2-6 ナンテンの花
二人の話がまとまり事務的な話をしていると、ドアが開き人が入ってきた、
ルクリア「よう!リンドウさん!今日の獲物持ってきたぜ~!、表のやつ保安隊の車じゃねーか、珍しいな、誰かがかっぱらって売りに来たのか?」
ナンテン「?」
ルクリア「うおっ!?!?!?」
ルクリアは縄で縛った男を引きずって中に入ってくるが、まさか本物の保安隊がいるとは思わず一瞬ビクッとなって顔を背けた、
ルクリア「!!!(なんで保安隊がいんだよ!顔見られたよな?)」
ナンテン「あーーー!!!」
ナンテンは急に大きな声を上げるとルクリアの方へずいずいと近寄ってくる、
ルクリア「!!?(賞金首ってバレたか、どうする?ぶっ倒すか?)」
ルクリアは身構えて戦う体制をとるが、ナンテンはルクリアの連れて来た男の方に近づいて顔をまじまじと見つめる、
ナンテン「これ、あなたが捕まえて売りに来たの?」
ルクリア「あ、ああ、そうだが・・・」
顔を背けながらも一応返事をする、
ナンテン「ねえ!こいつ、先輩達が追ってた強盗の主犯なの!これ頂戴!!!」
ルクリア「!?、ん?、な、何言ってんだお前、」
ナンテン「こいつ持ってけば先輩たち喜ぶし、仕事もだいぶ減ってみんな早く帰れるの!」
ルクリア「だ、ダメだ、私の今月の飯代なんだから・・・」
ナンテンの顔を直視できないが、何とか早くこの場を逃げ出したかった。
ナンテン「えー!いいじゃ~ん!、あっ!私が捕まえたこいつら4人と交換しない?こいつら売った分のお金全部上げるから!」
ルクリア「!?(な、何言ってんだこいつ?、保安隊じゃねーのか???)リ、リンドウさん!」
リンドウ「俺も訳が分かんねぇんだ」
ほくそ笑みながらナンテンの連れて来た男たちの簡易的な手当てをしていた。
ナンテン「ねえっ!お願い!」
ルクリア「・・・その4人って、若ぇし細ぇし人の言う事聞かなそうだし、おまけに全員大けがしてんじゃねーか、大して値段つかねーだろ、・・・それにギルド内で客同士での勝手な取引はご法度だろ?ちゃんとギルド通した売買しねーとこのギルドとしての仕事が・・・」
リンドウ「うちは構わねぇよ、二人で納得いくまで相談しな」
ルクリア「リンドウさん~!」
ナンテン「お願いっ!ごはん代欲しいなら私がごちそうするから!!!」
ナンテンは両手を合わせて頭を下げるとルクリアの前から動かなくなってしまった。
正直お金などの問題ではなく、自分を捕まえるかもしれない保安隊が目の前で訳の分からないことを言っている状態から早く解放されたかった。
ルクリア「!!!、わ、わかったよ!持ってっていいよ!」
ナンテン「!!!、いいの!?、ありがとー!!!」
ナンテンは満面の笑みでルクリアの両手を握りしめた、
ナンテン「おじさん!そういうことでこいつもらっていきますね!、それでそいつら売った分この人にあげて下さい!」
リンドウ「話はまとまったのか、いいよそれで」
ナンテン「ありがとうございます!ギルドの売り上げ下げちゃった分今度またいいの捕まえたら持ってきますから!」
リンドウ「そんな気は使わなくていいから、本当に困ったときに来なさい、日常的に来るようにはならなくていい、」
ナンテン「!!!、わかりました、ありがとうございます!でもまた来たときはよろしくお願いしますね!」
先輩が何でこのギルドを教えてくれたのかがわかった。長い保安隊生活を送ってきた中、おそらく先輩も想像以上にいろんな経験して、良い人、悪い人、いろんな人と出会ってきたんだろうなと思った。
ナンテン「今度ごちそうするからね!またねー!」
大きく手を振りながらそう言うと、強盗犯を鎖で縛って車に詰めると、エンジン音をあげて行ってしまった。
・・・
