027 協力者
担当:宮居
「兄様が連れていけないって….言ったのよ?それがあなたに出来るというの……?」
「えぇ。それが、あたしには出来るのよ」
「そんなこと……出来ないでしょう……どうするの?」
初めてあった時の警戒心はどこへやら。意外と話をちゃんと聞いてくれる。シナのおかげかしら?
「んふふ。いいわ。あたしについて来て」
「……嫌。それにこれが取れなきゃ、どうなろうとも、この国から出れやしないもの」
「だから、それ、取るのよ。あたしにはそれが必要だし」
正直に話す。
いいから黙って着いて来て欲しいものだ
「……この呪われてるのが?必要?なわけ…」
「いいから来なさい!」
腕を引っ張る。あぁもう。面倒なのは嫌だわ。
エルもついて来る。
声が聞こえるところまで移動しようとする。
『アンジェ!』
突然、脳内に声が聞こえた。
「っ!ちょっと待って……」
ついてきた2人に声を掛け、シナ達に見つからないように隠れる。
『ルイ?』
『アンジェ!やっと応じたか……。受信は下手くそみたいだな』
ルイが脳内に直接声を届けてくる。魔法だ。
『いつから?』
『3分ほど前から。無視するなよ。それとも取り込み中だったか?』
『まぁ、』
『まぁ、何してたか知ってるけど』
声が重なり言葉を止めた。
知ってるって。
『どういう事よ?』
『今上にいるんだよ。シナのことも見えてる。アンジェ、そこから離れろ。お前を殺そうとした奴がそっちに行くぞ』
上?
上を見上げるが、空には何も見えない。
雲一つない青空だ。
『お前らからじゃ、オレのことは見れないよ……後で合流しよう。だからそこを離れろ。目的地の座標を送る。エルフと竜人も連れてこいよ。そこの奴らの話は魔法でオレが聞いておく。なんなら録音もしとくから』
『……わかったわ。後で色々聞かせてもらうから』
『話すつもりで来てるさ……じゃあ後で』
魔法が切れ、ルイの声が聞こえなくなる。
話している時の、何かで繋がっているような感覚が無くなる。
「なに?何してたの?」
シイが聞いてくるが、今は……ここではダメだ。
「……後で話す。協力者と合流することになったから、付いてきて」
「兄様達は?」
「協力者が何とかしてくれる。話は録っておいてくれるって。色々と話さなきゃ、聞かなきゃ行けない話があるから、録ってくれるなら丁度いいわ
「……ほんとに、信用できるのその人」
「少なくともあなたよりはね」
シイが黙る。
エルも口を開かない。
「会ってみればわかるわ」
彼女ならきっと。シナのことも良くわかってるし。この国に前からいたみたいで、そして嫌っているから。敵になることはないでしょう。おそらくだけど。
……にしてもこの国には来たくないと言っていたのに……。
来なくてはならない様な、何かが、シナやウルにあったみたいね……。
急いで移動する。
あっちはもう着いているだろうし。
「よ。久々。外出るぞ」
門から少し離れたところに、見覚えのない小屋があって。その扉の前にルイはいた。
「外?」
「あぁ、あいつに見つからないようにな……。あいつ、何者なんだ?」
「さぁね。同じ孤児ってことしかわからないわ」
「ふぅん。まぁいい……移動するぞ」
ルイが指を鳴らす。
と一瞬で移動が完了した。ワープ系の魔法、か?
木に囲まれている。森の中?そう言えば近くに森があった気がする。アルケアの近くも森だったし、そこまで離れていないのか?
「改めまして、エルフと竜人さん。オレはルイ。こいつらとは色々あってな。一応、仲間だ」
「エルフ……!?」
「知らなかったのか?」
ルイがシイに指を向け、あたしの方を見て言う。
「隠してたしね」
「ふーん。まぁいいや。そっちも自己紹介してくれよ」
「……シイ。竜人じゃない。半分だけよ」
「半竜人も竜人もそんな変わりゃしないさ」
シイがルイを睨みつける。
ルイはそんなの気にしてない。
「……ねぇ。貴方は何者なの。兄様はどうなっちゃうの……?」
暫くしてシイが聞いた。ルイは普通に答える。
「まーまー不安かも知らないが、オレの相方がなんとかやってくれてるよ。すっごい話してるけどな……どうにかなるだろ。上手くいけばその呪いも外せる」
「色々考えてたんだけど、貴方が来てくれて助かったわ。実際、見つからないように 話を聞くなんてエルにしか出来なかっただろうし、下手したらそのまま殺されてたしね」
「相方から手伝ってやってくれって、連絡入ってな……」
「この国のこと、嫌いだったんでしょ?何かあるの?」
とりあえずルイの話を聞こうとする。
向こうの4人ー多分今は5人だーの話が終わらないと、何を話していたのか聞けないだろうし。それにもしかしたら、聞かずとも、何を考えてシナとウルが行動したのかわかるかもしれない。
……ルイスのことは、わからないけど。
「……あぁ、合流したな……ルイス、多分操られてるぞ。目の色が違う…」
質問に答えることなく、ルイが現状を報告する。
操られてる…?
「……呪いに近い…魔法だな。簡単に解けそうだ……が、あいつに近づくのがめんどそうだな……」
ぶつぶつとルイが言う。
こっちの事は無視?
「どうする、アンジェ」
「何を?」
ゆっくりと顔を上げて、ルイは言った。
「あいつを殺すか、どうか」
次回→3月19日 21時(投稿者の都合によりいつもより1時間遅れての更新となると思います。ご了承ください)




