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七十二話

 そんな貴族襲撃から三日後、今度は反抗組織の方が動いた。


 貴族の方、私兵集団はこのメーニャの大暴れで相当な被害を出して迂闊に動けぬ状態に追い込まれている。


 そこを今度はチャンスだと狙って反抗組織の方が動いたみたいで。


「なりふり構わずに一気に、それこそ大義名分も関係無しにいくつもりなんだなぁ。」


 反抗組織はどうやらこの機を逃せば次にこの様な時がいつ来るか分からないと判断した様だ。


 決定打を加える、そんな意見が内部で声高々に上がったんだろう。何らの疑いも無しに。


 まあ魔族がこの双方の争いに介入している何て考えてもいないだろうから、きっと今回の貴族への襲撃は人族の、ソレも全く別の第三勢力がやったモノだと解釈しているんだろう。


 反抗組織の方からしてみれば、どの様な勢力が横入りして来ても最終的な目的を遂げられればソレで組織の意義は保てる、そう踏んだのかもしれない。


「じゃあメーニャ、今度はこっちだ。自由にやって良いよ。とは言え、やっぱり人死には無しな方向でね。我慢させちゃって悪いね。とは言え、不慮の事故とかで死んじゃった、とかであれば別に何も怒ったりしないから気楽にやってよ。」


「御意に。」


 こうして今度は反抗組織の方がメーニャの襲撃を受ける事となる。


(さーて、この組織を裏で操ってる奴が居たとして、こんな事をされてどう動き出すかな?)


 黒幕、後ろ盾、そんな存在をメーニャには調べ無くても良いと言ってある。


 しかしこうしてその支配している組織がボコボコにやられたら勝手に向こうが動き出して表に出て来るかもしれない。


 これは只の下らない賭けでしかないが、まあ出て来ても、出て来なくても、どっちでもいい。


 どう転ぼうが僕には利益にも、不利益にもならない。


 どの様な展開になるか少し楽しみにしているくらいか。


「行ってらっしゃい。無事に帰って来てね。」


 そう言って僕はメーニャを見送った。


 ===  ===  ===


 そうして壁に映し出されたのは私兵集団が会合を開く為に占拠している一軒の店だ。


 ここはとっくの以前に私兵集団からの嫌がらせ、脅しによって店員、店主すらも逃げ出して店の関係者何て一人も残っていない。


 代わりに居るのは犯罪者たちと言う訳だ。


「どうなってやがる!どれだけ探し回った所で情報の一つも得られねえ!」

「どいつもこいつも何も知らねえヤツばかりだ。脅しを掛けても痛めつけても何も本気で知らねえとしか言わねえ!」

「ムカつくぜ!この間は似た様なマントを羽織ったヤツを見つけたのに全くの人違いだった。当然ソイツはボコボコにしてやったけどよ!クソが!」

「町の奴等は何か知っていてもどうせ俺たちに協力はしてこんだろ。ちッ!ムカつく目で見てきやがって!」

「誰かいねーのか!俺たちは舐められてんだぞ!早く犯人を血祭りに上げて町の中心に吊るすぞ!」

「何を偉そうに言ってやがる。テメーの指図なんて無くても必死に全員犯人の捜索はやってるっての。なんでテメーが仕切ろうとしてやがるんだ。」

「ああん?何だとコラ?もういっぺん言ってみやがれ!その口を閉じ無くしてやる!」

「テメーみたいな下っ端が何で仕切ろうとしてやがるんだって言ったんだよ。ボスがこの場に居ねーからって調子こいてんじゃねえぞコラ?」

「殺してやるよ・・・誰が下っ端じゃコラぁ!」


 反抗組織が踏み入る前にこれでは仲間割れでまた人数が減りそうだ。


 とは言え、メーニャに今回やって貰うのは私兵集団への襲撃じゃない。


 反抗組織の方への一撃である。


「双方ともにバランス良く勢力を削ってより長く僕の時間潰しに付き合って貰いたいな。」

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