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  作者: OBOn


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16/37

〜冬は寒いですよ。風邪ひかないように気をつけましょう〜

~主な登場人物~


・野村由紀


不思議ちゃん

中一

身長165センチ

星座はインフルエンザ

血液型はクワガタ

好きな食べ物はない。甘ければなんでもいい

不思議すぎて、一人でいることは多い


・西田義隆


主人公

中一

身長145センチ

星座は水瓶座

血液型はA型

ただ単にコミュ障

虫苦手だが、触れられなくはない

ただ、虫触ると、つぶしそうなので、掴めない、触るのはできる、手のひらに載せるのも、手に這わせるのもできる

精通は小四

明日から冬休みだ。

世間は聖夜だとか、性夜だとか騒ぎやがっている。

みんな猿みたいにやれキスだの。やれセックスだの。イチャコラしやがって…。

結局、野村の明日の予定も聞けずに下校しちゃったじゃないか…。

僕なんて…僕なんて…。

自己嫌悪にひたり、布団に潜る。

しかし、僕はあの日、野村が家出した日にした約束を忘れていない。

今から聞いても遅くないのではないだろうか…。

僕は野村にLIMEを送った。

ピロン♪


「野村って明日暇だったりする?」


ピロン♪


「暇‼︎」


僕は、野村から即レスされた。



集合時間よりもだいぶ早くきてしまった。

午前十一時名古屋駅金時計。

見渡す限り野村はどこにもいない。

こーゆーのは男が女より早くきてはいけないとか聞いたことあるけど、実際どうなのだろうか。

とりあえず、隠れる…ってのもおかしいか…?

うーん…あっ…そうだ。

僕はその場を離れた。



三十分後。

「あー!西田おっそーい!五分前行動基本だよ‼︎」

「いや…あー…ごめん…」

一応時間ぴったりに集合場所に戻ってきたのだが、野村に怒られてしまった。

「ねね、どこ行く⁇」

「えぇと、まぁ、まずは…」

僕の家のテレビは一週間前までの番組なら録画しておける最新型テレビだ。

その機能を僕は昨日の夜大いに活用して、徹夜でオシャンなお店取材をしている朝の情報番組を見まくっていた。

そこで紹介されていたのは、キラキラーでふわふわーなわーけわかんない色の着色料ガンギマリ韓国ドリンクや、糖尿病や、その他健康を害しそうな病気を引き起こしそうなほど砂糖がふんだんに使われているであろうアメリカンフード。

世間では、あんなのが流行っていたのか…。

僕には何が良いのかわからない。

質素な和食サイコー日本サイコー。

だが…。

「…こことかどうかな?」

僕がスマホのマップアプリで指差して提案したのは、オシャシャシャンなカフェ。

「へぇえ〜良いねぇ〜行こっ」



「結構並んでるねぇ」

「そうだね…」

(まずい…どうしよ…)

「ねぇ」

(並ぶことを考えてなかった…何か話さないと…)

「ねぇ…」

(何か…何か…ないか…話題…)

「ねぇ~え‼︎」


ゴキッ。


僕は首の角度を九十度変えられた。

「いってぇ!」

「人が喋ってる時はこっちを向く‼︎」

「あぁ…ごめん…なんだった?」

(まずいな…徹夜で頭が上手く回ってない…)

僕は徹夜も相まって上の空で、野村と一緒にいる緊張からか、無意識に野村の方向ではなく、あさっての方向を向いていたようだ。

「今日の服、どう⁇」

どうって言われても…僕は服とか全然わからんし、ファションとかなんですかって感じだし。

なんとなく、茶色と白色のチェックのワイシャツ(?)を着ていて、その上に白のもこもこしたカーディガン(?)を着ていて、茶色の長めのスカートをはいている…なんか全体的に茶色と白色でもこもこしてる(?)感じくらいしかわからん…。

それに正直野村は何着ても似合う。

って言うか、こーゆーのって集合して最初にほめるべきだったものなのか?

それともとりあえず一息ついた今ほめるものなのか?

どーしよなんて言う?

野村のはやくしろビームが容赦なく僕に注がれる。

しかし、ビームから逃れようと、顔を背けると、また首を痛めることになる。

逃げられない。

意を決して僕は言う。


「…似合ってる…ね…」


(うっわキキキキキキッ………ショ!)

