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四十二話

「このままでは抗争に発展して町を大きく巻き込んでしまいます。どうかソレを止められ無いでしょうか?」


「あー、そう言う感じになっちゃうって感想なのねミーチェには。そうなるとメーニャにして貰っている情報集めとか難儀になっちゃうね。そのお願いは受け入れても良いかなぁ。こっちの都合も色々入れて。」


 直ぐにどうこうと抗争の火が町に一気に広がる訳じゃないだろう。


 けれどもコレを放っておけばジリジリと少しづつでもその争いが広がって町がボロボロになっていくに違いない。


 商会同士の本気の潰し合い。しかも何でもあり、そう言った事に発展していくとミーチェは考えている訳だ。


「ミーチェの父親ってのは結構血の気がヤバイのかな?」


「・・・以前に父の激怒した所を一度見た事があります。その際には敵となった、そのふざけた相手を破滅一歩手前まで追い詰めていました。そうなると・・・」


「可愛い娘が攫われて黙っているなんて我慢はしない、静かに、気長に反撃の準備を水面下でするなんて悠長な事はしないって訳かぁ。」


「普段は物静かで落ち着いた父です。ですが、限度を超えた真似をして来る相手にはソレに合わせた対応を取っています。この度は、その、私の落ち度ですね・・・普段の父の姿の印象が強くて、そう言った時の父の事を忘れていました。」


「うん、そこはどうでも良いかな。」


 僕からしてみれば町がどうなろうと構わない。冷たい事を言っている様に感じるが、僕にとってこの町には何らの思い入れも無く、そもそもに一度も入った事すら無い。


 そこに住む人々の生活を思えば、その様な商会同士の馬鹿な抗争で町が騒乱の坩堝になるのは勘弁願いたい所なのだろうけども。


 そんな事は僕には一切関係が無い。だからどうなっても構わないと断じる事が出来てしまう。


 関係があるとすれば、町から勇者の情報を得ているのでソレが出来なくなってしまうのは避けたい。言ってしまえばその程度だ。


 ついでに言えば、今はメーニャの衝動発散の場になっている町なので下らない事での崩壊は避けたいくらい。


「それじゃあ短い間だったけど、ミーチェ、君を帰そう。その代わり。」


「・・・その代わり、何を要求してくるのです?」


 僕が家に帰すと言い出したのでミーチェに警戒された。


 その警戒を少しでも落ち着かせて欲しくて僕は言葉を続ける。


「僕には「その程度」な事だけどさ。ミーチェには「一大事」でしょ?だからその差を埋める為に僕から頼み事があるだけだよ。まあ、簡単さ。」


 交渉だ。互いの認識に差があるのだから、そのバランスを取る為のお願いだ。ソレを受け入れてくれれば互いの求めるモノが対等なる、そんな程度の物である。


 ここで別に僕はミーチェへと無理無茶難題を突き付け様としている訳では無い。


 だけども町全域を巻き込みかねない商人同士の抗争を「その程度」と言った軽い表現で済ませた僕へとミーチェが良い顔をする訳も無い。


「じゃあ説明をするから、そこまで深刻にならずに聞いて。」


 こうしてミーチェには家に帰す事でして欲しい願いを口にした。

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