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三十一話

 この様な事は一気に、そして調子に乗って、勢いで進めてしまうのが良い。


 余計な事は考えたりせずに先ずは全体、下地を作るつもりでドンドンと頭の中のイメージを地中に流す魔力に乗せる。


 するとどうだ。土の魔法として効果が発動し、僕の思い描いた通りに土が、地面が、地下が、ぐんぐんと変動して行く。


 ああした方が良い、こうした方が良いと言った思い付きは後で弄り直せば良いだけだ。


 細かい所は気にせずに地下深く、奥深くまでザックリとした迷路を先ずは作成した。


「・・・反省も後悔もしない。けど、やり過ぎたなとは思う。まあ深ければ深い程に最奥まで辿り着くのが困難になるだろうから、先ずはこの辺で一旦止めておくかな。・・・とは言え、僕たちもこのスタート地点からその最奥まで徒歩で行かないとダメだろうけども。・・・いや、一気に直通出来る通路を今作って、最奥に行ったらソレを元に戻しちゃえば良いのか。」


 まだ僕らはダンジョンの側に、地上に居る。


 もうかなりの時間が経っていて朝日が昇っていた。


「眩しいなぁ。気づいたらもうこんな時間かぁ。あ、そうだ忘れてた。魔力の残滓って、出てる?ソレと、勇者がこの迷路に気付いたとして、同じく土の魔法で改変して迷路を突破して来るとか、その可能性はあるかな?」


 僕は心配になった事をメーニャに聞いてみたが。


「残滓の方は気にしないでも宜しいかと。空気中と土中に僅かに痕跡が見える程度ではありますが、直ぐに完全に消えると思われます。ソレと、まあ、迷路の方は確かに同じく土魔法での改変によって勇者が突破してくる可能性は否定できません。しかしコレだけ深く作り上げたので最奥までとなれば、その魔力が足りないでしょう。これ程の物を作り出せるのは魔王様の無尽蔵の魔力があってこそであると思います。」


 ちょっと呆れ気味で最後にメーニャにそう言われてしまった。常識外れと、そう言う事なのだろう。


 まあ確かに僕も調子に乗り過ぎたと正直思っているので、この迷路の広さ、深さは「あり得ないな」と思ってしまう。


 通路の幅はこの魔王のこの巨体がすんなりと通れる程度。


 天井はこの魔王の身長のプラス1m程だ。


 縦に長い長方形と言った感じになる。物凄く狭いと言って良いと思う。


 そしてそれぞれの階層の広さはザッと計算してみても馬鹿げた広さだ。


 僕らが出て来た城から、このダンジョンの入り口程度までと言えば、想像できるだろうか?いや、出来ない。


 僕は迷路を形成しながら自分でもソレをちゃんと把握できる様にと頭の中にマップを作っていたけれども途中で放棄した程だ。


 そんな誰から見ても「お前は馬鹿か」と指摘される様な広さと複雑さの迷路を十階層も作ったのだ。


 自分が自分で恐ろしい。どうしてこんな狂気を起こしてしまったのかと今の僕はそう思っている。


 しかしやり遂げて、やり遂げる事が出来てしまった。


「さて、籠城しよう。早速だけど直通通路を開くから、最奥の部屋に行こうか。さて、そしたら次は先ず何しよう?・・・何もする事無いね。いや、本当に。暇に殺されちゃうんじゃなかろうか?」


 この迷路大作戦はしょうも無い思い付きでやっているのでこの先の計画など立てていない。


「生き延びたいと願っているだけなのに、逃げるって難しいなぁ。」


 勇者に殺されないためとは言え、逃走と言うのは簡単じゃないなと今さらに実感した。

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