023 混沌混乱
担当:宮居
あたしは立ち上がってホールの中へ戻った。
シナを探す、と同時にあの忌々しき餓鬼も探した。
「あ、おねーちゃん!」
貴婦人の群れの中から声が聞こえた。あいつの声だ……。
自分より身長の高い婦人に囲われていると言うのに、よく見えたな……というか、ほんとに見て声をかけたのか…?まぁどちらでもいい。
「ルイス」
「おねーちゃん。どうしたの?そんな顔して」
「アンジェ」
「シナ。丁度良かった。少し3人で話さない?」
ルイスの顔が明るくなったのがわかる。
「お話したーい!」
こいつ、こんなに無邪気だったけな。
「いいわよ。ここで話してもいい内容ならね」
「そうね……じゃあまぁいいわ。ルイス、あたしの質問に正直に答えなさい」
「はーい」
シナが指を鳴らした。なにをしたんだ…?
あたりに大きな変化は見られない。
「まず、あんたあれから何してたの?魔法って、使えたの?」
「今はまだ使えないよ。王に負担がかかるから。でも勉強はしてるんだ。呪文覚えたりとか。あ、でもちっちゃいのならもう使えるんだよ?こういうのとか」
ルイスが1度目を閉じ、開いて、シナの方を見、小さい声で何かを言った。
「───」
パリンっと音がする。
シナの指先から出ていた鎖が割れたのだ。
「……」
「なにしてるのか、僕には分かるんだ。下手したら殺さなくちゃいけなくなるから……辞めてね?」
ニコッと笑いながらルイスは言う。
「そういうこと……わかったわよ」
シナが何をしていたのか、ルイスが何故、シナの呪鎖を切れたのかがわからない…何が起こった…?
「アンジェにはあとで説明してあげるわ。お話会は強制終了って事ね。あなた……これからどうする気?」
「僕は僕のやるべき事をやるだけだよ。でもね、これだけは言っておく」
ルイスがあたしとの距離を詰める。
そして小さな声で
「僕は王になるつもりは無い…お姉ちゃんの傍に、ずっといたいから……」
と言いすれ違って貴族の群れの中に消えていった。
「なんて?」
シナが訊ねるが、あたしは
「……帰ってこなくて、いいんだけど」
そっと呟くだけにする。
だけどこれであいつの意思はわかった。
作戦は無駄にはならないだろう。
左耳の上を2回叩く。
彼女との通信の為だ。
『久しぶりだなアンジェ』
数件やり取りを交わす。
彼女はなにかしながらだったみたいだが問題なく会話が出来た。
彼女は相当、この国のことが嫌いらしい。
「そーいえばアンジェ、そこはある意味敵陣だ。今度こういうことする時はシナに言ってからにしてくれ。こちらからステルスをかけることも出来るが、そっちからかけてくれた方が確実だからな。魔法を扱ってる国だ。聞かれてる可能性もあると思ってくれ」
「……わかったわ。それはあたしが覚えることは出来るのかしら?」
「シナに呪鎖でも掛けてもらえばいい」
あたしには扱えないってことか。
「りょーかい。じゃあまた今度ね」
「あぁ、次は実行日だといいな」
通信を切る。
「……話は、あとでまとめてしましょうか。あとはどうする?やれることはなくなってしまったわ」
「そうねぇ……」
ルイスもどこかに行ってしまった。王も見当たらないし、顔見知りなんていない。
「帰れないかしらね」
「うーん。終わるまで待たなきゃダメかもね」
「ちょーっとめんどくさい、な」
「同感」
「こんにちは、おふたりさん」
後ろから声をかけられた。
「う、ウル!?」
「……アンウルド、何故あなたがここに?」
「正式に呼ばれているのですよ。アルケミア」
「あら?あなたみたいのが?どなたから声がかかったのかしら?」
「王から、正式に、ですが?」
昔の呼び名(?)で話し合う2人。
宿で会った時とは雰囲気が違う。
「あら.…あの2人またよ……」
周りから、ヒソヒソと声が聞こえた。
「こういう時くらい、辞めてほしいわね……」
「久々に帰ってきたのでしょう彼女は……何故彼はあんな調子なのかしら?」
「連れていかれちゃったからでしょう。ほら、彼……」
「あぁ、婚約者いた者ね…なるほど彼女が……」
「居心地が悪いわ。あれはわたしの所為じゃないでしょう」
「はは、何を言う。原因は君にあったよね?」
「……話し合いが必要みたいね……?」
「ほぅ、そっちがその気なら、いいよ。あと君も来な」
突然、ウルから声をかけられる。
何が起こっているの……?
もう、勝手に話を進めないで欲しいんだけど……
シナとウルが歩き出す。
それに続いて、ホールを出た。
「しばらく何も言わずに付いてきて」
シナが小声で言う。小さく頷き、2人に続く。
あとで全部説明してもらうから……。
あーもうっあたしだけ分かってないって、凄くイライラする。こうなるなら先に言っておいてくれれば良いのに……!
さいっこうに短いですごめんなさいそして話が進んでない件について。
次回予定:11月13日 20時




