七十一話
とうとう屋敷への直接破壊に入り始めるメーニャ。
「あー、具体的にどれ位で止めて、とか話し合って無かったなぁ。」
メーニャの匙加減一つ、そこに集約される今回の破壊活動。
僕の指示は「殺害無し」であったのでメーニャは代わりにと言わんばかりにド派手にこの屋敷をぶち壊す心算である様子。
「まあ、いっか。止め所は僕が判断してメーニャに伝えれば良いだろうし。それまでは好きに暴れて貰うかな。」
とは言え、この裏庭爆破にてその際に吹っ飛んだ砂礫が現場に駆け付けた衛兵やら私兵やらたちに降り注いでいて既に結構な被害を出している。
しかしコレには僕は目を瞑った。メーニャが意図してこれを発生させた訳では無いと分かっていたから。
そんな事を思っているとメーニャは屋敷の角を魔法で狙い撃った。
飛んで行くソレは赤い塊と言った様子で目に見えている。
裏庭をそこら中穴だらけにした魔法と同じモノだ。
ソレが屋敷の角、そこに触れた瞬間に爆発する。
「何で角を狙うんだろ?あ、まただ。」
何が狙いでメーニャがそんな建物の角を一々狙って破壊するのかが僕には理解できない。
だけどもメーニャはありとあらゆる「角」を積極的に狙って次々と屋敷を破壊して行った。
「程々の襲撃に留めるってつもりだったから、破壊も嫌がらせに留めたのかな?」
それにしてもしつこい程に角を壊して行くメーニャ。裏庭からドンドンと移動して行って屋敷の正面に回り込みつつ破壊を進める。
そうして壊されて行った屋敷はこれでもかと言いたくなる位に面白い形にされてしまった。
ここまでにメーニャに近づいて捕縛、或いは殺害を試みようと近づいた私兵は一人も居ない。
「いや、だってねぇ?あんな魔法を直接に食らったら木っ端微塵だもんね。そりゃ近づこうと思える勇気なんて湧いてこないよね。」
そんな事を思った時にソレは飛んで来ていた。けれどもメーニャはソレをサッと簡単に躱す。
それは矢だ。弓を持ち出して遠距離から仕留めようとする者が現れたらしい。
ソレはそうだろう。近付けなければ遠距離からしかメーニャを仕留められる方法が無い。
とは言え、メーニャがコレに反応して矢を避けるとは思っていなかったのだろう。
次の矢が飛んでこなかった。
その隙を見逃すメーニャじゃない。
「あ、吹っ飛んだ。」
その矢が飛んで来た方向にメーニャが魔法を放ったのだ。
「ぎゃああああああああ!?」
次には恐らくだが、その矢を放った者の悲鳴が響いた。そして爆音。
その時には既にメーニャも動き出していてその悲鳴の元を確認の為に近づいている。
どうやら殺してはいないかどうかの確認をする為だった様で。僕が命じていた事に反してしまっていないか心配だったんだろう。
「お?運が良かったみたいだな。まあコレで死んでたとしても僕はメーニャを咎めたりはしないけどね。」
そいつは爆発の勢いで吹っ飛んだのか地面に大の字で倒れ伏していた。
どうやら痙攣をしていて死んではいない事は確認できた。
けれどもこの分であれば大怪我はしているだろうが。
メーニャがこれを確認した時に小さく息を吐いていた。
ソレが隙にでも見えたんだろう。
物陰から「しねえええ!」と叫んでメーニャへと斬り掛かる者が。
「イヤ、ダメだろ。奇襲を掛けるのに何で自分から声を出して知らせちゃうんだよ。」
思わずその襲撃者の行動にツッコミを入れた僕。
優秀なメーニャはこの奇襲を当然にアッサリと躱す。
「うん、メーニャに怪我が無くて良かったよ。」
ここぞと飛び出して斬り掛かったソイツはメーニャからの顔面パンチを食らってものの見事に吹っ飛んで行った。
「メーニャ、お疲れさん。ここら辺で撤退しようか。」
『畏まりました。撤退します。』
こうしてメーニャのガス抜きは締まらない感じで終了となった。




