夢の中
掲載日:2025/04/21
ある日のことでございました。
男は和室で昼寝をしていました。
時は夕暮れに近づき始め、部屋に入る西日が強く成ってきたときに、男は夢を見ていました。
その夢には一人の女が出てくるのです。
女はしゃべるでもなく動くでもなく、ただじっと男のことを見ているのでした。
男もまた、ただじっと女のことを見ているのでした。
女はまるで絵画のような人物でした。
肌はのっぺりとした色味に、うつむいたような顔をしており、美人というには少々名ばかりな女でした。
長い黒髪を垂らし、青色のワンピースを着たその女は男に対して何かを伝えたいようなそんな目をしていました。
男はその視線を感じたのか、女に話しかけようと試みましたが、いかんせん口が動かないのでありました。
「これは夢の中なのだ。だから話すことができないのだ。」
そう思った男はまた女をじっと見つめ返すのでした。
しばらくして男は目を覚ましました。
西日に照らされていたためか、男はびっしょりと汗をかいていました。汗を吸ったシャツからはつんとするようなにおいがしてきており、とても夢の中の女を思い出している場合ではありませんでした。
窓の外には沈みゆく太陽と、外の商店に買い物に来ている客の声が聞こえており、それはまた一日の終わりを告げているように感じました。




