〜番外編おまけ⑪ 高1 7月 体操服〜
・西田義隆。
高一。
元ぼっち。
身長164.8cm。
由紀が好き。
・野村由紀。
高一。
不思議ちゃん。
身長167cm。
西田が好き。
やばい体操服を忘れた。
このままでは今日の体育の授業が出れない。
仕方ない。隣のクラスの北村か名倉に借りるとしよう。
◇
北村優吾。こいつは僕の中学一年生の時からの大親友(?)。
「北村、体操服貸してくれ。頼む」
「あぁーごめん。無理」
「こっ…この…薄情者め…」
「意地悪しない!西田くんに貸してあげなって!」
と、隣にいた足立麗美。
こいつら、二人仲良く高校も同じだとは…。
僕らも人のことを言えないのだが…。
「いやぁ….俺、昨日体育で持って帰っちゃった」
「あぁ、そういうことね」
「ごめんね。西田くん。このバカが。体操服くらい置いときなさいよ」
「なんだよーバカってぇー体操服持って帰って洗わないと臭くなるだろー。良いのかぁ?俺臭くってもー」
「良くない。近づいてほしくない」
足立さんは北村から、距離をとって離れた。
「ってわけで、ごめんな。西田、他を当たってくれー」
「じゃ…じゃあ…名倉は…」
名倉将司。こいつも、中学一年生の時からの大親友(?)。
「おーい!名倉ぁー!西田がお呼びだぜぃ!」
北村が名倉の名を大声で叫んだ。
「やめなさいよ!恥ずかしいでしょ!ごめんね。名倉くん」
足立さんが北村に怒る。これは、慣れた流れだ。
「なに」
名倉がゆっくりと僕らの方に向かって歩いてきた。
「体操服をどうか…貸してくれ…」
「ない。家。ごめん」
名倉は結構落ち込んでいるように見えた。
そんなに落ち込まれるとおふざけでも責められない。
「いやいや、ありがとう」
さてどうしたものか。
体操服を貸してくれる頼みの綱が二本完全に途絶えてしまった。
まずい。非常にまずい。
このままでは、唯一の楽しみな体育の授業がベンチで座って同級生の動いている姿を見学するだけのクソつまらない授業に早変わりしてしまう。
三人に別れを告げ、とぼとぼとクラスに帰ると、
「本日、吉永先生、急用により、帰られたので、女子の体育は保健の授業に変更でーす!」
体育委員の一人が声高らかに叫ぶ。
「えぇー保健かぁー…」
周りの女子たちも肩を落としてクソつまらない授業に絶望している。
あぁ…そうなのか…可哀想に…保健の授業とか一番暇だr…
いや、待てよ!?
それなら、由紀に体操服借りれば良いのでは!?
我ながら名案。
◇
「できれば、体操服貸してほしい」
僕は恥ずかしかったので、由紀を人がいないところに連れ出して、その趣旨を伝えた。
「えぇ〜義隆着れる〜⁇」
「着れるし!言っとくけど、もう2.2センチしか変わらないからなぁ!?身長!」
「ふぅん⁇」
「洗って返すから、貸してもらえると嬉しい…です…」
「う〜ん、どうしよっかなぁ〜⁇」
わざとらしく腕組みしながら、上半身を左右にくねりくねりと揺らす由紀。
「えぇ…そこ迷うとこなの…?」
「最近、名駅付近に新しいカフェができたらしいんだよねぇ…」
「…」
「…」
「奢らせていただきます…」
「え⁇いや⁇そこまでしなくて良いよ⁇普通に一緒に行こ⁇今週の土曜日とか空いてる⁇…って‼︎あっ‼︎もう‼︎『行こ』って私が言っちゃったじゃん‼︎義隆に言って欲しかったのに…‼︎」
「えっ、あっ、ごめんなさい…」
「やっぱ、体操服貸さない」
「えぇ…まじかぁ…」
野村は完全にそっぽを向いてしまった。
僕は肩を落とす。
どうしたものか。体育の授業中完全に暇だ。
「…もぅ〜嘘だよぅ〜そんなに落ち込むなよぅ〜」
「え、貸してくれるの?」
「もう一度だけチャンスをあげよう」
「…と言うと…?」
「なぞなぞです‼︎美人ですらっと背が高くて、可愛くて、めっちゃ優しい女の子はだぁれだ⁇」
(めっ、めんどくせぇー!!)
「…早く着替えないと間に合わなくなるんだが…?」
「だぁれだ⁇」
「…野村由紀」
「私の優しさに感謝しなぁねぇ⁇」
ふふん。と勝ち誇った表情で、野村は僕に体操服が入った袋を渡した。
「ありがとう」
◇
僕は、由紀の体操服に着替え、いつもと違う体操服の感じ(主に匂いや感触、大きさなど)に、謎の性癖に目覚めそうになったが、色々我慢した。
由紀が、自分の体操服を着た義隆を見せろ、とかなんとかいうもんだから、着替えたあと、僕はまた由紀と人気のないところで集まった。
「前もこんなことあったよねぇ…」
「あれは由紀が悪い」
「ふへへ…あの時はごめんねぇ」
「許す」
由紀はじろじろと僕の今の姿を見た。
「へへへ…なんかこれ漫画とかでよく見るやつだぁ…」
「ラブコメとかのな…」
ラブコメのカップルっぽいからこそ、誰かにいちゃついてるところを見られるのが恥ずかしくて、由紀をここに呼んだのだ。
僕の発言に由紀はびっくりしたような顔をしたが、その後ににっこりと僕の大好きな愛らしい由紀の顔をになった。
「義隆も言うようになったねぇ…」
によによと笑いながら、上から下まで視線を流して僕を眺める由紀。
「なんだよぅ…」
「写真撮らせて」
「良いけど…」
学校指定の体操服だから、男女でデザインも変わらないって言うのに、何が面白いのか、終始によによしながら、パシャパシャと写真を撮る由紀。
いつかのクリスマスの、写真撮ってる時その時間を無駄にしてる理論は本当にどこに行ったのだろうか。
こーゆー僕が恥ずかしい写真ばっかり撮りやがって。
「ふふん。カノシャツだね」
「なんだそれ」
「彼シャツの反対だから、カノシャツ」
「彼シャツとかって、ワイシャツのイメージなんだが…」
「もぅ‼︎細かいなぁ〜‼︎」
「えぇ…」
「…じゃあ…」
ふわり。と効果音が出そうな動きで由紀は僕との距離を詰めて、近づいた。
「……彼シャツできるくらい大きくなっても一緒にいてね…」
由紀は僕を抱きしめて、頭を撫でた。
「わっ!学校では…そういうのは…あんまり…誰に見られてるかわからんし…」
「あぁ…ごめんねぇ…つい…」
由紀は、僕から離れると、しゅんと肩を落としてしまった。
そりゃそうだよなぁ。僕だって…。
僕は由紀の手を握った。
「とりあえずは…土曜日までそういうのは待って…」
こんなことしたり、言い合ったりしているから、いちゃついてるカップルだとか言われるんだろうなぁ…。
要するに僕も我慢できなかったのだ。
お読みいただきありがとうございます…✨
体操服って『イイ』ですよね…✨




