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三十三話

 そんな日々を連日まったりと過ごしていると暇に殺されるんじゃないかと時々思う事がある。


 そう言った時にはメーニャに盤上遊戯の相手をして貰うなどをして何とか乗り越えていたりする。


「・・・外に出たいけどなぁ。無茶だってのは承知な訳だよ、うん。けど、まだまだこんな場所に勇者が来るはずも無いんだから、警戒しつつ外に出たりするならば別に悪くは無いんじゃ無かろうか?」


「魔王様、詰みです。」


「え?ちょっと待って、その一手、待って。」


「いえ、ソレはできません。迂闊な一手を打ったのは魔王様ですので。」


「容赦無いよね、そう言う所がメーニャって。」


 こうして勝負を通算で八十回以上はしているのだが、一度もメーニャに勝った事が無い。


 別にそこに拘るつもりは無いのだが、これ程に負けが続いていると一度で良いから勝ちたいと思える所が無くは無い。


 とは言え、メーニャが手心を加えてくれる様な事はこれまでに一度だって無く、僕は毎回にボコボコにされている。


「このまま引き籠って居ようと決めたのは僕だけど。やっぱり外の空気を偶には吸いたいね。うん、メーニャ、外に出るよ。」


「魔王様の御心のままに。」


 折角作った隠し通路も使わないでいるのは勿体無い。


 と言っても、メーニャが外の町へと出かけて情報収集などをしに行く時には使用されているのだけれども。


 僕はまだ一度も使った事が無いので今回は初となる。


「でもまあ、こんなに深い地下から地上に出る為の通路だもんね。そりゃ馬鹿みたいに長距離になっちゃってるのはどうしようもない事として。」


 僕らが引き籠っているこの地下最奥の部屋の一番端には魔法陣が刻まれている。


 僕とメーニャの魔力に反応して隠し扉が開く仕掛けなのだ。


 これを設置したのはメーニャである。案を出したのが僕で。


 取り合えずこうした直通の通路が無いと外に出るのに不便だし。


 万が一に勇者がここにやって来た時の脱出の為と言う事で作った物だ。


 その通路に入ったら道は一直線。しかも上り坂。


 そうは言っても何も障害物などは無いので宙に浮いてそのままビューンと飛行して出入り口まで直行だ。


 かなりの深度から地上へであるから、その長さは酷い物であるけれども。


 こうして飛んで行ってしまえば時間もそこまで掛からない。


 出口になる部分にもカモフラージュがされていて誰かに発見される可能性を下げてある。


 その出口は僕らが通路の一定の場所を通過すると自動で開く様に設計してあった。


 そのセンサーの役割をする魔法陣を設置したのはメーニャ。案は僕が出している。


 魔法陣の知識も設置技術も無い僕では成しえなかった仕掛けである。メーニャには頭の下がる思いだ。


 僕では案は出しても実現は不可能だった。つくづくメーニャが付いて来てくれて助かっている。有難いことである。


 そんな思いを抱きつつもそのまま飛行していれば出口の光が見えて来る。


 そこへと僕はそのままの勢いで飛び出した。


「うひょー!コレ!中々に気持ち良いね!」


 そのままの速度で出口から飛び出せば、青い大空へと一直線。


 一瞬ホワイトアウトしたかと思えば、即座に青が一杯に広がる視界はかなりの爽快感だった。


 出口はコレも自動で閉じる様になっており、その仕掛けもメーニャが作ってくれている。メーニャが万能過ぎる。


 そうしてそのまま真っすぐに僕は空を飛び続ける。


 メーニャが前に教えてくれたのだが、このまま飛んで暫く行くだけでそこに町があるのだそうで。


 まあ暫くと言っても相当な距離を飛び続けると言う事なのだが。


 何せここの森、物凄く信じられ無いくらいに広大だ。なので誰にも見られる事は無いだろう。


 この空の散歩はそんな町が小さく見えて来た所で引き返して終わりだな、と僕が思っていた所に、叫び声が耳に入って来たのだった。

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