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四十六話

 翌日からはメーニャの独壇場だった。


 ブレッツ商会の者たち、ソレも先ずは犯罪を直接に為している者、実行犯たちを釣り上げては潰し、誘き寄せては潰しと、物凄く精力的に連日「衝動解消」に大忙しな程。


 メーニャがちゃんと証拠を残さずに行動しているおかげで、この事態をブレッツ商会は認識するのに遅れた。


『何故だ!何処の誰がこんなふざけた真似を!』


 相当な数の人数が消されている事で商会長を務めるブレッツは激怒と困惑と恐怖を乗せて怒鳴る。


 構成員たちの情報などメーニャからしてみれば調べるのに手間も掛からない。


 それは魔法で姿を隠して、商会に侵入して、直接に調査をしているから。


 僕は今透明な球体に映し出されている映像をミーチェから見せて貰っている。


「こんな道具があるんだねー。それにしてもコイツ、随分とまぁ、悪人面だなぁ。うん、ソレは僕が言えた義理じゃ無いか。強面だもんね。」


 そんな冗談を口にしつつ僕は映像の続きを視聴する。


『どいつもこいつも役立たずが!まだ犯人を始末できておらんのか!ええい!早く犯人の首を俺の前に持って来い!そうで無ければキサマの首を私が直々に飛ばしてやるぞ!』


 映像の中のブレッツは苛立ちを込めて部下にそう脅しを掛けている。


「魔族が犯人だなんて、これっぽっちも想像の範疇に無いんだろうねぇ。まあ、こいつからしてみれば思い浮かべられる恨みを買っている存在と言えば人からって事なんだろうし?魔族がここで関わって来るなんて想像も出来ない事なんだろうねぇ。うん、激ムズだね。僕でもそう思うんだから余計に人族ではねぇ。」


 既にこの商会の不正の証拠、犯罪の証拠、賄賂、収賄の証拠などをこれでもかと集め終わっている。


 だってメーニャが直接に商会の中に入っているし、その際には隠し金庫も発見して証拠書類も写し取っていて準備は万端、いつでもこの商会を潰す事ができちゃったりする状況だ。


「メーニャ、後どれ位を考えてる?追い詰め具合は何処までを?」


「商会の裏に関わっていない者たちまで手を掛ける気は御座いませんので、ソレでもまだ数は多く残っています。そうですね、後六日・・・いえ、五日ほどは欲しいです。」


 先ずは暴力を為す者たちの始末から始まっている。ソレも既にもう八割は片付いた状態だ。ドン引きである。メーニャの暴れっぷりが凄まじい。


 次にメーニャはこれからブレッツ商会の「裏」を知る、協力している者たちを順次始末して行く気でいると言う。


「この際ですので商会だけでなく、繋がっている役人どもの始末もしてしまうのが良いかと考えております。」


「ふーん?僕にはそこら辺のバランスは全く分からないからね。思う存分メーニャのやりたい様にして良いと思うよ。」


 結局は僕自身が今回の問題に興味がそれ程でも無い。


 メーニャの衝動解消が一番の目的で、二番目が勇者の情報だったりする。商会同士の抗争なんかこれっぽっちも気にしちゃいない。ましてや今後のこの町の行く末なんて知ったこっちゃ無かったりする。


 本当は優先するなら情報集めの方が比重が重いだろうと突っ込まれる所だと思うけれども。


 本心から言うと、そんな勇者の事も、今はどうでも良かったりする。


(逃げれば良いよ、いざとなったら町を人質にしてでもね)


 脅しでも嫌がらせでも足止めでも、どんな手を使おうとも逃げる気でいる。


 町を無差別破壊すると言って勇者を脅せば幾らかは時間も稼げるのではないかと思っている。


「まだまだメーニャはブレッツ商会を追い込んで行くんだよね?くれぐれも気を付けてね。危なくなったら直ぐに逃げて良いからさ。安全第一で宜しく。」

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