に話しかける。目元を拭うような動きをしてからこちらを向く。

「帰ろうか」

目の前には沢山の墓が並んでいた。お墓といっても大きくて立派なものじゃない。とても小さなものだ。沢山並んでいても、広い範囲じゃない。目で確認できる範囲だ。

「すぐに帰らなくてもいいんじゃない、アンジェはまだ寝てるだろうし」

そういう呪いをかけてきたわけだけど。

「久々にみんなに挨拶してく?」

「……そうだな」


沢山のお墓に目を戻して、涙を溜めながらも頷く。

……意外とルイは涙脆い。

「こういう時くらい、泣いてもいいんだよ」

「うるさいなぁ……」

涙を拭い、笑顔を見せる。

そして手を出てきた。

「行こう」

その手を取る。久々に手なんて繋ぐな。

誰もいないからいいか。

お墓に刻まれた名前を見ながら歩く。

もう声を思いだすことは出来ない人達。

「声から忘れるって本当なんだな……顔は思いだせるのに」

「そうね……寂しい?」

「そりゃあな……まぁでも、ここが残ってりゃ、みんなには会えるから」

ルイの母親の墓の前に立つ。

隣は父親の墓だ。

「シナは橘に挨拶しなくていいのか?」

「ルイがしばらくここにいるなら、行ってくるよ」

「あぁ」

返事を聞いて、手を離した。

橘美月(たちばなみづき)のお墓はルイの家族の墓から少し離れたところにある。だけど、ルイの姿は確認できるところ。見えるけど話せない距離。

橘が住んでいたところが樹の根元、地下だったから、お墓の側には樹が植えてある。

最期まで持っていたという人形がその根元に置かれている。

美月が作った呪いのかかった人形だ。色はピンク。

美月は自分の全てを、アルカリアに託して死んでいった。亡骸はここには埋まってない。

だけど、美月の故郷もここだから。

みんなの側にお墓を作ってあげたかった。

「そろそろ戻るか?」

いつのまにかルイがこちらに来ていた。

「橘には……アルカリアに会えば会えるし、な」

「そうね……戻りましょうか」

「一応、歩きながら鎖を敷いておいた。これで沈むってことはないだろ」

「そうね」


エルを送ったところへ出る。

法術を組み、宿へ戻った。


呪いを解除して、アンジェがすぐに起きそうにないことを確認して、自分らの部屋に戻る。

「にしてもまさかウルーム海のにエルフの国があるとはな」

「そんな偶然もあるのね。もしかしたらエルフと共存してたのかも」

どうだろうな

と短く返す。

それからしばらく沈黙が続く。


……ほらきた。

法術ってのは便利な呪いで、だけども色々と条件がつく。

今日は法術を使いすぎたな……とてもつもない睡魔に襲われる。

「明日は起きれないかもな……」

「だろうね……まぁ任せて」

こういう時、シナは頼もしい。仕事の時もシナがパートナーだと安心できた。

それにシナはオレが寝てる間、ずっと起きていられる。そういう呪いがある。オレが使えない呪い。

「とりあえずシャワーくらいしたら?」

「そうする……」

シャワーを浴びて、体を洗って……湯船はいいや、そのまま寝そうだ。

上がってすぐにベットに倒れ込んだ。

意識はすぐに途絶える。





さて、寝れないあいだはなにしてようか。

ルイはすぐに上がって、ベットに倒れ込んだ。

「おやすみ。ゆっくり休んで」

明日は起きないと思っていい。呪鎖は既にかけてしまった。さてこの間になにをするか。


クーロンの方はエルが帰ってこないことにはどうしようもない、だろう。

アンジェには適当に説明するにして、ルイは明後日には起きるだろうし……。

あまりルイの側を離れたくない。

……明日はアンジェに図書館に行ってもらおうかな。何冊か借りてきてもらえれば、わたしもここで読めるし……。


とりあえず……エルには話したクーロンの過去を、アンジェに簡単に伝えられるようにまとめとこうか。

机に向かい、筆を出す。

魔法も呪いも、似たようなものだけど、勝手がやっぱり違って。

魔法は陣があった方が上手くいくし、物も作りやすい。けど呪いはそうじゃなくて、物体は作りにくいし、陣は要らない。

呪鎖を扱えるようになれば、思った時に思った呪いがかけられる。

……呪いってのはほんと便利な"道具"ね。

これが使えるから、ルイの側にいれるのだけど。

作り出した紙に、筆で文字を書いていく。

それぞれの国が、別の世界線みたいで、なんだか不思議な旅だ。

……そう考えるとアンジェに出会えて良かったみたい。

意外と楽しんでいる。



さて、夜はまだまだ長い。

わたしに出来ることはなんだろう?

とりあえず3k書いたので区切る(←)

法術や呪術の詳しい話は番外編で出ます。「『呪石』番外編」というタイトルで別作品として上げますので少々お待ちを……ある程度書ききったら毎週更新でいきたいとおもいます。相方の研修終わるまでに例の3人の話は予約できるといいのですが。

そんな自分も明日から研修です(´^ω^`)

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