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九十八話

 さて、このバークの町をまた去る前に、あのぐうたら貴族と反抗組織の顛末をメーニャに教えて貰う。


 この抗争は良い所に来てあの調査官、「剣聖」などと呼ばれる者が現れた事で最後までこの目で見届けずに撤退をした訳だが。


 メーニャに掛かればその情報もササッとパパッと集める事が容易な訳で。


「反抗組織の構成員はその六割が捕縛されましたね。とは言え、目的を達成した事で組織は解散となって残りの人員は散開し潜伏して捕まらずに済んでいるといった感じです。」


「へぇー。取り合えずは貴族の私兵たちの排除ってのはできたのか。」


「いえ、あの貴族の首が物理的に飛んだのでソレで無理やりに収束したと言った感じです。」


「・・・え?ナニソレコワイ・・・」


 僕は一気に顔を顰めた。だってソレを為したのだろう存在はあの調査官だと直ぐに察したからだ。


 もう少し詳しい説明を求めてみれば、僕の想像とそこまで変わらなかった。と言うか、もっと酷かった。


「いや、裏付け調査とか、尋問とかは?え?無い?・・・貴族の屋敷にそのまま行って、対面するなり、何らのやり取りも無く即座に首チョンパ?・・・ウソでしょ?」


 そこまで蛮族なのかと驚きが凄すぎて半ば呆然とさせられる僕。


 やはりあの調査官、剣聖などと呼ばれる者とは絶対に接触をしてはいけないと改めて感じさせられる出来事である。


 何がどうしてそんな流れになったのかは分からない。


 だけどもそれ以上の情報が無いらしく、この件に関してはソレで何もかもが終わりへと向かったと言う説明を続けたメーニャ。


 町の管理の役人も、貴族の屋敷に用事で出入りしていたであろう商人たちやらも、その他諸々の関係者各位も、誰もそれ以上を求めず、踏み込まなかったらしい。


 そう言った感じで関係者各位は只粛々と指示を受けた仕事やら命令を熟してあっという間に片付けが済んだそうな。


(手回しが良過ぎるとか言っただけじゃ無いよねそんなの。いや、うん、あの調査官に睨まれて何か言い返せる者もいないだろうけども)


 処刑、と言って良いだろうその死んだ貴族の代わりの派遣も、役人が即座に済ませていてあと数日でその代官が来るらしい。


「そんな事になっていたとは露知らず。うーん、その剣聖の居るだろう首都にこれ以上近づいて良いモノかどうか悩まされる話だなぁ。怖気づいちゃうよ、そんなの。」


 当初に考えていたプランの変更も余儀なくする様な事実であるコレは。


 あの剣聖の前に出れば、魔族、魔王である僕らなんぞは即座に斬り掛かられて当然の事案である。


 とするならば、このまま王国の首都に向かうのもどうかと考えさせられる訳で。


「よし、一部変更で行こう。なーに、大元の方向性は変えないで、潜伏する地を変えるだけで良い。王国の地図ってある?じっくりと吟味しよう。そうしよう。」


 ビビりました。日和りました。だってそんな交渉、ましてや会話ですらできなさそうなヤツ何て相手にしてられ無いから。

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