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  作者: OBOn


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14/37

〜日々のコミュニケーションは大切です〜

~主な登場人物~


・野村由紀


不思議ちゃん

中一

身長165センチ

星座はインフルエンザ

血液型はクワガタ

好きな食べ物はない。甘ければなんでもいい

不思議すぎて、一人でいることは多い


・西田義隆


主人公

中一

身長145センチ

星座は水瓶座

血液型はA型

ただ単にコミュ障

虫苦手だが、触れられなくはない

ただ、虫触ると、つぶしそうなので、掴めない、触るのはできる、手のひらに載せるのも、手に這わせるのもできる

精通は小四

今日は期末テストが始まってから五日目。

今日で期末テストが終わる。

苦しみに耐え抜いた一週間が終わるのだ。

これほど嬉しいことはほかには無い。

一時間目の数学が終わり、二時間目の国語が始まった。

国語の試験、開始から三十分後。

またしても、野村は教室から出ていった。

(また体調崩したのかな…)

まぁ、もうそろそろ冬だしな…とそんなこと考えながら僕は期末テストを無事を終えた。



「西田、野村に連絡とかってできたりとかする?」


「………え?」

僕は期末テスト後担任の先生に呼び出された。

テストが終わって気分がとてもよかったってのに、先生に呼び出されて、僕は何かしてしまったのかと、怯えなくてはならなくなったことに不快感を隠せなかった。


でも。


「なっ…なんでですか?」

「いや、あのね…野村が保健室に行くって言って国語のテスト中に教室から出てったんだけど、保健室にも来ないで、それきりどっか行っちゃったんだ」


「………はい?」


僕は文字通り混乱した。

何もかもが理解できない。

「つまり、野村は…国語の試験中に教室から出てって、そのままいなくなったってことですか…?」

「いやまぁ…そうやって言ったんだけど…まぁ、いいや、でね、親御さんにも連絡したらね、教室から出てった後、家に一旦帰ってたらしいんだけど、試験中に中間も期末も全部受験する前に帰ってきたことについて親御さんと言い合いになって、家出しちゃったらしいんだよね」


ますます訳がわからない。


わざわざ自分から、試験中に出て行って、家に帰って親と喧嘩して、家出までする元気があるのなら、体調は悪くないはずだ。


あの不思議ちゃんは一体何がしたいんだ。


「それで、野村と一番よく喋ってる友達の西田なら、野村と連絡つくかなと思ってね、野村にどこにいるか聞いてくれないかな?」

野村がいなくなった。

そんなの僕だって心配だ。

だから、

「わかりました。」

僕は快く了承してしまった。


僕はバカだった。



ピロン♪

「野村、今どこにいる?」

僕は野村にLIMEを送った。

すると、すぐ返信が帰ってきた。

ピロン♪

「名古屋駅の金時計付近にいるよー」

ピロン♪

「わかった。そこにいて」

とりあえず僕は文面から見る感じでは野村が誘拐とかされていないようで安心した。

ピロン♪

野村から返信が来た。


「ありがとう」


僕は少し心がチクリとした。

「名古屋駅の金時計付近にいるらしいです」

「おぉ、そっかそっか!ありがとう!」

「……はい」


「じゃあ、先生達、名古屋駅向かうから!ありがとう!もう帰って良いよ。期末テストお疲れ様っ!」


「…え………?」


(……これで…良いんだよな?合ってるよな?…最適解だよ…な…?)

僕の心を先生は察したのだろうか。


「西田は友達を売ったわけじゃないよ。むしろ正しいことをしたんだよ」


先生はそう去り際に言った。


僕は気づいた。


そうか、僕の罪悪感の原因は、まさにそれだった。

野村の家出の理由なんて不思議で理解できないことだろう。僕はそう思い込んでそれ以上何も考えずにいたバカだった。


これは、きっと他の誰が間違っているとかじゃない。


僕が間違っていた。


野村は確かに不思議ちゃんである。

行動が読めない。

だけど、それでいて、人に迷惑はかけない。

そんな野村が家出をした。

先生が言ったことから考えられる家出の原因は勉強や試験や成績関係だろう。


だが、本当にそれだけだろうか?


