二十五話
ぐんぐんと伸びて行くその円柱はもう有り得ない程に太く、そして高く。
そして幾ら何でもやり過ぎだよね、悪ノリだよね、そう思った時に、ソレは起こった。
バゴン!と何かが衝突した音、衝撃。
「ビックリして魔力の注入を停止したけど、コレって・・・」
「どうやらこのダンジョンの天井にまで到達した模様です。」
「いや、まあ、その、うん。忘れていたと言うか、ここ、天井があったんだね。」
このダンジョン、大草原で、しかも見上げれば何処までも空であったので、てっきり僕は空には高さの制限等無いと思い込んでいた。
「コレだけやれば流石に良いよネ?それじゃあ次はここから真っすぐに飛んでまたあの結界の目の前まで行って同じ物を作る感じかな。」
こうして過剰な程の超巨大円柱で目印を立てた僕らはまた飛行する。
かなりの距離を飛んでも後ろを振り向くとそこには視界の中に空へと伸びている一本の線がきっちりと見えている。
「天井も相当に高いんだなぁ。そうなるとボス(仮)も飛べるのだし、もしかしたら遥か上空に逃げちゃってるって事も考えられるね。」
高度をどれだけ取れるのか判別していないボス(仮)だ。
もしもそうして高い所へと逃げていた場合は追いかけるにもまた工夫が必要になって来る。
メーニャの索敵範囲がどれだけの高さまでをカバーできるのかがカギになって来るだろうそうなれば。
そうしている内にメーニャが結界の反応を検知してその目の前で止まる。
ここで僕は再びあの円柱を出す。二度目なので実験は無し。太さも高さも程々にして。そして次に進む。
「よし、それじゃあこの結界に沿って壁を生成して行こう。結界は歪な形をしてる?」
「いいえ、キレイに左右にそのまま延びていますね。何処まで続いているのかまではまだ分からないです。」
目に見えないから基準が作れない。ならばこちらで勝手に立ててしまえば良いと言う事。見える化である。
「もうここまで来たら焦ってこのダンジョンから出ようとするのは止めよう。絶対に時間が掛かり過ぎる地味な作業だもん。諦めが肝心だよね。」
こうして結界が張ってある手前に壁を作り出しながらドンドンと進む。
こうなればこのダンジョンの実際のその広さとやらを丸裸にするつもりだ。
メーニャに僕の魔法のコントロールの補助に入って貰いつつ壁の生成を続けて行く。
その高さは5m程だ。厚みは別段そこまでは必要は無いけれどもせっかくなのでがっちりと20cmと言った所か。
走りもせず、ノンビリ散歩でもするかの様に歩きながらその作業を続けて行けば。
「あ、最初に作った目印の見える角度?位置?結構ズレたね。このままずっと行けば円を描くみたいに一周ぐるっとなるのかね?」
やっと全容が感じられる様になって僕は報われた気がして来る。
とは言え、そんな実感とは裏腹にこのダンジョン、やっぱり相当に広い事は広い。
まだまだ作業は続けねばならず、途中で飽きとの戦いになったりもした。
そう言った時は休憩を挟んで魔力の操作の練習などをして自在に魔法を扱える様にと、メーニャから指導を受けたりして気持ちを切り替えたり。
その後の事にも思いを馳せて。
「結局はこのダンジョンの広さが解明された後に、ボス(仮)との追いかけっこがまだ残ってるんだよねぇ。」
僕はそんな事をぼやきながら壁生成の作業を続けた。




