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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第2章
38/80

037 幕間[#2]

担当:宮居

引きつった顔でルイは言う。

「そんな、人が聞いて面白いことなんて無かったさ」

「いいから話なさいよ。あんた達に何があって、なんであの国を嫌っているのかとか、はぐらかされっぱなしでイラついてるのよ」

「と言われてもなぁ」

「何よ。そんなに話したくないの?なら、シナに聞くけど」

「……それだけは辞めてくれ。はぁ……しゃーねぇな……何が知りたい?」

「そうね……じゃあ国の成り立ちから今までを話してもらおうかしら」

「とてつもなく長いんだが」

「時間はたっぷり、あるでしょう?ところでなんで外で寝かしてるのよ」

「部屋の中よりいいかなと思ってな。仕方ない……移動するか……」

いや普通に部屋に寝かしててくれて良かったんだけど、と思いながらルイについて行く。

……なにこれ。

「な?外で良かったろ?」

"部屋"はとても狭かった。部屋というか倉庫だ。

寝るときはどうしているのだろう……?

「上は屋根貼れるようになってるから、普段はそこで寝てるんだよ」

「……誰の船よこれ」

「さーてー……国の成り立ちだっけなぁ…」

ルイは質問には答えない。答えられない理由があるのか……。そういえばシナが見当たらない。

決して大きいとは言えない船だ。どこにいるのだろう……?

「ほれ、紅茶入れたが飲むか?」

「ありがと」

アッサム茶葉のミルクティだ。甘い。

「最後に残った樹、あるだろ」

唐突にルイが話し始める。あたしは頷く。

「元々あそこは、シナの師匠である橘の住処だった。橘美月って聞いたことあるか?」

ない、と答える。あたし達とは違う名前……どこの国の人だったのだろう……

「まぁ呪術者の中では有名な人だったんだ。シナがそこを探し当てて、呪術を教わり、オレは縁あって、シナに会うことが出来た。しばらくは一緒にそこで住んでたんだ。彼女の"子供"たちと。そして月日が経って……ウルがドラゴンを連れてきた。この場所は偶然当てたらしい。彼はまぁ……魔法使いの子供だったから、何か感じたのかもな。樹の近くで倒れているのを橘が見つけて、一緒に暮らすことになった。ドラゴンが飛べるようになった頃、近くの森に生息していたドラゴン達が、オレ達にコンタクトを取ってきた。ウルが何故か彼らと話せたんだ。まぁそこから……ウルが国を作ることを提案した。ドラゴンは国を守る。人はドラゴンを殺さない。住みやすい環境を提供するって。まぁウルが主体となって上手くやっててさ。故郷の人間に協力を頼んで……彼の地元は2つに別れてて反乱が起こりそうでな。そこで片方の勢力の人間たちをあの国に連れてきたんだ。んで、ドラゴンと人間はうまく共存してた。あの国は1つの国として成り立ってた」

「ルイの故郷は?」

「もうなくなったよ。ウルの故郷にやられたんだ。シナもそう」

「あ、ごめん……」

だから、ウルのことを嫌っているの…?

「別に気にしなくていい。ウルを嫌っているのはその件もあるが……ウルが連れてきた人間のトップが、王になって、跡継ぎとかの話になった時、ウルが王にならないかって話があって、その婚約者にどうだって、あいつから持ちかけられたからだ。橘が認めた人だから、ウルのことは疑ってなかった、故郷を潰したやつだって知る前は嫌いでもなかった。だけど、橘やシナ、オレが訓練を重ねてきた場所が、国となって、その王にあいつがなるって考えて、その側に、妻として居ろって、聞いたら……お前はどう思う?」

自分に置き換えて、考えてみる。

兄様を殺された。孤児院を潰された。

その原因が、近くにいた友人だった。

「……お断りね」

短く、返す。

「とにかくオレはイラついたよ……そこからあいつを避けるようになったんだ。オレ達は森の中に隠れ家を持っていたし、国の奴らは知らなかった。オレは普段はそこで過ごしていた。シナや仲間たちと一緒に」

「……その時、橘さんは…?」

「死んだよ。ウルが国を作る頃、アルカリアを完成させて」

「なんで……?」

「彼女は呪いの力で生きてたから……アルカリアに自分の力を全て注いで、死んでった。アルカリアは橘そのものって言ってもいいくらい」

「そう……」

シナは……色々なものを、あの国で失っている…

ルイは、シナのことを大事に思っているのだろう……あたしが、兄様を思うように。

「まだ聞くのかー?」

伸びをしながらルイは言う。

「まだ全部話してもらってないじゃない。時間はあるわよ?」

「えー……聞いて面白いかよ……」

「いいからいいから。ウルは候補としてシナを選ぶことはしなかったの?」

「さぁな……シナはその話をしなかった。そもそも彼女は……うん……これは本人から聞いてくれ」

ルイがはぐらかす。こう言われてしまったらそうするしかないだろう。その時間は……まだ取れるだろうし。

「んー…まぁ色々あったが、オレはウルの誘いを断り、シナもその話はしなかったし、結局王は自分の息子を、後継者とした。その後継者がまぁ……何があったか橘に不老不死の呪いをかけさせ、父親が逝ってからやりたい放題でな……小さい子が好きだ、自分の側にはそういうのを置きたい、とか言い出して、ウルの話も聞かなくなった。その頃から、竜と人は……喧嘩をするようになった」

「喧嘩?」

竜と人とでは圧倒的に竜が強いだろうから、一方的なものになりそうだけど。

「敵対視するようになって、人は竜の力を恐れ壁を建てた。のに、同時期に人と竜との間に、子供が産まれてしまったんだ。人は恐れた。竜との子を。そしてその後の父親は彼女を取り返そうとした。で、暫くは内戦は絶えなくてな……。その間にも何故か竜人は増えていった。で、結局ウルが彼らを引き取り、壁を強固なものに作り替え、半竜人たちのコロニーを壁の側に作り、この近くには寄らないことを人たちに告げ、争いを終わらせた。半竜人たちは、ウルを信頼しきってた。彼も、半竜人だったからな。だから竜と話せたんだろう」

……ウルが、半竜人?

「彼が抱えていたドラゴンは、彼の妹だった。争いに巻き込まれて死んでったけどな。で、その代わりに、シイを可愛がってるわけだ」

「ウルの、両親は……」

「知らない。多分あの土地以外にも半竜人たちの住む、または人と竜とか生存する国があったのかもしれない。彼はそこから来たのかもしれない。詳しくは知らないし知りたくもないな……まだ話さなきゃダメか?」

「うーん……そうね……一旦整理もしたいし…これからついてくるなら、時間はまだある訳だし、今日はこのくらいでいいわ」

「んー……まぁ機会があれば、質問にも答えてやるよ。今日はもう寝るかー」

ルイが伸びをして、倉庫から出ていくので付いていく。

いつの間にか、屋根が出来ていた。

シナもいる。

「お疲れ、交代するよ」

「うん……あともうちょっと。3時間後にね」

「りょーかいー。じゃあアンジェ、おやすみ」

ルイが私の目の前に手をかざす。

強制ですか?なんなのよ全く……。

あたしの意識は暗闇に落ちていく。




「アンジェ、着いたぞ」

その声であたしは目を覚ます。

屋根は無くなっていて、空が見える。

声のした方を見ると、ルイとシナがいた。

そちらに歩み寄る。

街が見えていた。ジウアロ国に到着のようだ。

3つ目の石、見つかるといいけど。



遅くなって申し訳ない……m(*_ _)m過去編全部書いてたら長くなり過ぎるし…と迷っていたらこうなってしまった。



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