これは、僕の思い上がりなのかもしれない。


でも…。


ピロン♪


「野村!やっぱ別の場所で集合しよ!!」


僕はどうしたいんだ?


ピロン♪


「なんで⁇」


ピロン♪


「栄駅のウォーター24で集合で!!」


僕は野村の問いかけには答えなかった。僕自身にもなぜかはきちんとした答えを返せる気がしなかったからだ。


ピロン♪


「わかったー」


別の場所に呼んでどうする?


野村に会ってどうする?


そんなこと考えても仕方ないかのかもしれない。


僕はとにかく今すぐ野村に会いたいから。


もしかしたら、こんなに会いたいと思ってしまうのは僕だけなのかもしれない。

期待なんてしない方がいいのかもしれない。


それでも…。


僕は走った。

全速力で。

だって、僕にとって野村は友達なんかじゃない。


やっぱり、野村は僕にとって不思議ちゃんなのだから。



栄駅に着いた。

ウォーター24というのは、地下鉄栄駅から直通の施設である。

僕は野村を探して走った。

(野村…どこだ…野村…)

すると、ウォーター24のガンチャに並んでいる野村らしき後ろ姿を見つけた。


「野村っ!」

野村はこっちを向くと、ぱぁあっと笑顔になり、並んでいる列を抜けて、僕の方に向かって走ってきた。


僕は野村に抱きつかれた。


「ちょ、へっ?えっ?あの…ちょ、ちょっと…」


僕は大衆の面前で(そうでなくてもだが)これは流石に恥ずかしすぎて、失神しそうだったので、野村を引き剥がそうとした。


だけど、僕は、野村が家出した原因が僕にもあるかもしれないことを思い出した。

僕は引き剥がすのをやめて、しばらくなされるがままになり、本当に失神しそうになった。


ずいぶん長い間抱きしめられたと思う。


野村が抱きしめるのをやめた。


「あの…」


野村の顔をやっと見れたと思ったら、野村の目は赤くなっていた。


「あのさっ!あの…あのっ!その…ちょっと、お茶し…ない…?」


(なんだ…これは…ナンパか?…ナンパなのか!?)

口下手さに死ぬほど後悔しつつ、僕は心の中でのたうち回る。

でも。

「うんっ‼︎」

野村は二つ返事で元気よく了承した。



「タピオカミルクティーLサイズで‼︎」

「じゃ…じゃあ僕も…」

心の中で流行乗り遅れてね?とツッコミを入れつつ、まぁ、これがいつも野村か…と安心した。

僕らはタピオカミルクティーを一個ずつ買った。

「ね、外出ようよ」

「…いいよ、いこっか」

僕らはウォーター24を出て、飲み歩いていると、公園に着いた。

草屋大通公園というらしい。

なんともオシャンティーなカフェやら、噴水やらが備えられている公園で、ぼっちで、インキャな僕にはいかにも無縁そーな場所である。

でも…

「わあぁ…イルミネーション綺麗だねぇ…」

イルミネーション…そうか…もうすぐクリスマスなのか…。

「…うん…綺麗だ………と……僕と思う…野村と見れて…よかった…ほっ…本当に…」

(キモいなぁ…いや…しかし…でも…)

