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魔王とjk

作者: くま太郎
掲載日:2026/01/23

前から書きたかった書いた短編です

 異世界転生したら、恋人が出来る……あの言い伝えは、やはりガセネタだったのか。

 (転生してはや三十年。日本は自由恋愛の国だから、俺も結婚……彼女出来るって思ったのに)

 彼女出来ない理由は、その自由恋愛の敗北者だからなんだけど。

 真面目に働いて、人には優しくがモットー。何があっても、怒らない様にしている。

  菅物すがもち凛吾りんご三十歳、独身。元いた世界トランクでは魔王でした。

今は、異世界日本で一生懸命働いています。


「いつもお世話になっております。矢川フルーツです。イチゴとオレンジお届けに参りました」

俺が働いているのは、果物の仲卸業者。今日はパンケーキ屋に配達に来ています。

(新店舗も好調みたいだな。それでこそ納め甲斐があるってもんだ)

 配達だから裏口にしか来た事がないけど、人気は分かる。俺が吟味した果物も喜んでいるだろう。


「菅物さん、いつもご苦労様です。やっぱり菅物さんが選んでくれた果物は間違いがないですね」

 馴染の店員さんが褒めてくれる。当たり前だ。魔王の能力を使いまくって鮮度や糖度をチェックしているのだ。

 攻撃魔法や近接戦が封印しているが、魔力はフル活用している。配達する果物には回復魔法を掛けて鮮度を回復しているのだ。


「農家さんの努力のた賜物ですよ。私は橋渡しをしているだけなので」

 これは偽らざる本音だ。俺は美味しい果物や美味しいスイーツを作る技術も持っていない。

 俺は、そのお手伝いしているだけなのだ。


「それでも助かっていますよ。これお礼と宣伝です。是非、お知り合いと来て下さいね」

 そう言って渡されたのは二枚の割引券。嬉しいんですけど、ここのお店のメイン客層は若い女の子ですよね?


 財布にしまった割引券が重たく感じる。

 俺は元魔王だ。普段を力を抑えているけど、今も魔王時代と変わらない力を使う事が出来るのだ……のだけど、人には得手不得手がある。

 あのパンケーキ屋のメイン顧客層は十代から二十代の女子。

 正直に言います。誘える人が一人もいません。

 なにしろ俺のライソの八割は男。女性の同僚も入っているけど、プライベートで食事に行ける程、仲が良い人はいない。

しかも全員既婚者なので、社用とはいえ誘うのはマナー違反だ。

(十代の女性か……一人だけいるんだけどな)

 あのパンケーキ屋のメイン顧客層に当たる女性が一人だけ、ライソに入っている。

  いるんだけど、誘うのは違う意味でためらってしまう。

 下手の考え休むに似たり、とりあえず今晩の飯を買いにスーパーに来た。腹が膨れれば、良いアイデアも出る筈。


「おにいも買い物?……もう、野菜もきちんと買わなきゃダメでしょ」

 会話数秒で駄目だしをしてきたのは、古津こづ梨乃りの。お兄と言っているが、俺の妹ではない。

 そしてこいつが唯一ライソを知っている若い女の子……誘わない理由はただ一つ。

 梨乃は十七歳の現役女子高生。俺が誘うのには、若すぎるのです。

  そして梨乃はポニーテールがトレードマークの美少女。

学校でも一・二を争う美少女との事(ソースは梨乃と同じ高校を卒業した会社の後輩)

つまり目立つのだ。

元魔王とはいえ、今はサラリーマン。社会的信用はお金じゃ買えないのです。


「この後買うって……梨乃、頼みがある」

 背に腹は代えられない。それに俺は梨乃両親とも親しい。誰かに見らても誤解は解ける筈。


「お兄が僕に頼み?しょーがないなー。特別に聞いてあげるよ」

 どや顔で胸を張る梨乃。その顔から年上に対する敬いは微塵も感じられない。

(梨乃にとっては俺は親戚のおじさん。俺の考え過ぎか)

 梨乃との付き合いはかなり長い。

俺は、高校を卒業して矢川フルーツに就職した。そして今のアパートに住み始めて、古津家と知り合ったのだ。

最初は梨乃のお父さんと親しくなり、そのうち梨乃にも懐かれた。もう十年近い付き合いのなのである。

だから、大丈夫な筈……。


「パンケーキ屋に付き合って。奢るから頼む」

 清水の舞台から飛び降りる覚悟でお願いをする。世間的にみたら、確実にアウトな好意だ。

(魔王軍の部下には絶対に見せられないな)

