五十九話
別に王国の近くま魔法で飛んで行って、そこから地下へと掘り進めたって良いハズだ。
だけども慎重に慎重を重ねるのであれば、これ程の馬鹿げていると言える位に離れた位置から掘り進めて行くのは間違いじゃ無いだろう。
誰にもバレない、ソレを目指すのであれば徹底的にやるのが良い。
(とは言え、夜に飛んで移動するなら発見される恐れもきっとかなり低く出来たんだよねぇ。でも、ソレもやらない。苦労をしてでも、無駄な努力だったとしても、やってみる。だって誰もした事が無い事だから)
僕は心の中で独り言ちる。
このトンネル作戦は今迄に誰もした事が無いモノである。
何が良くて、何が悪くて、何が効率が良いとか悪いとか、そう言った情報は一切無いのだ。
とは言え、短距離での穴掘りからの地下からの強襲と言った事は一度や二度くらいはあったかもしれないけれども。
そう言った時のノウハウなどがあったとしても、今回とは規模がそもそも違い過ぎて参考にはならないだろうし。
(今は夜だけども、町は近場に無いハズだし、方向の確認を誰かに見られる何て事は無いと思うけど)
メーニャには今、地上に出て貰っている。魔法で姿を消してかなりの上空から進行方向の確認をして貰っているのだ。
こうしてちょくちょく微調整をしておかないと最終的に王国とは掛け離れた土地へと向かってしまいかねないから。
「あ、おかえり。どう?ああ、もう少し右ね。了解了解。」
真上に大きく、そして地上まで繋がる穴を作ったそこからメーニャには外に出て行って貰っていた。
そこから音も無く降りて戻って来るメーニャがちょっとした報告も付け加えてきた。
「魔王様、もう少し行った先に町が御座いますが、いかがなさいますか?」
「え?如何も何も。いや、でも、そこでちょっとだけ勇者の情報を集めてみようか。」
「御意に。」
コレに僕は乗った。此処まで来るのにぶっちゃけ僕はかなりの飽きが来ていた。我慢すると覚悟しておいて。
なので気分転換にでもと思いその町から得られる勇者の情報を集めてみようと。
王国に到着するまでにメーニャの話ではあと町や村が十以上あると聞いていた。
相当な辺境からのこのトンネル作戦であるので、その途中途中でこの様に勇者の動向を探れば何かとその時の情報次第で臨機応変に動く事が出来るはずである。
そんな言い訳を心の中に浮かべて。
=== === ===
と言う訳で、到着したのは「バーク」と言う名の町である。
到着と言ったけれども、僕らが居るのはその町からそれなりに離れた位置の、そのまたかなり深い地下である。
そこでやっぱり何時もの様に地下室を作って休息に入る事とした。
「メーニャ、この町でも僕らの正体はバレない様に気を付けてね。まあそんな事を一々言わなくてもメーニャは物凄く優秀だし、そんな失敗なんてしないだろうけどね。」
「魔王様、どんな事が起きるかまだ予測はできません。ここへはまだ着いたばかりです。町の中の情報は一切ありませんので。何があるか分かった物ではありません。なので慎重に、かつ警戒は最大にして情報収集はして参る心算では御座います。」
「まあ何かヤバイ事が起きたら逃げちゃっていいよ。それを頭の隅に入れておいてね。気を張り過ぎるのも疲れちゃうからさ。ゆとりを持っていこう。失敗なんてしても僕は怒ったりしないし、深刻に考えないで気楽にね。別に絶対にここで勇者の情報が欲しい訳じゃ無いからさ。」
「では、行って参ります。」
「メーニャばかりに働かせちゃってごめんね。ありがとう。いってらっしゃい。」




