八十一話
ビクともしない事に僕は訝しむ。流石にここまで来て開かないのはどうなのか?と。
「ここは魔法での保護がされていたんじゃないかってメーニャは言っていたけど。これ、どう思う?」
「こうなればやはり、何かしらの条件が無ければ開かないと言うのが可能性としては高いかと。」
力づくでは無理、その様な結論が出た所でもう一度引いてみるが。
「・・・ダメだね。普通に開かないや。こうなったらその条件ってのを考えなくちゃいけないって事になるんだけども。うーん?ここまで必死になってこの扉を開けなくても良いんじゃないかと思えて来たよ。どうせ中へと踏み入る気では無くて、ちょっと中を覗いて見ようと思っていただけな訳だし?最悪開かないなら開かないでもうそれで良いんじゃないかな・・・」
溜息と共に諦めの言葉を吐く僕。何事も固執してはいけない。気を楽にして生きて行く為には。
そうして何となく視線を扉から外したら扉の部分から少し離れた位置にある妙な出っ張りが目についた。それは拳大の円柱の。
「・・・怪し過ぎるよ。メーニャも分かった?」
「コレは、二つありますね。どう言う事になっているのでしょうか?」
その出っ張りがある位置的にこの扉との関連性が疑われる。
僕らはその出っ張りの前に立ってソレをまじまじと観察してみる事に。
するとそれの一つにはでっぱりの先に「◁・▷」の刻印が入っていた。
もう一つには「▶・◀」である。
「まさかなぁ。これを押し込むと開く仕掛け?」
もう僕にはそうとしか思えなかった。この様な単純な表記でしかないが、何故だかそんな確信しかない。
何らの使い方の説明も明記されていないが、恐らく合っている。そんな思いのままに僕はこれを。
「ポチッとな。」
勢いだけで押してしまう。何らの考え無しに。
ここまで来たのだから後は目的をしっかりと達成しようと思っただけだ。かなり軽い気持ちだった。
そしてソレは正解で、失敗だった。
何処からともなく響いてくる振動に僕らは緊張を強いられ、そして。
「めっちゃ物凄い早さで扉が開いてる!?」
引き戸と言うのは正解だった。そしてソレが振動が治まると同時に目にも留まらぬ速さで全開になったのだ。
ソレを止める事など出来ず、扉は開かれた。
当初の「隙間をちょっと空けて中を覗く」と言った目的は達成できず、寧ろ失敗に終わったと言う事だコレでは。
「うおッ!?・・・何かしらヤバイ物でも飛び出してくるかと思ったけど、何も無いね?いや、何も無い所じゃ無いや・・・ナカ、めっちゃオカシク無い?」
僕もメーニャも警戒して身を固めるけれども、何かしらがいきなり起きた訳でも無く、物凄く静かだった。
だがしかし見えているこの「魔神教会」の中が明らかに不自然過ぎた。
これにはメーニャが物凄く警戒を滲ませながら言う。
「これは・・・あり得ませんね。外から見る大きさと中の広さが釣り合っていません。空間系の魔法が掛けられているとしか・・・この規模は流石に想定を遥かに超えます。中に入るのは非常に危険ですね。何が待ち受けているか想像もできません。」
掘り起こした外観も超が付いても良い程に巨大建築物だった。
しかしソレを遥かに上回るおかしい程の広さの内部。それこそ、何も無い、柱の一本も見えない見晴らしの良過ぎるそこは明らかに異常だった。
視界に入るのは何も無い空間と言っても良い。けれども果てが見えないのだ。最奥が見えない、果てが無い。
「入るのは止めておくべきだろうねぇ・・・どんな危険があるか分かった物じゃ無い。一歩すら踏み込もうって気にならないよこれじゃぁねぇ。」