 トランクで最強の魔王と恐れらていた俺が猿人の……しかも十代の女の子に懇願しているのだ。


「パンケーキ屋?行きたい、行きたい!しかも、お兄のおごりでしょ?絶対に行く。いつ、行く?」

 俺の懸念をよそに乗り気の梨乃……彼氏出来たらから無理とか、誤解されたくないって断れると思ったんだけど。

普通に考えたら、梨乃からすれば俺は恋愛対象外。誤解とか考える方がきもいのかも知れない。


「日にちとかは任せる。駅前に新しいパンケーキ屋出来たろ?あそこ取引先なんだけど、お洒落過ぎておっさん一人だと入り辛いんだよ。お土産もつけるから頼む」

 梨乃は誤解しなくても、世間は違う。古津家にお土産を渡す事で、後ろめたい事はないって証明するのだ。


「あー。確かにあそこお洒落でお兄一人じゃ入り辛いもんね。大丈夫、僕がついていってあげる」

 現役女子高生から見てもそう思えると。


「割引券もらって使わない訳にいかないし……あれなら現地待ち合わせ、現地解散でも大丈夫だぞ」

 イケオジとは程遠しおっさんと歩くのはきつい筈。魔王様なりの気遣いです。


「えー、ちゃんと送り迎えしてよ。ついでに隣町のショッピングモールに連れて行って」

 俺の車が目当てだったのね。梨乃の両親は夜遅くまで仕事をしている。逆に俺は朝早い仕事なので、梨乃が小さい頃は面倒を見ていた。

 その流れで今も買い物ドライバーを頼まれる事がある。


「分かったよ。俺も見たい物あるし」

 実際はない。でも、こういっておけば別行動が可能だ。梨乃みたいな若い女子のが行くような服屋には近づく事すら不可能だ。


「決まり。それじゃ今週の土曜日ね。デートなんだから、ちゃんとお洒落してきてね」

 二ヒヒって感じで笑う梨乃。冗談だと分かっていても、ドキドキします。


 パンケーキ屋について、即梨乃を頼って正解だと思った。


「若い女の子しかいないじゃん。絶対に俺一人だと無理」

 普段は裏口からしか入っていない。しかし、正面はから溢れる陽キャオーラに魔王様は圧倒されています。


「僕に感謝してね。パパ、ママ、杏子のリクエストも聞いてきたし」

 杏子ちゃんは梨乃の妹で中学二年生。ショートカットの似合う可愛い女の子だ。


「ちょっと待てろ……いつも大変お世話になっております。矢川フルーツの菅物です。早速、割引券使わせて頂きますね」

 ビジネスモードに切り替えて、顔見知りの店員さんに挨拶する。これでミッションコンプリートだ。


「このイチゴ美味しい。お兄といると落ち着くし、久し振りに気分転換出来た……最近、学校に外国人の姉弟が転校してきたんだけど、なんか怪しいんだよね。トランクなんて聞いた事もない国から来たって言うのに、誰も怪しまないんだよ」

 思わずパンケーキを吹き出しそうになる。まさか梨乃に口から、その名前を聞くなんて。

 もし、俺が生まれたトランクの人間なら警戒しなきゃいけない。


「ほ、他に何か言っているのか?住んでいた町の名前とか?」

 もう一つ証拠があれば、確定する。出来れば鉢合わせは避けたいし。


「確かアストとか言ってたよ。二人とも美形なんだけど、学校の全員が夢中になっているの。気持ち悪い位に夢中なんだよ。洗脳を疑うレベル」

 アスト、忘れる訳がない。俺を殺した勇者生まれた国だ。

 もし、そいつ等が本当に俺が知っているトランクの人間なら。意地でも関わらない。でも、もし梨乃に害を加えるような容赦はしない。


 幸せ、今日はその一言に尽きる。大好きなお兄とのデート。しかもパンケーキつき。

 果物の事を夢中で語るお兄は凄く可愛かった。

 なにより

(お仕事モードにお兄恰好良すぎなんだけど)

 いつもと違うお兄を見れて、幸せいっぱいだ。

 ……だからお兄とパパ、ママ、杏子は僕守る。


好評なら連載を考えています。後輩に街コンに誘われる凛吾、それが梨乃にばれてとか

青果の仲卸に詳しい方いましたら、あるあるを教えて下さい

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― 新着の感想 ―
内容的に良いのですw ですが視点が混乱します。
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