034 名もなき一粒
担当:四葩
今朝の占い、僕は4位だったっけ
偉大な王と貴族様、そして竜の子が住むこの国で僕は至って凡庸な人物だと自負している
なんせ僕は国の東側に栄える街の沢山の布地に囲まれた店の末っ子として生まれたからね
現役バリバリの両親に社交的で糸の卸しを任される年離れの兄と貴族様にも人気の布地を作りだす年離れの姉が僕の家族
……なんて考えられるぐらい平和な毎日を送っていた。
まぁ家の手伝いであんまり友達と遊んだり出来ないけど店番は好きでやってることだし、なにより家族が丹精込めて作ってた布地を喜ばれる瞬間が一等に好きなんだ
さて、今日は誰が来るかな
……僕は今までで一番、初めて店番した時よりも緊張してたんじゃないかな
だってコーネリア様が来店されるなんてっ!
竜との戦いに貢献した有名な貴族様が母の父のそして姉の作った布地を手に取っては眺めていた。
流石の目利きだ……様々な色、素材、大きさでも手に取る全てがウチの上物だった。
そのうちお付きの青年が同い年ぐらいの見かけない少女を連れて戻ってきた。三人での会話は聞こえなかったな、貴族と対等に話すなんて彼女も貴族なのかなぁ
「こちらをいただけるかしら」
意識が飛んでいたのを体に戻したのはコーネリア様の声だ
「……すみませんっ毎度ありがとうございましたっ」
あ~声裏返っちゃったよ……軽く微笑まれてしまった。
コーネリア様が買われたのは淡い紫の滑らかな布地。あれは光に翳すと花の模様が浮かび上がるように作られているものだ。姉がここよりも東にある地での技術を真似て作り出したウチの上物だった。
姉さん喜ぶだろうなぁ
予想通り姉はめちゃくちゃ喜んだ
それから数日後の今日
布地を生み出す姉さんの手は変な方向にひしゃげていた。
家は崩壊して布の焼ける臭いが漂う。上空には竜が狂ったように雄叫び、人の呻き声と悲鳴が街で響いている。
その声も段々と聴こえなくなってきた
体に刺さる家の破片の痛みもなくなってきた
どうして僕は家の外にいるんだろう
……それはひしゃげる前の姉の手が僕を突き飛ばしたから
どうして姉の手がひしゃげてるんだろう
……それは僕を突き飛ばした姿で家の柱に潰されたから
どうして家の柱が落ちてきたのだろう
……それは竜が空から落ちてきたから
どうして竜は落ちてきたのだろう
……それは貴族の魔法が竜に当たったから
どうして布地は燃えてるのだろう
……それは貴族がとどめを刺す為に火の玉を竜に投げ付けたから
その貴族は誰だった
……コーネリアだった
僕は至って凡庸な人物だと自負している
だからなんで竜が飛び回り貴族と争っているのかも、
僕の頬から垂れ落ちたのが透明なのか赤なのかも判らない
次回は恐らく2週間後。
もう少しだけ国の現状を確認した後、アンジェsideに戻る予定です。




