035 粛正
担当:宮居
「コーネリア!」
崩壊した城の1部屋。
その形を保ちながら、地面に落とされ、今は結界で空間を守られている部屋。
瓦礫の上に、辛うじて、コーネリアの魔法でその形を保っている。
中には王がいる。王はまだ生きていた。
「なにか仰りました?」
何匹の竜を落としただろうか。
そろそろ魔法が使えなくなる。
そうすると結界が保てなくなる。それは不味いと、王のいる空間へと帰ってきたところだった。
窓から様子を見ていたらしい王が、呼ぶ。
「無事か……今、回復かけてやるから、こっちに」
そんな力があるなら、結界を貼るのを変わって欲しいのだが。
ここは何も言わず、部屋に入り、回復を受ける。
……何故か、王の消耗も激しいようだ。
国を囲っている防壁が無傷なのは、王の結界?
「どうだ……現状は」
「何匹かは落としましたけど……数が多すぎますね……向こう側は暫く見ていなかったので、何匹いるかわかりませんでしたが……これほどとは」
はじめは、魔法軍隊に命令を出し、竜を落としていたのだが、城が崩壊した今、軍のものは、元のように魔法が使えなくなっていた。
だから結局、コーネリア1人で、竜を殺していた。
何匹落としたのだろう。何十匹落としたのだろう。
結構な数、やったと思ったのだが、空にはまだ無数の竜が飛んでいる。
形あるものを壊していく。
1人で、これ全てを……?
不可能だろう。
恐らく、竜を暴走させたのは、あいつらだ。
ルイ……。
何故あいつが帰ってきた……?
「あぁ、もう、散々だわ」
こんな時に頼るのが、憎きあいつしかいないなんて。
「おかえりなさいっ皆さん無事ですか?」
例の森。ルイたちの隠れ家に到着すると、羽音を聞いたのか、アナリアが出迎えてくれた。
「おう、帰った」
「ルイが何度も嫌いだって言ってる国に行くから、何事かと……。半竜人も連れてきたのね?」
「シイ」
「え?……あ、そう。シイね、よろしく」
「とりあえず中に入ろう……子供たちは?」
「みんなリビングにいるわ」
「了解、オレの部屋使うから、来ないように言ってくれ」
「後で相手してあげてね。寂しがってたから」
ルイは頷く。
アナリアの後に続いて家に入り、部屋に直行する。
部屋に着くと、パリンっと小さく、何かが割れる音がした。
後ろにいたのはシナだ。呪鎖を使っていたのか……?
「呪い、まだ上手く使えないのか?」
「そんな訳ない」
シナが鎖を出す。扉に鎖が絡まってく。
「上出来」
そう言うとルイは椅子と机を並べ始めた。
「座ってくれ、話をしよう」
「あの国をどうするか?」
「まぁ、そんなとこ。もう殆ど人はいないから、竜たちに任せてもいいんだがな」
「殆どってことはまだいるのね?」
「王とコーネリアは確認した」
生きているのを確認した……?
「あいつ……死ななかったんだ」
「お前にとっちゃ残念なことにな。城の1部屋だけを上手く守って生き残ったよ」
こんなふうに、というように、ルイは部屋に置いてあった砂時計を結界で覆う。
便利なものだな……。
「俺は……あの国、どうにかしたいんだけど……」
ウルが口を開いた。ルイの様子を伺いながら、慎重に。
「一応、故郷と呼んでいいところだし……あの樹もあるし……」
ルイは黙って、ウルを見つめている。
……目が少し怖い。
「……あんなんに、なっちゃっても……思い出の場所、だし……」
「好きにすれば、いいだろ?オレは別に、お前を助けようとも、あの国をどうしようとも、関係ないんだ。壊れればいい、無くなればいい、そうは思ってるけどな」
そう言って、ルイは部屋を出ていった。
「……ルイ……」
「どうするのよ」
他は黙っている。
「……どうしたら、いいんだろうね……」
暫くすると、音が収まった。
コーネリアが外に出る。
竜たちは、落ち着いていた。
もう暴れているものはいない。
「なんとかなったわね……」
王にも報告する。
危険がないとは限らないから、部屋からは出さなかったけど。
あいつも甘いわね。
王が生きている限り、この国は無くならないわ。
その時、後ろから大きな音が聞こえた。
振り向く。
王が居た部屋があったはずの場所に、見慣れた竜がいた。
「ったく、クソくらえだ」
番外編書こう書こうって思いながら全く筆が進まないので過去編もう少し先になります。すみません