ルクリア「おい!なんだったんだあいつは!取り締まりじゃねーよな?」
リンドウ「違うっぽいけどな、」
ルクリア「大丈夫なんだろうなぁ・・・」
リンドウ「大丈夫だろ、たぶんあいつは優秀なやつだと思うぞ。今までちょっと生き方が下手だったみたいだがな、」
リンドウは何かを思い出したように、どこか楽しそうに笑って言う。
ルクリア「リンドウさんがそう言うならなぁ・・・」
とは言うものの、今一つ不安はぬぐい切れない状況だった。
リンドウ「おまえさんと似てる気がするな」
ルクリア「えぇ?どこがだよ・・・」
・・・
・・・
ナンテン「この前はホントありがと~!あなたがあいつをくれたおかげで先輩達に褒められたし、仕事が一つ片付いたからみんなほんの少し早く帰れたのよ」
ルクリア「そ、そうか・・・よかったな・・・」
数日後、影町の食堂では賞金首と保安隊が顔を突き合わせて食事をしていた。
ナンテン「私のおごりだから遠慮なくもっと飲んでいいよ~!」
ルクリア「酒は飲まねぇんだよ、いつ何があるかわんねぇからな、」
ナンテン「そうなの~?じゃあ私が飲んじゃうよ~」
・・・
ナンテン「でね~!でね~!ケンカの仲裁してるとね、なぜか最後には保安隊おまえらが悪いっ!って言うのよみんな~!ひっどいと思わない?それからさ~!・・・」
ナンテンはお酒が進み、自分の話から仕事の愚痴まで何もかもさらけ出しながら話し続ける、
ナンテン「いっつもそんなに食べるの~?」
ルクリア「お前のおごりだから3日分食いだめしてんだよ」
ナンテン「いいよいいよ~!もっと食べていいよ~」
ルクリア「お前こそいっつもそんなに飲むのかよ、」
ナンテン「今日はセーブしてる方だよ~」
ルクリア「それでかよっ!」
ナンテン「ん~、ひっく、」
ルクリア「飲みすぎだぞ・・・ってかお前、私が賞金首ってもうわかってるんだろ?」
ナンテン「うん!最初に会った時からわかってたよ~!ルクリアさんでしょ?賞金首リストにあったもん、賞金500万、罪状は人さらい常習犯って、」
ルクリア「わかってて捕まえに来たんじゃないのか?」
ナンテン「ん~ん~、だって保安隊って賞金首捕まえても賞金もらえないことになってるし~、うちの管轄で追っかけてる訳じゃないし~、」
ルクリア「私が言うことじゃないが、保安隊としていいのかそれで?」
ナンテン「ルーちゃーん!またいいの捕まえたら私にちょうら~い!わらひが賞金首とかもみ消されるやつとか捕まえたら全部あげるから~!」
ルクリア「わ、わかった!わかったから離れろっ!」
ナンテン「えへへ~」
ルクリア「っつか、その鎖降ろせよ!こえ~な!」
ナンテン「これ私のお守りにするの~、ひっく、」
だいぶ酒が入っているので本当なのか冗談なのか疑わしいが、会った時から全く敵意を感じないので、とりあえずその感覚を信じてみることにした。
・・・
アザミ「ナンテンさんも大変だったんですね・・・」
ルクリア「ルールだらけの世界で生きてるからな、」
アザミ「だからそんなに強くなれるんですね、」
ルクリア「あと今でもスイッチ入ると周りの声とか聞こえなくなるくらいキレるから気を付けろよ!」
アザミ「え・・・は、はいっ!」
笑いながら怖い事を言っているのに思わず返事をしてしまった、
初めてナンテンさんを見たときは、子供のころからちゃんとした生活を送ってきて、ちゃんとした仕事について、生き方の教科書のような人かと思った、
しかし実際は、楽しい事辛い事、いろんなことを経験してきたのだろう・・・、
ルクリアさんも過去にいろいろあって今こうしているんだろうなと思ったが、まだ聞こうとは思わなかった、
もしルクリアさんの過去が尊敬できないようなものだったら、今のわたしの唯一の希望が壊れてしまうのをどこかで恐れていたのだろう、




