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五十四話

 調査官が如何程の者であるのか?その点の詳しい部分は分から無いけれども。


 自身の裁量で斬って捨てると言う「処分」を許されている役職なのだと言うのは分かった。


 この調子で行くとブレッツ商会と繋がっていた犯罪者はこの調査官にこの後もバッサリと斬られて終わる予感がする。


「と言うか、多分そうなるんだろうね。取り合えずは町の最高権力者もこの分だとこの調査官にバッサリされちゃうんじゃないかな。」


 不正に協力していてズブズブの関係、そう言った役人、衛兵はまだこの調査官の事を一切知らないだろう。


 なので逃げると言った事を出来るはずも無く。とうとう衛兵詰め所に到着してしまう。


 その詰め所ではケルカムの雇った私兵たちが建物を包囲していてそれらと衛兵たちが揉めている所だった。


『責任者を出せ!私はケルカム!この度の件に関して悪を討つ為に立ち上がりし者だ!』


 演技臭いセリフではあるが、しっかりと胸を張って堂々とそんな宣言を周囲へと響かせるケルカム。


 コレに武力衝突になりそうな、下手したら後一瞬でも遅かったらそうなっていた空気が変わる。


 だけどもここで衛兵を纏めている隊長らしき者が声を荒げる。


『ふざけるなよ!何が悪を討つだ!一体何をふざけた事を!この様な真似をして只で済むと思っているのか!』


 そこには怒りが含まれている。状況がまるで理解できていないからこその、その感情なのだろう。


「メーニャ、もしかして、もしかしなくても、こいつ、ブレッツ商会と深ーい関係?」


「・・・そうです。何処まで行っても救い様が無い愚物ですね。」


 メーニャにそこまで言われるとは、この後で調査官にバッサリといかれる場面が目に浮かぶと言う物だ。


 僕は次の状況がどの様になるか、画面を注視する。


 そんなイキリ立っているその衛兵隊長(仮)はスッと目の前に音をさせずに出て来た調査官を見て訝しがったのを見て僕は「こりゃ駄目だ」と直ぐに悟った。


『何だ一体キサマは・・・おい、何を・・・あ?』


 そこで調査官はブレッツにした時と同じ行動をした。


 その手に一枚の用紙、ソレを隊長(仮)へと差し出す。


『ふざけているのか?何がしたいんだ?・・・黙っていないで何とか言ったらどうなんだ!』


「あ、ダメだぞコレ?調査官の空気が一気に変わった。」


 映像を通じて見ているだけの僕でも察する事が出来てしまったのにも関わらず。


 隊長(仮)は全く調査官の纏う雰囲気が変わった事を察して無い。


 差し出されている用紙を注視するでも無く、一言も口を開かない目の前の相手に苛立ちをぶつけるのみ。


 そうなってしまったらもう終わりだった。次の瞬間にはバッサリ。


 これには他の衛兵たちも一瞬の事で何らの反応も出来ていない。もちろん詰め所を包囲していたケルカムの私兵たちも同じで。


 隊長(仮)の首がポロリと地面に落下する。そしてゴトリ、そんな音が響いたと思えば血の雨がぶしゃーである。


 そこから一拍、間を置いてから残りの首の無い胴体がゆっくりと膝から崩れ落ち、地面へとバタリと横たわる。


「ひぇ・・・やりやがったよこの調査官。やば過ぎ。」


 この時点でブレッツ商会で起きた流れと同じになる。


 そこら中で悲鳴が上がる。


 それは衛兵たち。それと野次馬にこの騒動を見に来ていた物見高い一般人たちからだ。


 そこら中で狂乱、驚乱である。


 だがここで違った部分があった。衛兵たちの中から剣を抜いた者たちが現れた。


『こ、こいつ!?いきなり斬りやがっただとぉ!?』


『お前ら何をぼさっとしてるんだ!こいつを囲め!捕縛なんて考えるな!殺すんだ!』


 この衛兵の言葉で剣を抜いた者が数名動く。調査官を囲む様にして。


 僕はこれを見て「あ、オワタ」と口から零れる。


 しかしこうなってもまだ調査官は一言も口を開かずにその手に持つ用紙をその衛兵たちへと突き付けるだけだった。

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