「私もっ‼︎私もっ‼︎」

「そっ…うなんだぁ…」

「うんっ‼︎」

「…」

「…」

「私ね‼︎一学期の中間考査めちゃくちゃよかったんだぁ…」

「へぇ…」

「なんと、学年1位‼︎すごいっしょ」

「えっ!すごっ!」

「あっ‼︎西田が驚いてくれたぁ‼︎やったぁ‼︎」

あっはっはと野村は笑った。

そんなに今まで僕は感情に乏しかっただろうか。

心の中ではのたうちまわりまくっていたのだが…。

「あはは…んまぁ、話戻すけどね⁇1位取ったのが嬉しくて、期末も頑張ろうってめっちゃ頑張ったんだけど、一学期の期末考査は51位になっちゃってね⁇めちゃくちゃ下がっちゃったんだぁ…」

「へっ…へぇえ〜」

その時、163位だった僕からすればとてつもなく良い順位であるが、それを野村に伝えたとしても、励ましにはならない気がする。

「でぇ、その成績表、お父さんとお母さんに見せたらね、叱られはしなかったんだけど、いやぁな顔してね⁇『スマホが原因かなぁ、ゲームが原因かなぁ』とか言ってね…」

僕はギョッとした。


だって、あの野村が…


「そっ……かぁ…」


…泣いていた。


「へへっ…うるさいなぁって思って…その二つ、自分でやめてみて…『二学期中間考査こそはっ‼︎』って気合い入れて、けっこう頑張ったんだけど…全然できなくてね…数学の時間ね⁇なんか気分が悪くなって、保健室に逃げちゃったんだぁ…お父さんもお母さんも、私が体調崩したって聞いて心配してくれた…だけど、それがまた悔しかったんだぁ…みんな優しいのに、自分だけイライラして…なんか私独りばっかり、バカみたいって思って…自分の悔しさをどうすればいいかわからなくなっちゃった…」


「………うん…」


「期末考査も保健室に逃げようとしたのも、ほぼ同じ理由。でも、それだけじゃない。最近私おかしくなっててね⁇なんか私…前まで独りでいても平気だったのに…ふとした時に寂しいなぁ…悲しいなぁ…って思ったり…前まで出来てたことが出来なくなったり…急に不安になったり…なんか変なんだぁ…自分のことなのにね…もう何が何だかわからなくなって…いつのまにか勉強に集中できない理由を勝手に西田のせいにしてた…」


「…………」


「なーんか、もう自分が自分で何もかも嫌になっちゃってね⁇『もう帰っちゃえー‼︎』……って…へへっ…そしたら、めっちゃお母さんに怒られた…そりゃそーだぁ…って感じだよね…って…何言ってんだろ…私…ごめんねぇ…わけわかんないね…」


「僕も…ごめん…」


「なーんで西田が謝るのー⁇おかしいよー」


あははと野村は涙を拭いながら力無く笑う。


「ねぇ…」


「うん…」


「…私のこと応援してくれない⁇『頑張れ!』って。西田に言われれば、私もやる気出して、頑張れると思うんだぁ…」


(それは違う…違うよ野村…そもそも僕はキモイ…キモイから…僕は…だから…!)


「ぼっ、僕も!野村の事を考えて、どうしていいかわからなくなる時があるっ!」


「へ…⁇」


(悩みに悩んだ末やっとの思いで捻り出した言葉がそれか僕…!でも…!)


