033 崩壊
担当:宮居
ウルは目を開けた。
「あれ……」
「やっと起きたの?いつまで寝てるのよ」
体をゆっくりと起こし、声のした方を見る。シナだ。
「シナ……」
なにが起きているんだ?俺はなにを……。
「やっほー。起きた?」
その声を聞いて、ここがどこだかわかった。
「アルカリア……」
「痛みとかはなさそうだね。ついでに記憶もかな。流石シナだね。みんなー、大丈夫そうだよー」
みんな……?
「兄様……!」
アルカリアの呼びかけに驚いていると、胸に何か飛び込んできた。
勢いで後ろに倒れる。もちろん主はシイだ。
「シイ……」
「良かった……兄様……生きてて……」
シイは泣いている。
ウルは全く状況が読めていないようだ。
「見れば、わかるんじゃない?ルイから送られてきたわ。確認して」
シナが呪文を唱える。
もう、何が魔法で、何が呪術だかわかんないわね。
これは魔法だと思うけど。
部屋の壁ーと言っても岩壁だかーに、映像が映し出される。
……国は、辛うじてその形を維持しているだけだった。
防壁だけが、不思議と無傷なだけだった。
暴れ狂った竜が、人の住んでいた場所を壊していくー……
「あぁ……。結局、俺は失敗したんだな」
「兄様……?」
「なんでもないよ、シイ……色々とすまなかった」
頭を撫でる。
シイは不思議そうな表情をしているが、何も言ってはやらない。
……話したくないし。
映像は続く。
崩壊は止まらない。
人は、沢山死んだ。
もう、元には戻せないんだ……。
「ウル」
後ろから、声がかけられる。
「ルイじゃーん。来たんだ?」
そこに居たのはルイだった。
「久しぶりだな、アルカリア。元気だったか?」
「お陰様で~」
アルカリアは袖を捲って、腕輪を見せた。
オレンジ色の、綺麗な石が嵌っている……
あれは、呪石?
「なら、いいんだ。もう暫くは大丈夫そうだが……ここも危ないから、どうにかしないとな」
「樹、くらいは…残しておきたい」
ウルが言う。
「まぁ、これくらいなら、なんとかなるだろ。アルカリアもいるしな……ここは守りたい」
ルイが言い、シナが頷く。
「念のため、結界を貼り直した方がいいな」
「頼むよ」
片手を上げ、ルイはその部屋から去る。
「さて、ルイが結界を張ってくれるって言うから…ここは安全だろうけど、これ、どうするの?」
あたしはまだ壁に映されている映像を指さす。
もう殆どの建物は崩壊していて。
動いている人を見つけることも困難だ。
「止めるさ、そりゃ」
ウルが言う。
「竜達をどうするかだな……」
「人はもうここには住めないでしょうけど」
そもそも、生きてる人間はここにしかいないのではないか。
「人が、この国に暮らす必要は……」
「どちらにしろ、暴走を止めるのが先決じゃないの?」
「話は終わったかー」
ルイが帰ってくる。
「終わってないね」
「なんの話をしてるんだ?」
「人はもういなくなったけど、この国をどうするのかって話を」
「作ったのはウルなんだからお前が決めればいいだろ。オレはこんな国、あってもなくても変わらんと思うが」
何故ルイは……こんなにこの国を嫌うのだろう。
「とりあえずまだ暴れてるらしいからな…人は少しくらい残ってるんじゃないのか。そろそろ止めなくていいのか?」
人がまだ残っている……?
「そう、だな」
「アルカリア、手伝ってくれ」
「はーい」
ルイとアルカリアが移動する。
「ここにいても仕方ないし…付いていくか…?」
「そうね」
ウルが言い、シナが同意する。
あたし達も移動することになった。
ルイ達は何も話さず、どんどん奥へと進んでいく。
暫くすると行き止まりだった。
不思議に思っていると、アルカリアが壁に手を触れる。
ボタンが現れ、それを押すと、壁が階段へと変わった。
上がっていく。
登りきるとそこは、樹の天辺だった。
小さなバルコニーが作られていて。
下からは確認出来なかった部分だ。
「アルカリア」
アルカリアは頷いて、腕を捲る。
オレンジ色の、石……
それに、ルイが触れて。
「fit」
ルイが小さく、魔法を唱えた。
石が輝くー……その光は、辺りを包みこんで……
眩しさに目を閉じ、光が収まってから目を開く。
下を見ると竜たちは落ち着いていた。
ルイの竜もこちらに飛んでくる。
「1件落着だな。帰るか」
ルイが竜の背に乗る。
「みんな乗れる。1度、隠れ家に戻ろう。その後の話はそこでしようじゃないか。ここにはあまり、居たくない」
全員頷いて、竜の背に乗った。
短いし文章ガッタガタの回になってしまった。そのうち直すかもしれません。
次次回あたりに過去編が入るかも。




