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  作者: OBOn


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18/37

〜冬休みって異常に短くて悲しい〜

~主な登場人物~


・野村由紀


不思議ちゃん

中一

身長165センチ

星座はインフルエンザ

血液型はクワガタ

好きな食べ物はない。甘ければなんでもいい

不思議すぎて、一人でいることは多い


・西田義隆


主人公

中一

身長145センチ

星座は水瓶座

血液型はA型

ただ単にコミュ障

虫苦手だが、触れられなくはない

ただ、虫触ると、つぶしそうなので、掴めない、触るのはできる、手のひらに載せるのも、手に這わせるのもできる

精通は小四

冬休みももうすぐ終わる。

僕は偉いのでちゃんと勉強をしている…だが…なかなか進まないのだ…。

そういえば冬休み明けは実力考査があるんだ。

色々なことがあって浮かれてたせいで、勉強しないと、また、テストの順位が落ちてしまう…。

「一緒に頑張りたい」なんて、野村に言ったくせに…僕はダメダメである…。

一応…あれから野村からの提案で、毎日野村とビデオ通話を繋ぎながら、お互いを監視しあって、夜の十時から十一時までは勉強することになったのだが…僕の頭が悪いせいで、全然冬休みの宿題が終わらない…。

野村は冬休み入る前に宿題を終わらせてしまっていたようだ…もう、実力考査に向けて、自分の勉強をしている。

とはいえ、僕も冬休みの宿題は一日徹夜すればなんとか終わるくらいにはできているから…まぁ…その後自分の勉強をするか…。

とりあえず、冬休みの宿題を片付けよう…。

僕は、今夜野村との通話の後徹夜することにした。



二日後。

ピロン♪

LIMEが鳴った。

野村からだ。

「勉強会しようよ‼︎」

「毎日しているのでは…?」

「違う違う、通話とかじゃなくて、どっか、カフェとかに集まって勉強会しよってこと‼︎」

「おー」

「あんま乗り気じゃない…⁇」

「いや、そんなことはない」

ない。断じてない。だが、ただ、まだちょっぴり残ってる冬休みの課題を勉強会に持っていって、野村に見られるのが恥ずかしいのだ。

ビデオ通話なら、手元を写さなければ、冬休みの宿題をやっているところは野村に見られない。

(それはそれで手元を隠しても気づかない野村はどこを監視しているんだって話になるが…)

でも、リアルで会って、勉強会するって言うのなら、話は別だ。

(まぁ、別に、野村に恥を晒しても、別にいいか…今更だし…)


僕は前とずいぶん変わったと思う。


きっと野村も…。



野村の最寄り駅の二駅隣の駅の周辺にあるカメダコーヒーで勉強することになり、集まって、店内に入った後、店員さんに四人席に案内され、野村がソファ側に座るかと思って、僕は椅子に座った。