「変な行動をしたり、気持ちの悪い事を言ったり…でっ、でもっ!それはきっと僕が…ぼっ、僕が…!」


やっぱり言うのはやめようかと、躊躇ってしまう僕がいる。


伝えたら僕の心はとろけて、溶けて、なくなってしまいそうで怖かったからだ。


でももう大丈夫だ。

だって、野村がここにいるから。僕の目の前にいるから。


だって、僕は野村が…


「僕が!…野村だけしか見えていないからなんだと…思ぅ…!だからっ!!…大丈っ!」


言い終わる前に、僕をまた野村に抱き締められた。


「…ごめん…しばらく…このまま…」


野村は静かにそう言った。


僕の肩がじんわり湿っていく。


「知ってたよ…わかってたよ…でも…ただ怖かった…不安だったよ…ずっと…」


僕は、僕より身長が高い野村のことをもっと大人だと思っていた。

だけど、野村は僕と同じ中学一年生なのだ。

不思議ちゃんだから、わからない。そういうもんだ。不思議だからそういうこともあるだろう。と理解しようとすることをやめていた。

別世界に生きているような不思議な人間なんだろうと思い込むようにして、勝手に決めつけていた。

「不思議ちゃん」なんて、枠に当てはめないと、怖いから。自分に自信がなくて、わからなくて、恐ろしいから。

知らないことがあるだけで、どうにかなってしまいそうだったから。

でも、今は違う。

わからなくても良いから野村のこと知りたいと思う。もっと。ちゃんと。


「…野村のおかげで最近ずっとずぅっと楽しいんだ。心がふわふわって浮いちゃうようなそんな気持ちで。でっ、でも、時々寂しい…学校から家に帰ったら、その頃にはもう…次に会えるのは明日の登校中の通学路だといいなとかばかり考えてて…でもそれはそれで楽しくて…だから…」


「そんな気持ちを教えてくれてありがとう」


なんだ…言いたいことが言えた。やるじゃないか。僕。


………キモいとか…もういいかぁ…僕はキモくたっていい。それくらいが、むしろ多分十分なんだ。


僕は、気づいたら抱きしめられながら、野村の頭を震える手でゆっくり撫でていた。


撫でるたびに、野村の僕を抱きしめる力がどんどん強くなっていく。


「ありがとぅ…」


野村の不思議さに当てられて、狂わされてしまった僕は、日に日に気持ち悪くなっていく。


でも僕は、それで良いんだ。きっと。

「僕さ…口下手でさ…」

「…うん」

「LIMEとかも返信下手でさ…」

「…うん」

「自分から話しかけることもできないし…どもったりするんだけど…」

「…うん」

「こっ…これから、変えていくね…?急には無理だろうから…ゆっくりと…かもしれないけれど…」

「…うん…うん‼︎お願い…‼︎」

「こっ!今度さっ!一緒に勉強会しようよ!僕は成績めちゃくちゃ悪いから…野村に教えてもらうことになるかもしれないけど…その…野村と…一緒に頑張りたかったり…する…」

「嬉しい…ありがとう…本当に…ありがとう…」

もう僕は、野村のことを不安にさせない。



「これから、どっ…どうする?このまま一緒に逃げたりとか…する?」

「へ⁇」

「え?」

僕はなぜか気分が高揚していて、すごくやばいことを言ったと思う。

(もう、これはキモイとか、キモくないとかの問題ではない。やっぱり僕は超キモイ。超キモイ。超キモイ)

「あはは…いいね、それも楽しそう…駆け落ちみたいで…でも、私戻るよ…」

「そう…?」

「うん‼︎もう、大丈夫っ」

「それならよかった…」

「一番最初に私を見つけてくれたのが西田だったから」


……僕は…



夜の七時五分。

僕らは一緒に学校に戻った。

「せっ、せんせーぃ…野村、連れてきましたぁ…」

僕は頼りない声で職員室に入った。

「おぉ…そっかそっか…ありがとう、西田っ」

「はい…」

「野村っ!先生心配したんだぞっ!!名古屋駅の金時計にもいなかったし…勝手にどっかいくんじゃない!!!」

先生が野村に怒鳴った。

でも…

「先生っ!!じっ!実は!僕も野村の家出を手伝ってて…ェ…」

今回は僕も悪いから…。

「え⁉︎いやっ、違っ…‼︎」

「良いから…良いから…じっ、事実だから…」


それに…二人で怒られるのなら怖くない。



先生に二人で叱られた後、野村にもめちゃくちゃ怒られた…。

先生に叱られるよりも怖かった…。

僕から話しかけると言ったものの、次の日僕から話しかけても、一日中口を聞いてくれなかった…。

75位/164位。

お読みいただきありがとうございます…✨

野村良かったね…✨

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