「ねぇねぇ、見て見てあの店‼︎スイーツポテトだって‼︎カフェの後に行こ〜‼︎」

(……聞いてなかったのか…野村よ…自分は、喋ってる時はこっち見ろっていったくせに…)


「…こっち…見てよ…」


(は…?)


「え…」


「あ…いや…違って…違わないけど…えっと…」


(僕は何を言ってるんだ!?)

クリスマスムードに当てられて僕はきっとおかしくなっている。


「なぁに⁇」


じぃっと僕をガン見する野村。


「…いや…似合って…るよっ?って?言った…だけ」


「ありがとう」


野村が答えたのはその一言だけだった。


そして、やっぱり野村は違う方向を向いた。


(やっぱりキモかったよな…)


寒かったのだろうか、僕は野村の耳が赤くなっているのに気づいた。

いつから赤かったのだろうか。



やっとカフェの中に入れた。

メニュー表を開き、何を頼むか悩む。

(全部高っ…サンドウィッチに、ホットケーキに、モンブランに、アイスぅ?…どれが正解だ…どれが正しい…………よしっ!ドリンクに逃げるか…うん…ここカフェだしな!かっこいいの代名詞ブラックコーヒーはもはや一周回ってなんかダサい!!だから、ここはおとなしく、変に背伸びせずホットティー!)

「ねぇ、西田は何頼むの⁇」

「え?えっとぉ…ブラックコーヒーとアイスかな…バニラの…」


「へぇえ‼︎なんかカッコかわいいね‼︎」


(うわあああああ!なんだよこのチョイス!?なんかブラックコーヒーでカッコつけて、でも実はバニラアイスも食べちゃうんです。どう?可愛いでしょ?的な?変なギャップ狙ったと思われただろ!しっ、死にてェー………まぁ、かっこいいって言われたから良いか!ありがとうブラックコーヒー……多分飲めないけど…)

「あっ、男の人に可愛いっていっちゃダメなんだっけ⁇ごめんね」

「いや、別に…」

実際僕は嬉しくも嬉しくなくもない…ただ少しくすぐったい感覚に襲われるのでできるならやめてほしい。


「かっ…かっこいいと思うよ…西田は…」


(あ…ダメだ…これ…これはこれで死…)


「やっぱ…どっちも言うの禁止で…」


僕はまだ死にたくない。



野村はモンブランにパンケーキにサンドイッチを注文して、ついでにココアも頼んでいた。

全部もれなく高い。

(と言うか、この後スイーツポテト食べに行くんだよな…?入るのか…?)

とんでもなく苦いブラックコーヒーをちびちび飲み、苦味と渋みで死ぬ味覚をアイスでなんとか回復させながら、飲み干した。

お互い完食したわけだが。

さぁ、ここで問題が発生する。

どうするんだ?こう言うの?奢るのか?でもどうやって、いつ奢るんだ?

一応友達がいないせいで全く消費されていなかった僕の全財産五万円(お小遣い四ヶ月分+お年玉)持ってきたけど…。

奢ろうと財布出そうとしたところで、多分野村に止められる…。

じゃあ、どうする…?

……………トイレに行くフリして…こっそり払…う……?

よしこれだな!?これだ!多分!?

「ちょっと、僕…」

(はっ…こう言う時に露骨にトイレ行くって言うのもどうなんだろう…)

「お花を摘みに…行ってきます…」

「ふふっ、上品だね。行ってらっしゃあ〜」

(あああああああああああああああああああああ)



何はともあれ、よしっ!とりあえず野村から離れられたぞ!

あとは…。

「あのっ、お会計お願いしますぅ…」

「はい、合計4752円です」

「あっ、はい、えっとぉ…」

(ん…?)

僕は財布の中を探ると、ここで違和感に気づいた。

(まずい!お年玉と、お小遣いを全く消費してないせいで、小銭がない!)

