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黒猫勇者と怠惰の宰相 〜引きこもりの俺、安眠のためにリモートワークで異世界を改革する〜   作者: 香箱
第2章:怠惰の辺境

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第23話:動き出した怠惰の化身

 グスタフとバルトスを玄関で迎え入れると、二人ともやたら丁寧に頭を下げてきた。そんなに畏まられても困るんだが、とりあえずリビングに案内してソファに座らせる。たまは俺の膝に乗り、尻尾を揺らしながら二人を観察している。


「まあまあ、そんな緊張しなくていいって。座ってよ」


「はっ……!恐縮です、ゼクト様!」


 いや、だから固いんだよ。

 バルトスは背筋ピンッ、グスタフは手を膝の上でぎゅっと握りしめている。うちのソファ、そんな格式高い家具じゃないんだけどな。


「で、今日は何の話?」


 俺が聞くと、バルトスが勢いよく立ち上がった。


「まずはご報告を!一か月前にいただいた“シフト制の導入”“詰め所の配置”“夜間巡回の静音化”などのご提案、すべて実行いたしました」


「お、おお……やったんだ」


「団員たちの健康状態は大きく改善し、日々の訓練にも活気が戻りました。その結果、個々の練度が向上し、フェルゼン騎士団全体が以前よりもはるかに精強になっております」


(……あれ、俺が適当に言っただけなんだけどな。そんなに効くのか)


 バルトスはさらに続ける。


「また、森側の警備も強化し、詰め所を三か所に分散配置!ゼクト様の“聖域”に近づく者がいれば、即座に対応できる体制を整えました」


「いや、対応は穏便にね。追い返すくらいでいいから」


「はっ!もちろんであります!」


 いや絶対わかってねぇだろこれ。


 グスタフが前に出て、深く頭を下げた。


「ゼクト様。あなた様のご助言のおかげで、フェルゼンは確実に良い方向へ進んでおります。そして本日は、もう一つお願いがございます」


「ん、なに?」


 グスタフは喉を鳴らしながら言った。


「バルトスを……ゼクト様の“専属”とさせていただきたく存じます」


「専属?」


「はい。交流のため、そして何より……ゼクト様の護衛として常に傍に置いていただければと」


 バルトスが片膝をつき、拳を胸に当てた。


「命に代えてもお守りいたします!」


(……専属の護衛ができるってことだな。ラッキー。外に出る気はほぼゼロだけど、まあ、いたら便利だよな)


「うん、いいよ。任せる」


「ははっ!!このバルトス、全身全霊でお仕えいたします!!」


 グスタフが続ける。


「さらに……ゼクト様の邸宅の隣に、駐留所を建てさせていただければと。あくまで静寂を乱さぬよう、最小限の人数で運用いたします」


(隣に駐留所……まあ、別にいいか。俺の生活に影響ないし)


「いいよ。好きにして」


 グスタフは感激で震え、バルトスは涙ぐんでいた。


「ゼクト様……!なんと寛大なお方……!」


「ナァ(ただの面倒くさがりよ)」


「はいはい」


 俺はたまの頭を撫でながら、ふと思いついた。


「そうだ。ちょっと渡したいものがあるんだ」


 二人が同時に顔を上げる。


「ゼクト様から……我々に……?」


「うん、ちょっと待ってて」


 俺はスマホを取り出し、ルミナショッピング(日本版)を開いた。

 “トランシーバー”で検索すると、すぐに商品が出てくる。


(トランシーバー2台セット、ハンズフリー機能付き 4000L……安っ。この世界の製品に比べるとタダみたいなもんだな)


 次に“ソーラーパネル”で検索。


(折り畳み式ソーラーパネル、USB-C/USB-A/DC出力 8000L……これも安いな。流通コストとかはどうなってんだよ)


 俺は二つをカートに入れ、注文ボタンを押した。


 ――ピンポーン。


 玄関のインターホンが鳴り、俺は立ち上がる。

 ドアを開けると、いつものように商品だけが静かに置かれていた。


「よし、届いた」


 俺はトランシーバーとソーラーパネルを持って戻り、二人の前に置いた。


「これは……?」


「連絡用の道具。これがあれば、俺からも呼べるし、そっちからも連絡できるよ」


 バルトスは震える手でトランシーバーを持ち上げた。


「こ、これは……魔導具……?いや、魔力の気配が……ない……?」


「ナァ(それ、ただの文明の利器よ)」


 グスタフは感極まったように言った。


「ゼクト様……!このような貴重な神器を……!」


(神器……まあ、そう思うよな)


「使い方は簡単。ここ押して喋るだけ」


 ソーラーパネルの設置方法とトランシーバーの使い方を説明した。


 俺の説明が終わると、バルトスは真剣に頷いた。


「承知しました!これより、この神器を肌身離さず持ち歩きます!」


「肌身離さず持っちゃだめなんだって。ちゃんと説明したとおりに駐留所に設置しておいてよ」


 俺はソファに戻り、たまを膝に乗せながら思う。


(……専属護衛に駐留所。なんか、俺の生活どんどん便利になってきてるな。何かあったらトランシーバーで呼べるし)


「ナァ(あんた、絶対に誤解されてるわよ)」







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