しかし…。

「何で隣?こーゆーのって普通向かい合って座るものじゃ…」

「い~の‼︎これで‼︎」

野村は隣の椅子に座ってきたのだ。

「いや、じゃあ、せめて二人でソファ側座ろ」

「おっけぇい」

二人で立って、椅子側からソファ側に移動した。

なんともシュールな光景である。


野村は耳にあのイヤカフをしていた。


僕も耳に一個つけている。


これ多分女性用イヤカフだから、ちょっと恥ずかしいのだが…。

ちなみに、僕も僕でここに来るまでに野村からもらったマフラーをつけてきた。温かかった。ありがとう野村。

「冬休みの宿題まだおわってないのなら、教えてあげるねっ‼︎」

「…あ…ありがとう…」

でも…なんかやっぱ…複雑だ…。



「ねぇ、なんか、僕、野村の邪魔してない…?」

「なんで⁇」

「だって僕と勉強したところで、僕頭悪いし…僕に教えてる時間、野村は勉強できないわけだし…」

僕はしどろもどろに言葉を紡いだ。

野村は「はぁ…」とため息をついた。

「今度勉強会しよって言ってくれたのは西田だよ⁇一緒に頑張りたいって言ってくれたのも西田。それで嬉しかったのは私。OK⁇」

単調な声でOK?と聞いた野村の顔はめちゃくちゃに怖かった。

「あ…いや…責任を放棄しようしたわけではなく…」


「おぉーけぇ⁇」


と野村はもう一度怖い顔して聞いてきた。


火に油を注いでしまったらしい。


「おっ、おーけーです…ごめんなさい…二度と変なこと言いません…ユルシテ…」


「それでよし」


うんうんと野村は頷いて、いつもの野村に戻ってくれた。

「それと、私、邪魔だなんて思ってないよ⁇むしろ守護霊…みたいな⁇私、西田がいてそばにいるだけで、勉強効率めっちゃ上がるんだぁ…しかも、西田に勉強教えたら、自分の良い復習にもなるから一石二鳥なんだよねぇ…だから、

西田が隣にいるのは+100。

西田に勉強を教えて時間がなくなるのは−1。

西田が私より成績悪いのは±0。

西田に勉強を教えて復習になるのは+10。

みたいな感じ。いなくなったら私が困る」

「そっか…ならいいんだけど…」

「次同じようなこと言ったら、また家出するからね⁇」

「…肝に銘じときます…」



野村がさっきからメトロノームのように左に振れては右に振れ、うつらうつらしている。

次の瞬間。


かくん。


野村の頭が僕の頭にヒットした。


痛い。


「わぁ…いたぁい…ごっつんこ…‼︎…だぁ…」

野村ははっきりしない調子で言葉を発した。

寝ぼけてるな…。

くそぅ…痛い。涙も出てきた。


「…いたい…」

そんな僕の呻き声に反応して目を覚ましたらしい。寝ぼけていたはずの野村は二秒もしないうちに目を覚まし、腰に手を当て、ふんぞり返りつつ、声高らかに言った。


「どんなもんだい‼︎まいったか‼︎」

ふんす‼︎といった感じに自信満々な態度で野村は僕を見る。

自分の頭が僕の頭にぶつかったのがそんなに面白かったのだろうか。やたらによによしている。

いや、これは、僕が痛そうにしているのを嘲笑っているのかもしれない。だとしたら、野村は悪魔だ。

でも、なぜだろう、なぜか野村は少し嬉しそうにも見えた。

「…なにが?」

「えへへぇ、ごめんねぇ…大丈夫⁇」


やっぱり野村はよくわからん。



一時間後。

再び野村、うとうと。

そんなに眠いのなら、寝た方がいいと思うのだが…。

寝るときは寝て、やるときはやる。

そっちの方が効率的に勉強ができるような…。


次の瞬間。


がくん。


再び野村の頭が僕を襲う。


野村の頭が僕の頭に衝突するまでの時間がゆっくり流れるように感じた。


そのおかげで、僕はどう対策を取るか思考を巡らす。

まずい…勉強しにきたのに、頭をぶつけてばかりではまずい。

これでは、賢くなるどころか、頭空っぽのアンポンタンになってしまう。

でも、ここで僕が野村のヘッドアタックを避けたら、野村の頸がどうなるかわかったもんじゃない。

僕は覚悟を決めて、もしもの時のために身を固くしつつ、野村の頸を支えようと手を伸ばした。

しかし、野村の頭は僕の頭に当たることも、僕の掌の上に不時着することもなかった。


僕の手の上に不時着する直前でゆっくりゆっくり軌道を変えて、そうなることが当然だというように、キレイに、野村は僕の肩に頭を預けてきた。

「くぅくぅ…すかぴー…すかぴー」


寝息をわざわざ言葉にして喋っている。


野村よ…まさか…。


「肩が重い」


僕は腹いせに野村の頬を指先でつついた。


「にひひ、ばれちったぁ⁇」


野村は無邪気に笑う。


もしかして、野村は最初からこれがしたかったのか?

