一途な騎士の恋物語
誤字があれば教えてください
俺は今、片思いをしている。人のことを考えてこんなに幸せな気持ちになる日が来るなんておもいもしなかった。
騎士になって早14年、仕事一筋で女に興味を示さなかった俺がまさか恋をするなんて誰も思わないだろう。今や、王直属の守護騎士のNo.2になり、後は年を取って老後は静かで自然の多いところに移り住んで満喫しよう、なんて枯れたこと考えてた矢先に、一目惚れをするとは思ってもみなかった。
せっかくだから、俺が愛してやまない彼女について少し語ろうか。
彼女はいつも朝の６時に起きて６時半には職場に出掛けている。働いている所は『ビューレル・ドレサーズ』という服屋だ。
いつも彼女は１５分くらいで店に着き、それから店を開店させるための準備をしている時間が一時間１５分。９時に店は開き、彼女は愛らしい笑顔で接客をしている。接客以外の時間に彼女は仕事中の人たちと一緒に話をしながら服を作っている。
彼女は服を作るのに一番、時間がかかるようだ。だが、その分服は丁寧な仕上がりになっているし、何より彼女の愛情が詰まっている。彼女は自分の服を着て喜んでいる客を見るのが好きなようだ。
開店から７時間経った１６時に店が閉まる。売れたものの数、その日１日分の売上計算などを閉店後３０分位している。
次の日のための準備はしているときとしていないときがある。割合的にいうと７８．４％、１０．３％程か。残りの１１．３％は分からなかった所で、ここはどうしても抜けられない仕事や終わらせないといけない仕事をしていて、行けなかったときのものだ。本心をいうなら、仕事は隊長や部下に任せて行きたかったのだが、
ある日彼女が、
「自分のやるべきことをやらない人は嫌いです。同じように、仕事をサボる人も嫌いです。どうしても好きになれません。」
と言っているのを聞いて、彼女には嫌われたくないからちゃんと仕事をしようと思ったんだ。
次の日から、仕事を抜け出して彼女を見守りに行かなくなったうえに、最近見せていなかった真面目に仕事をする姿を見て、隊員は「失恋したから気を紛らわすため仕事に打ち込んでいるんだ」と話していた。隊員たちは、俺に聞こえていないつもりだろう。だが、知り合いにはよく「あいつの耳は地獄耳だ。」と言われていた、俺にしてみればわざわざ聞かせに来ているような声の大きさだった。
中には口お開けて驚愕しているやつもいた。幽霊を見たような目でこちらを見ているのもいたな。
隊長である、ラニは珍しいものを見たという顔をしていた。
そんな扱いをされたらいつもであれば微妙にキレていたかもしれないが、今はむしろ清々しい気持ちだった。
『仕事をしっかりしていたら彼女に嫌われる事はない』と気がついたからだ。
それは、彼女が「仕事をさぼる人は嫌い」と言っていたこの言葉の裏には『仕事をちゃんとしている人は嫌いにならない』というニュアンスが含まれているように感じたからだ。
彼女の家族、友人関係、これまでの22年間何をしていたか、は調べてすぐに分かった。そして、男性と付き合ったことがないということも知れた。もし、彼女がこれまでに男と恋愛関係になったことがあれば、その男に死にたくなるような苦しみを与えていたことだろう。
話を戻すが、初めは知らなかった彼女の好きなもの・ことについては見守っているうちにわかった。だが、好ましい人、好ましくない人がどういう人物かわからなかった。しかし今、それの片方の好ましくない人についての情報を得られた。好ましい人の情報を知れなかったのは残念だが、どんなことでも彼女についての情報が増えるのはいいことだ。
この事を、ラニに話したら、ひどく蔑んだ目で見られた。これが腐れ縁のお前でなかったら、どついているところだ。
仕事を抜け出して彼女を見に行っていたときは、
ストーカー、変態、ヘタレなど散々言われ、会うたびに殴られたり蹴られたりもした。その時と比べたら、いまの方が断然、ましな扱いをされていると感じる。
一度彼女と話そうとしたときがあったが、動悸が酷くなり、顔が強張り、まともに会話が出来なくなってしまった。好きな女性の前でひどいところを見せてしまい、死にたいと思ってしまった。
そのときのことをラニに、どうすれば普通に会話が出来るか相談すると、可哀想なものを見る目で見られた。
もう、あのときから4年。
いつまでも、見守っているだけでは、彼女との関係はなにも変わらない。
今日、彼女に話しかけて見よう。
《俺と彼女の関係》
他人以上知り合い未満
俺：26歳
彼女に片想いしている
彼女に話し掛ける決意を決めた
彼女：２２歳
俺に片思いされている
責任感のない人が嫌い
隊長 (ラニ)：２６歳
この作品で唯一名前が出てきた
俺と腐れ縁
最後まで読んで頂き有難うございました、
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