どうしようどうしよう。

千円札は前日財布がかさばらないように、親に全部一万円札に換金して、一万円札五枚で今日を迎えたことにとても後悔した。

「すみません…一万円で…本当に…すみません…」

「一万円お預かりします、申し訳ありません。五千円札を切らしておりますので、お返しが千、二千、三千、四千、五千と、二四八円になります。ありがとうございました」

とぼとぼと席に戻って、お会計を済ませたことを報告しようとすると、野村がくすくす笑っていた。

(うん。見てたな。これ)

「いや、その…勝手に払って…ごめん…」

僕が謝ると、野村は今度はあっはっはっと元気よく笑った。

「いーよ。あたふたしてる西田見てるの面白かったから許すよ。でも、スイートポテト代は私に払わせてね」

僕は、恐らく奢るタイミングを間違えた。



スイートポテトは野村に買ってもらい食べ歩き中。

「ねぇ、次はどこ行こっか⁇」

ワクワクと言う感じに僕を見る野村。

(考えてきたところはたくさんあるけど…)

「野村はどこか行きたいとか…ある?」

「どこでも~」

(それが一番困るんだよなぁ…)


「あっ、でも、クリスマスプレゼント選ぼうよ‼︎一緒に」


「………」


「デパート行こ‼︎デパート‼︎」


「…いいよ」



高山屋、それはデパート

豚・キホーテくらいなんでもある(と思う)。

お店も店員さんも商品もみんなキラキラしていて、目が眩しさでやられる。

そんな場所。

僕らはとりあえず、お店を外から眺めながら歩き回る。

「ねぇ、西田ぁ、もらうのならどんなのがい~い⁇」

僕は別にもらえるのならなんだってもらう。

爪楊枝百本とかでもいい。


だけど。


「寒いし…僕は…防寒具とかかなぁ…」


今日はクリスマスイヴ。少しくらい欲張ったってバチなんて当たらないだろう。


「そっ、そっかぁ…そっかぁ…‼︎」


野村が挙動不審になった。


(なんだ?…なんか…理屈っぽすぎたか…?)

「野村は…どーゆーのがいいん…だよ…」

「私も防寒具かなぁ…」


「そっか…」


(そっか…そうだよな…やめとこう…そうだ…よかったじゃないか…だって…朝あんまり選ぶ時間なかったし…これは…キモいから…)


そこらへんのマフラーでも買ってあげよう。


「ねぇ…西田、ちょっと、外に出ない…⁇」


「?いいよ…?」



「これ」


そう野村に言われて渡されたのは緑色のマフラー。

「これって…もしかして…」


「うん…ごめんね…あんまり…上手くできなかったんだけど…」


野村は珍しくしどろもどろだった。僕はもらったマフラーをさっそく首元に巻いてみた。


「あったかぁい…すごく嬉しい!ありがとう!」


「本当…⁇…なんか…重いかも…って思って…ぇ…」


野村の目からぽろぽろと涙がこぼれた。


またしても野村は泣いてしまった。


野村のことを泣かしてばっかだ。


ダメだな…僕は……………………。


いいじゃないか…別に…キモくても…きっと僕はもう取り返しのつかないほどキモい。

だからもういいじゃないか、キモくたって、重くたって、僕は…。


「これっ…!実は…僕もプレゼント…買ってたんだ…」


僕は鞄の中から、包みを取り出した。それは朝、集合場所に戻るまでの三十分間に買ったプレゼント。


実は僕は五万円の他に一応千円札を三枚持ってきていたのだ。


しかし、買おうとしたのはいいものの、急がないと待ち合わせに間に合わなさそうだったので、お釣りはいいですと言って、千円札三枚を店員さんに渡して走ってきてしまったのだった。


プレゼントの包みを野村に渡すと、野村はまたぱああっと笑顔になった。

(感情の起伏が激しいな…)


「ありがとうっ‼︎」


「…どういたしまして」


「ねぇねぇっ、開けていい⁇」

「…いいよ」


それを聞いてか聞かずか野村はすぐに包みを丁寧にかつ早く開き始めた。


僕は一応そっぽ向いとこう。


「何これ⁉︎指輪⁉︎」


「…みたいなイヤカフ…」


それは、指輪みたいでちょっと大きめのイヤカフ。


(流石に…指輪はキモいし、重すぎると思って、イヤカフに逃げたが…これはこれで重い…)


「嬉しいっ‼︎ありがとっ‼︎ちょっとつけてみるね‼︎」


しかし、野村は耳にイヤカフをつけるのに、てこずっているらしい。


そりゃそうだ。

鏡がないとつけるのは難しい。


「ねぇ‼︎西田っ‼︎つけて‼︎」


野村は僕にイヤカフを渡してきた。


…………あぁ………もぅ………もう!!!


