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少女と呪石とほどほど人外  作者: 宮居/四葩
第2章
23/80

022 二つの依頼

担当:四葩

「シュリュッセル」

ウルは入ってきたのと同時に扉へ魔法をかけた。初めてあった日にも使っていたやつだ

「やぁ、昨日ぶりだね。アンジェ、シナ」

一仕事終えたウルがこちらに笑いかけてくる。


妹分のシイの警戒心とウルのこの人懐っこさを是非とも足して二で割ってほしい

「シイの説得は出来たの?」

「おいおい、もうちょい余韻くれよー来たばっかだぜ」

シナが単刀直入に問い掛けると、少しふざけた調子でウルが返す。

「はぁ、お茶淹れてくるわ」

エルはウルが来てから何処かに隠れてしまっていて、シナが席を立つと必然的にウルと二人きりになった。


二人きりになると気まずいわね

「そんなに怖い顔しないでくれよ。訊きたいことがあるなら口でな」

気まずい空気に表情を堅くしていたらウルに苦笑された。

「訊きたいことは山ほどあるけど、まあシナが戻ってから聴くし……ああ魔法の事訊いても?」

「答えられないこともあるけど。どうぞ」

「貴方今魔法を使ってるけど、本来は壁を造る魔法を阻害するから使えないんじゃないの?」

「アンジェは貴族に会ったのかい」

「ええ、お茶をしたのよ。その人の養子縁組を援助した……みたいな?偶然の産物よ」

そう応えるとウルが納得したような顔つきで笑った。

「確かに魔法をこの国で使うと壁の維持に影響する。けど微々たるものさ」

「塵も積もれば山ってことね」

呟けばウルが頷く。

「貴族等の暗黙のルールなんて俺たちには関係ないからな」

ここに居ない貴族にウルが嘲笑う。

「お待たせ。…何その笑い方キモい」

お茶を淹れて戻ったシナが辛辣なことを言う。

ほんと他とウルへの対応が凄まじく異なるな

「貴族様は小心者の集まりだって話してただけだよ。お茶ありがとな」

ウルがお茶を啜るのに続き、あたしもお茶を飲んだ。


メリジェさんの方が美味しいけどなかなか美味しい

「で、シイの説得は?出来たのかしら」

「まぁ概ね出来たよ。で、たぶん今日で完全に説得出来そうだ」

「なんで今日なの」

怪訝な顔でシナが訊く。

「アンジェが貴族とどういう関係なのか知ったからな」



「シイを豹変させた《あの女》ってやっぱりコーネリアなの?だとしたら誤解ね昨日初めて会ったんだもの」

「《あの女》がコーネリアって名だかは知らないけどな。……だから今日で説得は終わるよ。でもってアンジェに頼みがある」

「……言っておくけどコーネリアを殺せとか無茶しないからね」

出来るだけこの国では穏便に事を運びたいのよね

「出来るならしてほしいけどな。頼みはもう貴族に、《あの女》に会わないでくれってだけだ」

「……いいわ。でも変に避けると怪しまれるから約束は出来ない」

お茶会で厭な雰囲気で帰されたし

「了解。じゃあ脱走の手順だけど……ヒメル」

話の途中で忽然とウルが姿を消した。

「誰か来る」

シナが驚くあたしを声で制し扉を見つめる。するとノック音がして聞きたくもない声音があたしを呼んだ。



「お姉ちゃん、開けてー」



「お姉ちゃん久しぶり!元気だった?」

「……なんで来たのよ。あんたは王の所に献上した、そう簡単に王宮から出れないでしょうに」

「この後王宮でパーティーがあるんだ。お姉ちゃんも連れてきて良いってアリュード様が仰ったんだ」

それを聞いたルイスが得意気に話す。

「夕ご飯一緒に食べよう!僕のお披露目会でもあるんだ」


誰がお前なんかのお披露目会に参加するかっ

「行かな……「アンジェ行きましょう」

シナがあたしの言葉を遮り言う。

「国の情勢がわかるし、なにより王と話せる機会あるかもしれない」

「……わかった。何時に行けばいいの」

シナの言うことには一理ある。不本意だけど……ただ飯食べに行くと思えばいっか

「このまま一緒に来て。ドレスコードだから服選ばなくちゃ」





「アンジェ似合うわねそういう服も」

シナの目線の先にあるのは深い海色に染まったドレスだ。

そういうシナもハイネックの黒みが強い紫のドレスを着て束ねた髪を弛く横に流していて大人っぽい印象になっている。

「シナは大人っぽいわね」

「ありがとう。さてドレスも決まった事だし行きますか」

こうして王宮の衣広々とした装部屋をあとにした。


お披露目会の会場に行くと紳士淑女の群れ。肝心の王はいない。

そう思い辺りを見渡しているとざわめきが出る。王だ。

「皆よく集まってくれた。紹介しよう……ルイス」

アリュードが呼ぶとアリュード本人の影からすっとルイスが出てきた。今回はきっちりとしたスーツ姿だ。

「お初にお目に掛かります、次期王候補ルイスと申します」

ペコリと会釈をした。どういうこと?

「彼は素晴らしい能力を秘めている。ルイスならば壁の維持の大きなる助けとなるであろう……我等人間に女神の祝福を」

ワッと歓声が上がる。

なんだかついていけないぐらいの展開ね……まさかそこまで王がルイスに入れ込んでいるなんて


驚きが覚めないのでとりあえず、テラスで遠くを眺めていた。シナは情報収集のために人の波を泳いでいるようだ。

「隣良いかな?お嬢さん」

振り向くとそこには王が経っていて微笑んでいた。

「アリュード様……」

「あぁそんなに畏まらなくてもいい。名は…アンジェ……だったかな?」

「はい。アンジェと申します。この度は私めを呼んでいただき嬉しゅうございました」

深いおじぎをしながら様子を疑う。

「うん。こちらも感謝しているよ…あんなに可愛い、しかも魔法の素質があるなんて最高だ」

朗らかな声に顔をあげると微笑んでいた、目以外の表情だけが

「そんな方に手を下したくはないのだがね……少し、君は好奇心が強すぎる」

「………」

「壁には近づくな、あそこの奴らを視界に入れるな……努々忘れぬよう」

最後の言葉は冷たい刃物が首に突き付けられているようだった。

反射的に頷いてしまうとアリュードから滲み出る暗く冷たい雰囲気が霧散した。

「今夜話せて良かったよ……楽しみなさい」

また微笑んでアリュードはテラスから去っていった。

完全にアリュードが人に紛れるとその場に座り込んだ。

怖い、恐い、こわい

今はこの感情だけがあたしを占めている

……アルケア・ヘレナの王より怖かった

体が震える。

「……やらなきゃ」

震えを押し殺しシナのところへ向かう。

脱走させる方法を考えなくちゃ


次回更新予定→10月30日20時



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