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わたしの仕事は人さらい  作者: おどるニコル
6 仕事とお金と楽しみと
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6-14 普段からレベルの高いことをやっていると物足りなく感じる


名残惜しい気持ちもあるが、仕事に戻った。

器の回収に向かう足取りも軽い。

なぜだろう、今までもこの仕事は嫌ではなかったが、楽しい事を見つけると仕事をするにも張り合いが出来たような気がした。


男1「そこの君!」

アザミ「?」


男2「ちょっと一緒に来てくれないかな?」

女1「あなたくらいの子供の内臓って高く売れるのよね~!私達にその体くれない?」

男1「痛いのは一瞬だから!あとは楽になるよ!」

男2「そうそう!もう汗水たらして働かなくてもよくなるよ!」

女1「安心してこっちにおいで~」


三人の男女に囲まれ、ひどい事を言われている気がしたが、特に心が揺れることもなかった。

今すべきわたしの仕事は出前の器をもらって早くお店に帰ることだから。


アザミ「わたしのこと、捕まえられますか?」

男2「はぁ?」

女1「簡単でしょ?」

男1「オラッ!いいからさっさとこっちに・・・ありっ?」

男2「こっちだ・・・んおっ?」

女1「何やってんのよ・・・ちっ!」


三人が代わる代わるわたしを捕まえに手を伸ばしてくる。

六本の腕が迫ってくるが、相手の行動は実に直線的かつ単調で躱すのは造作もなかった。


男1「くっ!」

女1「このっ!!」

アザミ「・・・ちょっとタイムです、」

男2「はぁ・・・なんだ?観念したか?」


アザミ「ちょっとつまんないんで、」

そう言って、左足を軸にコンパスの要領で右足で地面に円を引いた。


アザミ「この丸から出ないので、どうぞ捕まえてみて下さい」

男1「んだこいつ!」

女1「なめんのもいい加減にしなさい!」

男2「まじで売り飛ばすからな!!!」


体を横に反らし、飛び上がり、後ろにのけぞり、柔らかくした体を存分に生かし、いくらでも払いのける方法が思いつく。

自分に足かせを付けたつもりだったが、その効果も見えずただ真っ直ぐ向かってくる機械を避けるだけのような簡単な作業だ。

いつもの効率のよい順番を考えて調理をしたり、お客様の様子を伺いながら配膳をすること方がはるかに難しい。


男1「こいつ・・・ちょろちょろと・・・!」

女1「くっ、・・・早くしなっ!!!」

男2「なんで・・・捕まらねぇ!」

アザミ「一度に三人の行動を読むのは慣れてるので、」


男1「はぁ・・・はぁ・・・クソっ!!!」

女1「なんなのよ・・・このガキっ!!!」

アザミ「・・・駆け引きも、工夫も、意外性もなにもない・・・つまんない生き方ですね・・・」

男2「コノヤローッ!!!」

一人の男が後ろから刃物を持ち出し突進してくるのを察知した。


アザミ「はい」

男2「あぎゃっ!・・・」

岡持ちを持ち上げて刃先を緩衝させると、そのまま岡持ちを振り回して男を吹っ飛ばした。


男1「くっ、なんだこいつ・・・」

女1「あ、あんたが大人しく身体を差し出してくれれば、幸せになれる人が増えるのよ!」

アザミ「・・・だから?」


女1「あんたみたいな人間の人生が、他の人の幸せになれば嬉しいでしょ?」

アザミ「こんなわたしにも帰りを待っててくれる人たちがいるんです、その人たちの笑顔を奪うくらいなら、見ず知らず人の幸せなんてどうでもいい・・・」

男1「お前みたいな汚いガキが影町にいたって、何の希望もねーだろ!」


アザミ「・・・いいえ、わたしはこちに来てから希望も、生きる強さも、優しい人も、楽しみもいっぱい手に入れましたよ」

男1「うぐっ・・・、あぅ・・・」

懐に入り首の急所を少し強く握りしめると、男は簡単に気絶してしまった、


女1「こ、こんな町に生きてて何があるっていうのよ!」

アザミ「・・・」


わずかに小首を空に向けると、陽の光のせいか鼻が少しむずむずした。

アザミ「みんなのおかげで少しずつわかってきたんです、仕事も大事だしお金も大事、周りの人も大切、そして自分も大切、頑張るのも必要、楽しむのも必要、ちゃんと生きていくのって大事なものがいっぱいあるんだなって、」


女1「きゃっ!!!」

残りの女を押し倒すと、岡持ちのドア部分を外し、女の首根っこにギロチンのごとく押し当てた。


アザミ「わたしを大事に思ってくれる人の笑顔を奪うつもりなら、あなた方の首を落とすことくらい躊躇なくやりますよ」


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