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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第3章
39/80

038 調律不和

担当:四葩

アンジェ等一行はゴンドラに乗り国中を這う水路を進んでいた。


数分前、ジウアロ国へ着いたアンジェ等を待ち構えていたのは拍子抜けするほど楽な入国審査だった。

「まぁっお久しぶりです!アンジェさん」

この一言だけだったのだ。

「……………でして、この国は数百年……アンジェさん?」

船頭を務める少女の深緑の髪がさらりと揺れるのを見遣り意識を現実へと戻した。

「ごめん、意識飛ばしてたわ」

「すみません。お疲れと気付かず長々と話してしまいましたね」

申し訳なさそうに眉を下げる少女、フヨンに少しの罪悪感

「謝ることないわ。アンジェが考え事して意識飛ばすのなんて結構あるし……ねぇアンジェ」

シナ上手いわねありがと、乗っかるわ

「そうそう、ごめんね。貴女が船酔いしてないのはなんでだろうって考えちゃってて」

シナやエルに会う前の船上でこの少女、フヨンが船酔いしていたのが出会いの始まりだったのだから

「こうも人工的な水上に慣れてますと、自然の波が作り出すあの浮遊感がどうしても苦手でして……その節はお世話になりました」

「いいえ、どういたしまして。じゃあ悪いけどもう一回話してくれる?」

「はい、それでは……我が国の信条は個に非ず国で在れです。そこはご理解いただけましたか?」

「それは……ね。この国観ればわかるわ」

そう、この国寸分の狂いなく調律されている。色彩だけが水門をくぐる毎に変調するが、水門と水門との間に暮らす建物も服も同じ色で染められている。人々の草木を煮詰めた黒の瞳、さらりと伸びた陰る森林の髪は長さや括り方は違えど水門を幾らくぐっても代わり映えしない

ある意味異常なまでに調律した空間だった。


「ええ、ですから我が国は異分子は徹底的に排除します。しかし余所者の定住を希望しない者に限り安寧をもたらします。その為貿易は盛んで宿屋も多くあります」

「でも今まで通った場所は外人一人としていなかったな」

黙っていたルイが訝しげに尋ねる。

「ええ。今まで通ってきた場所は“食”と“飾”の域ですから国の者しかいません。国外の人々はこれから向かう“外”の域におります」

「隔離されてるってことか?」

「そうですね…・しかし隔離されているのは国民も同じです、一つの域で人生を始め終える者が殆どですから」

うっそりと笑うフヨンに薄ら寒さを感じるが気になることがある。全面的に自業自得な気もするけど

「……聞いてなかったあたしが悪いんだろうけど教えてくれる?域って何かしら」

……そんな全員で見詰めないでよ



フヨンによると、九つの地区が水路によって繋がっていて中心部に王宮があるのがこのジウアロ国の全様で

九つ地区を域と呼びび"政"外"軍"財"学"飾"建"薬"と分けている。そこを束ねる人達を師というらしい


「兄上は師のなかでも王家に仕える王家専属薬師なのです」

誇らしげに語るフヨンが羨ましい

憧れの人はすぐ近くにいるのだから

あぁ早く、はやく兄様に逢いたい


「アンジェさん着きましたよ。ここが"外"の域です。ここらからは歩きにて王家専属外師のもとへ案内致しますね。許可さえ得られれば国王陛下との会談が可能です」

背後に閉まる水門の音を聞きながら歩む道のりは有象無象の群れが広がっていてこの雑多な雰囲気に居心地の良さを感じた


3章がやっとスタート。

次の更新は2週間後を予定してます

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