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ひかるこうら短編集

名もなき公園

 私の家の近くにその公園はある。

 広さはおおよそ30坪ほどの小さな公園。入ると中にはすべり台と、少し離れたところに木の机と椅子がある。一面は砂で覆われ、裏手は崖となっていてその上に木が生えている。隣にはビルがあり、道路に面している。

 道路を隔てた向こう側には、大きな公園がある。その公園には、仮にS公園としておこう、防災センターの施設があり、半分は砂地、もう半分は草や木が生えている。


 S公園にはいつも人がいる。サッカーをしている人や、応援団なのだろうかわからないが大きな旗を振る練習をしている人たちで溢れかえっている。先日は近くの大きな駅の避難訓練先になっていたりもした。


 一方、この公園はそういったことはなく、たまに隣のビルの人がタバコを吸いに来たりするだけだ。それ以外ではほとんど人を見かけたことはない。


 そんな公園だが、名前がない。

 地図で調べてみたところ、まったくもって名前がない。ビルの空き地だったり貯水池だったりというわけではないのに名前はなかった。


 私はその、名もなき公園が好きだ。

 道路を隔てた向こうにあるS公園よりもこの公園にいた方が居心地がいい。なにより静かだ。繁華街や駅から近く、道路にはいつも車が走っているものだが、この空間は外界と切り離されたかのように静かだ。夏場は蝉が鳴く音でどこかに迷い込んだ感覚を与えてくる。

 私は駅まで行ってきた帰り、よくこの公園に立ち寄る。椅子に座って本を読んだりする。至福の時を過ごせるいい場所なのだ。


 そんな名もなき公園がいつまでもあることを願っている。


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