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10話「初依頼を受ける!(前編)」

『これとかどう?やりやすそうじゃない?』

『いきなり戦闘は危険じゃない?マスターならやられちゃうかも。』

『いやいや流石にあるじはそんなに弱くないよ。』

「聞こえてるよー?」

『あっ。』


 失礼しちゃうな。森でレベルも上がって強くなっているんだ。


 僕らが何をしているのかというと、冒険者として初めての依頼を選んでいるのだ。

 まあ、僕は選んでいないのだが。


 選びたい、選びたいとハクとヨモギがねだってきたので、選ばせてあげているのだ。まあ、どれがいいのかわからなくて選んでもらってるのかわからなかったのだが。


『マスター、これでもいける?いや、無理か。』


 そう言ってヨモギが僕に見せた依頼の紙を僕が見る前にパッと隠す。

 見る前から無理って決めつけるのはどうなんだ、と思いながらヨモギが隠した紙を見ようとヨモギに近づく。


「ヨモギ、見せてよ。ほらほらー。」

『マスターがいじめてくるー。怖ーい。』

「ムギさん、いじめるのはダメですよ!仲良くしないと。」


 ヨモギから紙を見せてもらおうとしたら、ルミさんが間に入って止めてきた。

 だめだ、騙されちゃダメだ!ルミさん!


 そんな声が届くはずもなく、僕が悪いとしてその場は収められた。勝ち誇ったような顔でこっちをみてきていたヨモギは後でちょっと刑罰としてもふもふさせてもらおう。


「それで、結局何の依頼にしたの?」

『ゴブリン討伐の依頼にしたよー。ゴブリンならあるじもやったことあるし大丈夫だよね?』

「うん、流石にね?」


 ゴブリンならオークよりも弱いはずだ。それなら簡単に勝てるはず、だよね?

 少し不安になりながらも、受付に依頼の受注を申請しにいく。


「この依頼受けます。」

「はーい、ゴブリン討伐ですねー。わかりましたー。」


 やけに伸ばしを多用するなぁ、と思いながら受付のお姉さんが依頼受注の処理をしているのを待つ。お姉さん、と言っても多分同い年ぐらいだろうけど。

 他の受付の人に比べたら若いし、まだ顔が幼い。もしかしたら僕より若いかもしれないな。


『あーっ!マスターが受付の人に見惚れてる!』

「ムギさん!何してるんですか!」

「ヨモギ、違うから。やめよう?そういうの。」


 ヨモギのちょっかいにルミさんが反応してしまう。

 ルミさん、この人厄介かもしれない。ヨモギと組み合わさったら対処できない!


 そうこうしているうちに受付のお姉さん、いや女の子が受注処理を終えて戻ってきた。


「お待たせしましたー。それでは頑張ってきてくださいねー。」

「はい、ありがとうございます。」


 受付の女の子が手を振ってくれているので、会釈してギルドから出る。

 隣でヨモギがニコニコしてた。多分受付の女の子に手を振られていたから、ちょっかいをかけようとしたんだろうけど、その前にパシッと顔を手で挟んで止めさせた。


「よし、それじゃ依頼やってみようか。どこに行けばいいの?」

『えっとね、この街から少し言ったところにある平原の村の近くにゴブリンの集落があるみたい。でも、集落壊滅は僕たちのランクのEランクじゃできないから、出てきたゴブリンを討伐する感じかなぁ。』


 ハクの情報を聞いてやることを理解する。

 集落から出てきたゴブリンを倒せばいいだけなら、簡単だ。


「それじゃあ、行こうか。」

「はい!」

「えっと、ルミさんはきちゃダメだよ?登録してないから。」


 きちんとこの世界にもルールだったり法律というものがある。

 その中の一つの冒険者の決まりとして、一般人(ギルドに登録していない人物、戦闘系の商業についてない人物など)とは一緒に依頼を受けては行けないという決まりがある。だから、ルミさんは連れて行けないのだ。


 そもそも何でこんなに着いてくるんだ?

 元々道案内してくれるだけのはずだったのに。


「ルミさんはそろそろ帰ったほうがいいんじゃ…?」

「帰る場所がないんです。だからお願いします!」

「でも依頼には連れて行けないので…。」

「わかりました、それじゃギルドで待ってます!」

「は、はい。」


 圧に負けて了承してしまった。

 ギルドで待ってるって何をして待っているつもりなんだ?


 依頼は結構な時間がかかる。

 そんな中待ち続けるとなると、結構辛いものがあると思うのだが。


 そんなことを考えながら依頼の場所へと向かうために、街の門へと向かった。



◻︎ ◻︎ ◻︎


プルルル プルルル


「はい、ご用件は何でしょうか。」

「セバスさん、俺です。ルミさんがギルドに来てます。早めに回収してください。」

「あぁ、あなたですか。お嬢様がそちらに。わかりました、すぐにそちらに向かいますのでしばしお待ちください。逃げないように見張っておいていただけると。」

「わかりました。」


ツー ツー


 昔っからそうだ。ルミさんはすぐに脱走して周りの人を困らせる。

 だからか、いつの間にかルミさんの執事であるセバスさんと連絡を頻繁に取るようになった。


 はぁ、いつになったらあの人はおとなしくなるのか。

 そんなことを思いながらセバスさんがくるのをおとなしく待つことにした。

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