「……うん…」


………………………………………僕は本当ならこんなキザなことするつもりじゃなかったんだけどなぁ………………。


僕は、野村の左手を僕の左手で包んだ。






















野村の薬指にイヤカフをはめた。









「え…」


「べっ…別にいいだろ…だって…今日は…クリスマスイヴ…なんだし…そもそもっ!これっ!イヤカフだしっ!」


野村は少しぼぉっとした後、ふと自分の感情を思い出したように、目の焦点がぶれぶれになっていき、定まらなくなっていった。


みるみるうちに、野村の目が涙で滲んでいく。


「……なんだよぉー…もぉぅ…なんなんだよぉぅ…」


次の瞬間、野村は、僕がぺしゃんこにつぶれてしまうくらい、僕をぎゅうぅっと抱きしめて、顔をぐちゃぐちゃに崩し、何かが溢れ出してしまうくらいに泣き出した。


「うぇえ…ありがとう…ありがとねぇ」


でも、今度は不安とか、寂しさとかの涙じゃなさそうだ。


あぁ…だめだ…なんだか…僕も…。


野村に抱きしめられて伝わってくるぽかぽかした温かさ。

心の奥底の感情まで何もかもが僕に流れ込んでくる。

だからわかる。わかってしまう。


心の形が嘘みたいにおそろいだったこと。


そのことがただただ嬉しい。

たったそれだけのことなのに、頭がどうにかなってしまいそうなほど、嬉しくてたまらないのだ。

そんなことに気づいてしまった途端、僕も、想いが溢れて止まらなくなってしまった。

なんて、そんなあまりにもヘンテコでかっこ悪くてみっともない姿を野村に見られたくない。

だから…


僕は野村を抱きしめ返した。

今僕はきっとすごく変な顔をしている。


野村に今の僕のこの顔を見られたくない。


でも、こんなにも強く野村を抱きしめてしまうのは、きっと、それだけの理由じゃない。

「僕もマフラーありがとうね」


こんな僕のことを不思議だと思ってくれてありがとう。


僕も大概重い。


僕らはけっこう似ている。


心がくっついて、とけあってしまっている。


もう、離れることなんて少しも出来そうもない。



「このイヤカフ片方あげるよ」


野村はイヤカフを一個僕に寄越してきた。


「いいの…?」

「うん‼︎」


「ありがとう…」


僕はそのイヤカフを受け取り、野村の前で自分の左手の薬指にはめた。


「わぁ…」


野村が僕の奇行(?)を見て、声を上げた。


「………なに」


「んーん!なんでもっ‼︎」


もう外は夜である。

名古屋駅の夜のイルミネーションだ。

辺り一面が赤、緑、黄色、白、青などの様々な色の光で包まれている。

綺麗な野村がキラキラとした光に照らされて僕の目により一層綺麗に映ってしまう。

なんて、そんな恐ろしいマジック。

明るいなぁ…。

栄駅で一回見たから、あまり感動はしなかったが、一応写真をパシャパシャと二、三枚は取っておこう。あとついでに動画も。

「…写真撮らなくていいの?」

僕はただぼぉっとイルミネーションを見ている野村に聞いた。

「あーうん、すごく綺麗なんだけどねぇ、なんかねぇ、栄駅で一回見たし、それに」

「…それに?」

「写真撮ってる時ってなんかその時間を無駄にしてる感じしない⁇」

なるほど…まぁ、確かに一理ある。

「でも、後悔しない?あの時写真撮っときゃよかったぁーって」


「後悔したら、また来ればいい」


野村はこちらに満面の笑みを向けて続けた。


「その時も西田がいて、私と一緒に撮ればいい」


そう言って野村は笑った。


そんなことを言われてしまっては、本当は今一緒に写真が撮りたかったなんて言い出せなかった。


これからの人生は長い。


またいつか必ず…。

野村の指輪がイルミネーションを反射して光っていた。

お読みいただきありがとうございます…✨

西田、かっこ可愛いよ…✨

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