三十話
僕らの目の前には森の緑が見えている。ちゃんとダンジョンの外に出られたと言う事だ。
「はぁ~、何も今後の事を考えちゃい無いんだよなぁ。あっちもこっちも見て回ってみたい、とか何とか言った覚えがあるけど。この見た目じゃそもそもが目立つし、勇者に見つかったら命を狙われて追い掛け回されるよね。どうしよう?この森から出ない方が見つからないんじゃないかと思えて来たんだけど。」
このまま何処か良さげな潜伏場所を見つけられれば良いけれど、そうじゃなければ?
目的があってもソレが見つけられるかどうかは分からない。
目標があってもそこに辿り着けるかどうかも分からない。
「せっかくなら作ろうか。それと、どうせならここの真下にでも作ってみるとか?ダンジョンの入り口が良い感じに隠蔽効果を生んで見つからない様な気がして来た。」
もしここまで勇者が辿り着いたとして、恐らくは目の前のダンジョンの入り口に気を取られる事だろう。
その傍に隠蔽を施した地下への入り口などを用意して隠し拠点などを作ってみるのが面白いと感じる。
結局はこの大森林に勇者が来るかどうかも怪しいし、マードックが僕を捜索するにしてもこの森を探す様な真似をした所で容易には発見は出来ないだろう。
そこに地下の大迷路だ。絶対に、と迄は言わないが、その最奥にまでやって来れる確率は少なくできるだろう。
「どうだろうかメーニャ。地下に迷路を作ってみようと思うんだけど。万が一にも侵入者が来たとしても、時間稼ぎにはなると思うんだ。その最奥に僕らは隠れて、いざ勇者がそこまで辿り着いたとしても、その前に僕ら専用の緊急用の隠し通路で逃げる感じで。」
「・・・大胆過ぎませんか?いえ、魔王様の御心のままに。」
一瞬だけメーニャから僕への本音が漏れたりしたが、まあ良いだろう。そんなのは僕は気にしない。
「とは言え、力を付けたいって言う気持ちも無い訳じゃ無いから、他の地のダンジョンとかに入って魔石を吸収するって言うのもやりたい所だね。・・・ここのダンジョンってもう二度と僕らって入れないの?入れたとしても魔石を手に入れられない?」
「・・・入る事は可能だと思いますが、恐らくは魔石を手には入れられ無いと思います。もう一度支配下に置いて制御し、変更を加えない事には・・・」
「ああ、そっか、支配権をダンジョンから出る時に放棄したんだっけメーニャは。」
「申し訳ありません。もう二度とこのダンジョンには入らないだろうと考えての事でした。迂闊な行動をしてしまい申し開きもありません。」
「まあ良いよ。とは言ってもメーニャ、ここのダンジョンをちょっとだけ弄った?って言って無かったっけ?どういう風にしたのか教えてくれる?」
メーニャはここでその変更内容を説明してくれたのだが。
ソレを聞いた僕の感想はと言うと。
「えげつないねぇ。どう言う対処でソレを勇者は超えて来るかな?嫌がらせ極まるね。僕らの感じた面倒を精々勇者も体感すれば良いね。」
僕は一分一秒でも生き残るつもりでいる。
メーニャが加えたここのダンジョンの変更はソレにピッタリだった。
コレに僕は上機嫌で魔法を発動する。もちろん地面へとだ。
この地下、真下に巨大迷路を作り出す為に。土の魔法で自在に地面を変動させた。
「良し!こう言うのは気分が上々の時に勢いに任せて作るのが良いよネ!一気に深い所までやっちゃえ!」
年末年始のサービス期間はここまでとなります。
今後は不定期連載と致しますのでご了承ください。
何時もの拙い文章でお目汚し致しますが、この先もこの物語にお付き合い願えれば幸いです。