そこまで考えてないか…野村だし…。

やっぱりよくわからん。


「私は勉強終わったよぅ」


まじか…。

「西田…勉強わからないところあったら…言…って…ぇ…教え…る…から…ぁ…」

そうして、野村は机につっぷし、今度こそ本当の寝息をすやすやと立て、自分の腕を枕にして眠ってしまった。

僕も緊張で今日は二時間しか眠れていないので、眠かった。


僕も変な緊張をして目がギンギンなだけの非効率人間なのだった。



僕は野村のおかげで無事冬休みの宿題を終わらせた。

その後、野村の目が覚めるまで自習していたから、宿題プラスアルファでかなり勉強ができた。


野村の目が覚めた後は、特にやることもないので、帰ることになった。


外はすっかり暗くなって、夜になってしまっていた上に雨が降っていた。


「うわぁ…結構降ってるねぇ…傘…忘れちゃったなぁ…」


「僕のに入ればいいだろ」


僕は折りたたみ傘を持ってきている。


「ふぅん…⁇」


「なんだよ…」


「なんでも‼︎」



しかし、いざ相合傘なんてものをしてみるとだいぶハードなことなんだと言うことを思い知らされた。こういうときのために鍛えておけば良かった。

野村の方に傘を傾けると、僕の体の全部が傘の下に入らず、肩が濡れる。冷たい。

野村の方が、身長が高いから僕が傘を持っていると、腕をピンッと上に伸ばしてその位置をキープしなくてはならないので、腕がきつい。

そんな僕を見かねたのか。

「やっぱり私が傘持つよ」

と野村が提案してきた。


「いい」


僕にだって、意地はある。


「うーん…パソコン部は略してなんていうか知ってる⁇」

「なんで今パソコン部の話…?」

「まぁ、なんとなく」

「わからない」

「コン部だよ、コンブ。おいしそな名前だよねぇ」

「僕は昆布きらい」

「えぇえ…人生の十割損してるよぅ、それ」

「僕の人生全部が昆布で左右されてたまるか」


「私だったらどう⁇」


「なにが」


「どう⁇」


「……そーゆー問題じゃないだろ」


「ふぅん」


「…なんか…世界の人類みんな野村だったら、世界は平和なんだろうな」

「えぇ〜なんかムカツク。私が能天気人間だって言いたいの⁇」

「そうじゃないよ」

野村がほっぺを膨らませて怒ったような顔をしたので、僕は少し笑ってしまった。

「もぅ〜」

「…」

「…」


「世界のみんなが私になったら、西田がいなくなっちゃうじゃん」


野村はやっぱりほっぺを膨らませてふてくされた。



とりあえず、駅まではついた。

「おっけぇい‼︎ありがとっ‼︎気をつけてねっ‼︎」

野村が僕を見送ろうとした。

「傘ないんだろ。家まで行くよ」

「いいの⁇」

「うん」

「ありがと」

「うん」

「雨ヤバいね」

「そうだね」

なんとなく、今僕はすごく恥ずかしいやつなんじゃないか思えてきてうまく会話が続けられなかった。



しばらく歩いていると、折りたたみ傘では防げないほど、雨風が強くなったので、通り道で見つけた無人コインランドリーの店内に逃げ込み、雨風の勢いが弱まるまで寒さをしのぐことにした。最近は寒い。

