二十六話
それからどれ位の時間が経過しただろうか?
このダンジョンは一向に暗くなったりせずに明るいまま。
昼夜の区別が付かないのでどれ程にこの作業を続けているのかが分からなくなってくる。
とは言え、しっかりと終わりは見えて来た。
「もう本当に、ツライ。軽く考えていたけども、コレは失敗だったね・・・」
とは言え、この効果によってこのダンジョンの広さは確定出来た。
円形をしていて天井は遥かに高い。この空間で今度はボス(仮)を探し出して追い掛けるのだ次は。
「うん、やる気が起きない。長めの休憩を取ろう。もう嫌だ。こんなに苦労するとは思っても見なかった。・・・ねえ、これ勇者がこのダンジョンに入った場合に攻略出来たと思う?」
「出来ない事は無いかと思われますが、相当な苦労と労力を強いられるのではないかと。・・・いえ、一つ懸念があります。」
いきなりメーニャがそんな不穏な事を言うので僕はコレに「どう言う事?」と訝しがりつつその先を聞いた。
「索敵でボスが我々に気付いた際に何故逃走を図ったのかと考えていましたが。もしかしたら意図的にそうする様に仕組まれている可能性があるのではないかと。これが勇者であった場合に「逆」となるのであれば・・・」
「あ、嫌な感じ・・・」
そう、どうやら魔族にこのダンジョンを攻略させない為の仕掛けとしてボスが「逃走」をする様に仕向けられているのではないかと言う事だ。
コレが寧ろ入り込んだのが勇者であった場合、もしボスがソレを感知したとすると逃げ出したりせずに逆に襲撃を仕掛けていたのでは?と。
「だからこんなにややこしい罠を設置してあるのね。恐らくはソレで合ってるんだろうなあ。入って来た魔族を力で撃退するんじゃ無く、何時までも閉じ込めて攻略させないために逃げると。うん、キタナイ、やり口がこす狡い。何考えてんだよ神。」
ダンジョンと言うのは勇者が力を得て強くなる為の手段、場所であり、魔族が攻略して支配下に置く為に在るモノじゃない。
そう言う訳で、神がダンジョンを用意しているのだから、確かにこの様な仕掛けを組んでおくことは別に違反でも何でも無いのだけれども。
その張られている罠の性格の悪さにイラっとさせられる。
「さて、じゃあどうやってボス(仮)と戦える様になるかだね。・・・でも、結局は僕らを感知したらまた逃げちゃうんでしょ?そうすると・・・はぁ。僕の無尽蔵って言う魔力がカギになるかぁ。」
単純に追い駆けっこをするだけでは絶対に捕まえられない。
メーニャと挟み撃ちをする様に配置して追い詰めようとしてもソレは絶対にすり抜けられてしまう。そもそもに追い詰めるに人数自体が二人だけでは無理だ。
そうなればもう手段なんて構っていられない。力押しだ、こうなってしまったからには。
追い込み漁、ソレを再現するしかない。この広大な場所で。僕の魔法で。
=== === ===
「恐らくはこんな方法で突破されるとは神も想定して無かったんじゃないかなあ・・・」
「魔王様、お疲れ様で御座います。」
休憩を入れてからその後、僕は動いた。また再びどれだけの時間が経過したのかもサッパリな程に、長時間かかった。
このダンジョンは無限な訳じゃない。制限が、ある。
天井は遥かに高いが、しかしそこにある。
フィールドの広さだって大きい事には大きいけれども、限界がある。
僕は魔力を放出しまくってここまで作って来た壁をもっともっと高く、ドンドンとぶ厚くしていく。
天井にしっかりと密着する程に。この広大なフィールドを締め上げる様に。
じわりじわりと、だがしかしこうしていればいつかは壁がこのダンジョンを埋め尽くすだろう。
逃げられる範囲をこうして狭めて行けば最終的にボス(仮)は僕らと正面切って戦わねばならなくなる。逃げ場を塞いで追い込むのだ。
「・・・ここまで本当にどれだけ時間を掛けた事か・・・楽観的に「中に入って一度見てみたい、確かめてみたい」とか言った過去の僕をぶん殴ってでも止められたら良かったのに。」
「ギャギャー!」「キョキョエー!」
こうしてやっとの事で御対面出来たそのボス(仮)は頭が二つある巨大な怪鳥だった。




