8話「森とおさらば!」
前回のあらすじ
森から出るために通る橋を渡るために、勇気の祠に行ったムギたち。試練を潜り抜け、ムギはマグマの部屋でマグマに入りそこで日本から来ていた異世界者の思いを継ぐのだった。
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しばらく待っていると、ハクが部屋に入ってきた。
『あるじ、早いね。』
ハクに今までの経緯を全て伝えた。マグマにつかって他の異世界から来た人の骨にあったこと、不思議なものをもらったこと。
「そのよくわからないものってのが、これなんだけどさ。ハクこれ知ってる?」
あそこで手に入れたオーバースキルを解放できるというカードをハクに見せる。他の話はわかったのだが、これだけいまいち使い方がわからない。
『ハクもわかんないな。でもそれきっと神具でしょ?』
「あー、そんなこと書いてあった気がする。」
『だとするとそれは人を選ぶんだよ。気に入った人しか発動できないようになっているんだ。その神具には自我があるんだ。』
え。これに自我があるのか。
こんなカードに自我がねぇ、と考えていると少しカードが反応した気がした。
『マスターとハクもういたのー?私ビリか。悔しい。』
そうこうしているうちにヨモギも試練を終えて出てきた。これで無事全員試練を終えることができた。そしてハクに説明したようにヨモギにもこれまでの経緯を全て話した。
『だから早かったのかー。私たちなんて12の試練を超えてきたんだよ。もうやりたくない。』
そう言ってヨモギはそっぽを向いて座り込んでしまった。
よほど疲れる試練だったのだろう。いつもは元気なハクも元気がない。
本当ならすぐに森から抜けてしまいたいが、2匹のことも考えて少し休憩してからいくことにした。
休憩した後僕たちは祠の最後の部屋に入った。
「これが、勇気の証か。なんか綺麗だな。」
その部屋にあったのは、勇気の証という光り輝くオレンジ色のオーブだった。
これがあのオークが求めていたものなのだろう。
これでやっと森から出れる。長かった…。
『長かったねー。これで森から出れるんでしょ?やっとだー。』
『私はそんなにかなぁ。だってきたらすぐ2人にあってここまできたわけだし。』
2匹の話を聞いてふと思う。まだこの世界に来てから3日も経っていない。だというのにもうこの森には2,3ヶ月いたような気がする。
日本では味わえない濃厚な1日を過ごしてきた証拠なのだろう。
「早速あの橋まで戻ろう。」
橋に戻ってくると、なんの変わりようもなく大きなオークが座っていた。
戻ってきた僕たちを見てオークはニコリと笑い、立ち上がった。
「おう、帰ってこれたのか。てっきりダメだったと思ってたぜ。」
『なんかキャラ違くない…?』
ヨモギのいう通りだ。こんな気さくなキャラだったのか、こいつ。
「よし。きちんと勇気の証もあるな。通っていいぞ、頑張ったな。」
「ありがとう。さっきとキャラ違くない?」
「あー、あの時は勇気があるか試してたからな。ああいうキャラを作ってるだけだよ。今はもういつも通りさ。」
そうだったのか。それにしてもこのオークは他の森にいるオークとはあまりにも違う。会話もできているし、何より門番という役目を持っている。上位個体か何かなのだろうか。
何かこのことを聞いては悪いような気がして、そのオークとは会釈して別れた。
「橋を渡ろう、ハク、ヨモギ。」
『『うん!』』
橋を渡っている間、いろいろなことが思い出された。
この3日ほどでハクとヨモギという仲間と出会い、この世界のことを色々知れた。あっちの世界のようなボーッとしている時間はなく、1分1分状況が目まぐるしく変化する忙しい毎日だった。
そんなことを考えているうちに橋を渡り終え、平原の地へ足を踏み入れた。
大変なことの方が多かったけど、いろんなことをこの森で得ることができたんだ。
今までありがとう、さらば、名もわからぬ森!
「これからもよろしくね、ハク、ヨモギ。」
『もちろんだよ、ハクはどこまでもあるじについていくよ。』
『私も同じ。これからもよろしくー。』
これから僕たちの冒険はどうなっていくのか。
僕の望む、もふもふスローライフは叶うのか。ここから僕たちの物語は動き出すのだった。
あとがき
いつも読んでくれている皆様、ふらっと見てくれた方も読んでいただきありがとうございます。初めまして、この小説の作者のユルヤカと申します。
どうしていきなり、このようなあとがきを書いているのかと言いますと、この話で1章が終わったからです。たったそれだけ。
ムギたちの物語はここから目まぐるしく変化していきます。読者の皆様に少しでもその躍動感、ほんわかさをお伝えできればと思います。
また、次の話から少々小説の書き方を変更する予定です。
もし、「前の方が良かった」などのご意見がございましたら教えていただけるとありがたいです。
それでは、次の話でお会いしましょう。
(久しぶりにこんな堅苦しい文書いたから、疲れたよ)