「天気予報では快晴っていってたのになぁ…」

「天気予報とかマメに見るタイプなんだ…意外…」

「最近寒いよねぇ…」

「全身びしょ濡れだしな…」

「こ~ゆ~時は抱きしめ合って暖を取るんだよ」

「え、いや…身体濡れてるし…絶対…寒」

「えいやっ‼︎」

野村が飛びつくように僕に抱きついてきた。

「ちべたい」

「そりゃそう」

もうガクブルものである。

「もっと寒くなったんだけど⁉︎」

「え、のせい?」

「西田のせい‼︎もぅ〜風邪ひいたら、責任とってよね〜⁇」

責めるような口調とは裏腹にくひひ。と笑う野村を見て、寒いはずなのに、僕の身体は不思議と火照っていて。

そんな僕の全てを見透かしたように野村はやっぱりくひひ。と意地悪く笑った。

野村は不思議だ。

でも、そんな野村のなんでもない不思議なことのひとつひとつが僕はただただ嬉しくてたまらない。

僕も野村のそんな存在でありたい。



タッ…タワマンだぁ…。

見上げてみると、総階数四十階はゆうに超えていそうなバカデカ高級タワマン。

「よっし‼︎着いたぁ〜‼︎ありがとっ」

どうやらここに野村は住んでいるらしい。

「家に来た記念に写真撮ってあげるっ‼︎」

「いや…いらん…」

「はいはいスマホ貸してぇ〜」

僕は野村にしぶしぶスマホを渡し、タワマンのロゴが彫られた人工石の隣に立って、テキトーにピースをする。


ぱしゃり。


「はい。大切に取っとくんだよぅ〜」

そう言って野村は僕にスマホを返してきた。

野村が撮った写真を確認する。

「え、いや…」

野村だ。野村が写っている。それもによによにやついている。

「ん?どうしたぁ〜⁇」

「野村…これ…」

間違って内カメラで撮ってるよ…

「大切にする」

…なんて言えなかった。

「うんっ‼︎ぜひ‼︎」

僕のことを見てくれている野村の笑顔があまりにも素敵で綺麗だったから。



「…じゃあ、僕はこれで…」

タワマンの圧に怯え、僕は野村に背を向け、そそくさと帰ろうとした。

「ねぇ‼︎」

と、背後から声をかけられた。

「家の前まで来てみる⁇」

「え、いや…でも…」

と、鍵を電子錠にかざして、マンションのエントランスのオートロックのガラス扉を開ける野村。怖い!

「ほらっ‼︎」

野村は強引に僕の手を引いて、恐るべきタワマンの内側に僕を入れた。

その後野村は、至る所に設置されている電子錠に持っている鍵をかざして何回も開けていた。

やっぱり、お金持ちの家は色々すごい。怖い!

エレベーターに乗ると、野村は嬉しそうに僕に質問をしてきた。

「私の家は何階だと思う⁇」

「えぇ…十階?」

「ぶっぶ〜‼︎十六階でしたぁ〜1603号室だよ〜」

と十六階のボタンを押しながら野村はやっぱり嬉しそうに言った。

「…ふーん」

「覚えたっ⁉︎」

「あぁ、まぁ、うん」

「次来る時は迷わず来てね」

正直、こんな恐ろしい場所もう二度と来たくなかったが、気が向いたら来ても良いかな。なんて少しでも思ってしまった僕はもう。



エレベーターが十六階に着き、ドアが開くと、目の前に1603号室があった。

1603号室の玄関先に着いた。

辺りには誰もいない。


「…じゃあ…」


今日はもう帰ろう。


「うんっ‼︎一緒に来てくれてありがとっ‼︎」


明日も学校で会える。


「うん、じゃあまた…」


今日も明日もいつもと変わらないそんな幸せな日々の一日。

「じゃあねぇぃ〜」


それでも。


「待って!」


少しくらいもっと特別な日にしたいと思ってしまうのは間違ったことなのだろうか。


「もっかい…ハグ…したい…!」


わがままなことなのだろうか。


「いいよ」

野村が両手を広げた。

僕はその中に包まれるようにして入って、野村を抱きしめた。

本当は僕がちゃんと野村を抱きしめたいのに。

野村の方が身長が高いせいで抱きしめられるような形になってしまう。


ぎゅっ。


いつかは野村を…。


僕らはしばらく抱きしめあっていた。



「じゃまた」

「じゃあねぇ〜」

野村は家の鍵を開けて、入っていってしまった。

僕も帰ろう。

野村の家の目の前にあるエレベーターの下降ボタンを押したその時。


がぱちょ。


と何かを開ける音がしたので、振り返った。

1603号室の小窓が開いていた。

「あっ‼︎よっし‼︎間に合ったっ‼︎」

野村が小窓から顔を出してガッツポーズをした。


「また明日っ‼︎」


野村が小窓からぶんぶんと手を振る。


僕も思わず笑みがこぼれてしまって手を大きく振りかえしていた。


何が特別で何が大切かなんて今は分からないけれど。

過去を思い出して、あの頃は良かったな。なんて思わなくて良いように。

だけど、明日の自分にそう思わせることができるくらいには、僕らは今を大切に全力で生きていきたいのだ。



実力考査。

野村は1位/165位。

僕は21位/165位だった。

野村のおかげでめちゃくちゃ成績が伸びた。

野村も野村で流石である。

お読みいただきありがとうございます…✨

野村と西田は優しくて可愛くて幸せそうですね…✨

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