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わたしの仕事は人さらい  作者: おどるニコル
1.一番嫌いな仕事
2/141

1-2 逃げるコウモリ追う弱者


女性はひとり小屋の中で座り込んでいる、

女性「・・・・・・!?」


挿絵(By みてみん)


わたしは縛られた女性の両手の中に頭をいれ、女性を背負った。

自分も両手を縛られているため、自由の利く部分を駆使して助ける方法を考えた、


女性「ちょっと!何やってるの!逃げたんじゃないの?」

少女「大丈夫です、絶対大丈夫ですから、」

女性「私はいいって言ったでしょ!早く逃げなさい!」

女性の言葉は聞こえていたが、わたしはお姉さんと一緒に脱出することに全神経を注いだ、       


少女「逃げてから考えましょう、わたしも怖いです、でもお姉さんと一緒の方が心強いですから、」

わたしは女性を背負い、ひきづりながら脱出を試みた。

当然スピードは落ち、ただでさえ落ちている体力はさらに消耗し、小屋を出るだけでも時間がかかってしまう、


少女「はぁ・・・はぁ・・・」

女性「・・・」

少女「!!!、もう戻ってきた!」

女性「わかるの?」

少女「さっきの4人の足音が走ってきてます!!!」


二人で小屋を出てまだ数メートルしか離れていないのに、こんなに早く戻ってくるとは、

隠れようにも二人ですぐに隠れられるほどの死角はなく、目論見は完全に外れてしまった。


背の高い男「おい!逃げられるぞ!!!」

リーダーの男「早く捕まえろ!」

奴らの視界に入ってしまったら、到底逃げ切ることはできなかった。


少女「あうっ!」

リーダーの男「ばかやろう!目ぇ放しやがって!」

若い男「すいませんっ!すいませんっ!」

わたしたちはあっけなく男たちにつかまってしまい、わたしの頭を地面に押し付けるように乱暴に扱った。


髭の男「このガキ!また逃げようとしやがって!」

リーダーの男「もっと痛い目見ねーとわかんねぇみてーだな!」

4人は逃げようとした主犯のわたしに注視し、リーダーの男は仰向けのわたしの首を片手で抑え思いっきり殴ろうと振りかぶる。


少女「うえっ!!!(やられるっ!!!)」

リーダーの男「ふぶぇっ!!!」

その刹那、リーダーの男の顔がひしゃげるようにしてわたしの上から吹き飛んでいった、


少女「!!?」

背の高い男「リーダー!!!」

髭の男「誰だぁうぐぅあっ!!!?・・・」

誰かが後ろから長い棒を使って髭の男の首を絞めている、


物の数秒で髭の男は失神し、その場に崩れ落ちていった。

恐る恐る顔を見上げると、そこにはさっきまで一緒にとらえられていた女性が立っていた。


挿絵(By みてみん)


女性はドレスを脱ぐときれいな長い髪をサイドに縛り、さっきまでのうつろな瞳の面影はなく、獣のような目つきが光っている。

人さらいの男たちは蛇に睨まれた蛙のように一瞬怯んでしまっていたが、わたしは今までに見たことのない美しい瞳に興奮を覚えていた。


リーダーの男「ってぇ!」

背の高い男「おいてめぇ!何してくれてんだはっ!!!・・・」

瞬きする間に彼女の棒の突きが背の高い男の鳩尾をえぐっていく、

背の高い男も彼女の一撃に落ちてしまった。


若い男「ひいっ!」

リーダーの男「くそっ!おまえらっ!立てっ!」

すでに2人の意識はなく、若い男もしりもちをついて使い物にならなかった。

女性はリーダーの男を見下ろすと、鋭い眼光を向けて言い放つ。


女性「どうだ?今まで狩る側だったてめぇらが、狩られる側になる気分は?」

リーダーの男「このやろ・・・いっ!!!」

持っていたナイフを女性に向けるが、その瞬間に女性に手を蹴られナイフは藪の中に飛んでいってしまった、


リーダーの男「いつっ・・・ひぃっ!!!」

女性はリーダーの男の眼前に今にも棒を突きさすように構えると、男は進むも引くも動けなくなってしまった、


女性「もう終わりか?」

リーダーの男「あ・・・、うっ・・・」

女性「テメェらが今まで何人売り飛ばしてきたか知らねぇが、今度はお前らが味わう番だぞ、全員売り飛ばしてやっからな、楽しみにしてろよ!」


リーダーの男「ひっ!・・・ゆ、許してくれっ!!!」

女性「はぁ?、今までそう言ってきた人間を許したことあんのか?テメェの金のために無慈悲に売り飛ばしてきたんだろ?」

リーダーの男「い、いや・・・それは・・・」

女性「それは?」


リーダーの男「つ、捕まった奴の運が悪かっただけで、俺たちにも生活があるわけで、俺たちだけが悪いわけじゃ・・・」

女性「じゃあおまえらが今日私に売られちまうのも運が悪かったってことでいいんだな?」

リーダーの男「た!頼む!謝るから!!なんでもするから!!!売り飛ばすのだけは勘弁してくれ!こんなとこで売られちまったら、この先の俺の人生がはっ!!!・・・」

女性は男が話し終わる前に喉元を棒で突き刺して気絶させてしまった。


女性「うっせぇんだよ、ダラダラと!」

若い男は仲間が次々にやられていくのを見て一目散に逃げだしてしまった、


若い男「なんだあいつ!聞いてねえよ!見張りだけしてれば簡単に金くれるっつーから・・・うおわっ!」

息をするのも忘れるほど走っていたはずなのに、若い男の目の前に金髪の女性が現れる、


女性「仲間おいて逃げんのか?つめて~な」

若い男「ひぶっ!!!」

驚く間もなく若い男の頭を片手で掴むといとも簡単に地面にたたきつけてしまった。

女性「金欲しいのか?だったらちょっと手伝え!」


わたしは倒された3人の男の傍らで呆然としていると、金髪の女性が若い男を連れて戻ってきた、

女性「おいお前!このでっけえ男担いで来い!」

若い男「わかりました・・・」

女性「おまえ、こいつら運ぶの手伝ってくれるか?」

少女「は、はい!」


女性は武器として持っていた棒でわたしたちに指示をすると、その棒をシュッと短く縮め腰につけたベルトの道具入れにサッとしまった。


女性「こっちの背の高いやつ運んでくれ、引きずってもかまわねーから」

少女「わ、わかりました、」

女性「よし、おまえら行くぞ!今から3人は仲間だ!」


何が起こったのか、これから何が起こるのか頭が追い付かない状態だったが、とりあえずこの人の言うことを聞いた方が身のためだと思った。

言われた通りにわたしたち3人はそれぞれ人さらいを背負い、女性を先導に闇夜の道を歩いていく、

初めて言われた仲間という言葉に、少し心が揺れ動いた、


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