二十一話
また魔石を得たので休憩を入れる。ゆっくりと力を吸収する作業をする。
メーニャとこれまた半分こにしてお互い無言で作業を熟す。
力を吸って必要無くなった魔石は煙と変わって消えてしまう。処理が楽でこの点は良い。
けれどもやっぱり、幾ら小粒な魔石でも力をそれから吸い上げるのには何故か時間が掛かってしょうがない。
得られた魔石の大きさはそれぞれまちまちで、直径が5cmのもあれば、1cm程しかない物もある。
当然に小さい方が掛かる時間が短いと思いきや、どっちもどっち、誤差程度。
そのまばらな一粒一粒に掛かる労力は相当なモノだ。幾ら時間があっても足りないと言った感想が出て来る。
けれどもソレを根気良く続けて魔石の処理を終わらせる。
「大分吸収出来たと思うんだけど、これっぽっちもその実感が無いねぇ。メーニャはどう?」
「わたくしも同じ感想で御座います。やはり効率が非常に悪いですね。しかし、魔王様はこれを続けて行かれるのですよね?」
「そうだね。どうせこのダンジョンには用が無いんだよね結局は。だけど魔石が手に入ったらこうして地道にやって行く心算でいるよ。僕は勇者に殺されたくない。その為には力は付けないとならない、絶対にね。最後の最後はやっぱり地力がモノを言うと思うんだ。とは言え、追い付かれたく無いから逃げるのは止めないけども。」
勇者と正面向かい合う、そんな最悪な場面にならぬ様に僕は一つ所に留まり続けないつもりだ。
幾つか隠し拠点などを作ってそこを転々として居場所を突き止められ無い様にした方が良いと思っている。
もしくは絶対にここには来れない、見つけられ無いだろうと自信を持って言えるそんな場所を見つけてそこに引き籠るか。
こうして僕らはまた進む。このダンジョンから出る為に。
ここのダンジョンは拠点としてのそう言った条件にギリギリ当て嵌まると思うけれども、しかし絶対とは言い切れない何かを感じるので候補としては無しだ。
さて、問題のこのダンジョンの攻略と言うのは単純で、ここを支配するボスを倒す、只それだけ。
そうするとこの空間を構成し、留める為に設置されている核のある部屋へと自動転送されるそうだ。
その部屋にさえ入ればこのダンジョンを乗っ取れるらしい。
メーニャの説明ではこの先にそのボスらしき存在が居る場所があると言う事で向かってはいるけれども。
「魔王様、やっと反応が拾えました。ですが、どうやら・・・すみません、勘づかれた様です。」
「え、それってマズイ?」
「いえ・・・その、逃げた模様です。」
「ん?今なんて?」
「こちらを感知した瞬間に空へと飛んでしまいました。しかも向かうのはわたくしたちから離れて行く方向です。」
「偶々、では無く?」
「はい、確実にわたくしたちを認識しています。向こうもどうやら警戒の為に索敵魔法を展開していた模様です。それをわたくしも感知致しましたので確実です。」
「知能が高いって事か・・・しかも僕らを察知して逃げる?・・・うん、物凄く面倒な予感しかしない。追いかけっこ何て勘弁して欲しい。」
僕が言えた口では無いのだが、そうぼやいてしまったのは許して欲しい所だ。
とは言え、そのボス(仮)は僕らの事を察知して殺されると確実に感じたから逃げたのだろうし、僕がコレに「逃げるな」と言える義理は無い。
僕だって勇者に殺されたく無いが為にこうして逃亡を図っているのだから。
「はぁ~、逃がしたら振り出しに戻るも同然だし。メーニャ、追える?」
「はい、可能かと。しかし離れ過ぎてしまうといけません。少々急いだ方が宜しいと思います。飛行の魔法を魔王様もお使いして頂きたく。」
「うん、別にもうこうなればちょっと自棄だよね。まだ制御が不安定だろうから、メーニャには補助に入って貰って良い?自力で空を飛ぶのはまだ不安だからさ。なるべく自分で自由自在に飛べるようにと努力はするけど、それまでは宜しくね?」




