表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

さようなら

作者: 南ゆう
掲載日:2025/12/04

俺は誰かとの別れの時、必ず「またね」と言う。

それは、また必ずあなたと会いたいから。

異性にだけじゃない。

誰に対してもそうだ。死んだ人間にでも。

しかし今、「さようなら」と告げなければならないようだ。

あなたと別れてからと言うもの、すべての物事は色を失い、生きる意味さえ失った。

1ヶ月たてば、3ヶ月が過ぎれば、半年が行けば。そう思いながら1年が過ぎようとしている。

俺だけ1人で同じ場所に立っている。

ポツンと。


そうして俺は鬱になった。

突然の眩暈や動悸。

体温調節ができなくなり果てには、常に希死念慮に苛まれている。


時折連絡が来る。

俺はあの頃と同じように返事をし、慈しみの心を向ける。

知ってか知らずか、あなたもあの頃と同じように甘えてくる。

腹が減った、映画がみたい。と。


2ヶ月前に会った時、ドライブしながら訊ねた。

もう一度俺と付き合わないか?

答えは曖昧だった。

彼氏が欲しいと言う言葉と裏腹に俺では役不足だと嫌と言うほど突きつけられた。


それでも俺は諦めなかった。

努力すれば必ず実る。

それが俺の人生の中で育まれた哲学だったからだ。


運動もした。身なりも整えた。ブランドで着飾った。


待ち受けていたものは何もなかった。

1人暮らしの自分の家に帰った時の静寂。

それと同じだ。

凪のような水面を揺らす風はどこにも吹いていない。


あの頃と同じではないことを突きつけられた。

それでも。それでも俺には努力して努力して努力することしか、それしか術を知らない。

一之太刀を知っているか?

たったの一撃に全てを込めて、それでカタをつけることだ。

もし一撃で決められかったらどうする?

次なる一之太刀を振るのみ。

当時剣道部だった俺はこの考えにひどく感銘を受けた。突き動かす原動力となった。


この大きすぎる問題にも何度も太刀を振るうことでいつかは道が開けると信じて、今も柄を握り続けている。

いつしか握っているものが刀なのか、なんなのかわからなくなってきた。


そうして今に至る。

今年中にカタをつけろ。

来年からは新しい気持ちで。

上司は俺を勇気づけた。

その通りだと思う。

この苦しさをどうにかしないと何も進まない。


何度も会いたいと告げたが返信はない。

いつか渡そうと買い溜めてきた海外のお土産を渡したい。

そして告げなければ。

さようならと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