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九十九話

 王国首都から斜め後ろと言って良い立地にそれなりに高い丘がある。


 その地下に拠点を作るのはどうかと言った話になった。首都の地下と言う当初の計画はあの剣聖が恐いと言う事で保留。


 とにもカクにも、今は勇者なんかよりもその剣聖が恐いと言う事でその様な流れになったのだが。


「ねえ?勇者って本格的にダンジョン攻略の旅に出たんだよね?ソレに剣聖は付いて行っているのかなぁ?」


「いえ、そこまでの情報はまだ得られておりません。直ぐに調べて参りましょうか?」


「止めておこう。その内に分かるよ。首都に向かうにしろ、まだ時間はあるし、行く途中にある町や村ででも情報は得られるだろうから急ぐ事も無いよ。到着までに得られた情報で何処に拠点を作るかをまた話し合う必要も出るだろうしね。今は一応、と言う事で。」


 僕らはバークの町からまだ出てはいない。別段急行しなくてはならない案件では無いから。


 あの調査官の新情報がこれ以上得られていないので今は取り合えず「剣聖が同行人として勇者と首都を出て行っていれば良いな」と思うくらいである。


 まだまだ弱いであろう勇者を保護すると言った意味で強者を付けて旅に出すと思われるけれども。


 国王がどの様な考えをしているか等までは今の時点では分からない。


 もしかして臣下が王の意見に反対して剣聖を国に残す様にと進言していたりするかもしれない。


 まあその逆もあるかもだが。


 勇者は言うなれば人族からすれば最終兵器な訳で。ソレが殺されてしまう様な事態に陥れば人族の未来は断絶だ。


 ソレを考えるなら普通は勇者の身の安全の為に小隊の一つや二つ付けてもおかしく無いハズだけれども。


「防衛を考えれば剣聖を国に残すと言った事も重要だろうしなぁ。」


 マードックが今破竹の勢いで人族の領地を攻め入っていると言った話もある。


 ソレにビビッた者たちが勇者の事よりも自分たちの安心安寧の為に強者を側に置いておきたいと訴える事は簡単に想像できる。


 だけども防衛と言ってもだ。寧ろ逆に攻め入って占領されてしまった地域を取り戻すと言ったやり方もある。


 その攻め入るのに剣聖を前面に出すと言った方法だ。


 これならば連れて行く兵の士気向上にもなるので悪い手では無いと思うのだが。


 ここで僕はふと思い出した。


「・・・剣聖の実力って、魔族の平均的な強さと比べてどんな感じになるのかな?そこを考えて無かった。」


 別に僕が心配なのは自身のこの先の運命であって、魔族の未来でも人族の将来でも無い。


 だけどもここで考えて、把握しておかねばならない。あの剣聖をここまで何で僕は過剰に恐れているのかを。


 コレにメーニャが少しだけ悩んだ様子を見せた後に口を開いた。


「わたくしの私見で宜しければ。そうですね・・・地上で正面から正々堂々と剣の腕だけで戦えば、その剣聖と呼ばれている人族の方が若干の有利と言った所でしょうか。」


「・・・それって充分以上に油断がならないって事じゃない?」


「いえ、それ程の脅威では無いとわたくしは判断致します。逆に言えば、空中から、後方より、悪逆無道に、魔法を放つ戦闘になれば魔族の方が圧倒的に有利ですので。と言うか、そうなれば絶対に魔族が勝ちますので。」


「え?・・・それもそれで、何かやだな・・・」


 メーニャのこの結論は要するにだ。剣聖などと言われる強者であろうが所詮は人族、魔族の本領を発揮すれば絶対に勝てる相手と言う事で。


(ソレでも何だか嫌な予感しかしない。あの剣聖には・・・何があるんだろうか?)


 こうしてメーニャから「所詮人族、大した事は無い」との言葉を貰ったりしたが、それでも僕はまだ剣聖への不安と疑心が何故か拭え無かった。

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