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呪われた貴方を佑ける方法  作者: 槻 みことӪ
第一章 アウラ島脱出編
16/25

アーク港

クラース村と、アーク港との中間地点で

リルントさん率いるリベラル軍との合流を果たし

一行はまた、アーク港へと移動を開始した。


クラース族を囲う様に、クラースの戦士団が

そしてその戦士団を更に囲う様に

リベラル軍が配置される。


本当はもう周囲への警戒はこちらに任せて

もう少し気を休ませて欲しいと、リルントさんは配慮してくれたみたいだけど

クラース族を守るのは戦士団の義務だと、兄様も他の戦士団も

普段と変わらぬ形態を維持していた。


変わらず最後尾にリルントさんがつき

リベラル軍の副団長である、アモルさんという方が

スフェンと一緒に先頭を務めているのだそう


言葉で紹介を受けただけで、まだどんな人かは分からないけれど

スフェン以外にも先頭を守ってくれる人がいる事は、ありがたく思う


そして、アーク港に着いたのは

夕暮れに差し掛かる頃だった。


『わあ⋯』


港門の向こうに見える水平線

鮮やかな橙色の太陽が、まるで海に呑み込まれるように

どんどんと姿を消していく。

海にも反射して、半分はもう沈んでしまっているのに

まだそこに、まん丸とした姿がある様に見えた。


「海!海だ!」

「お母さん、お日様がキラキラしてる!」


子ども達がはしゃぐ声がする

私は兄様とアーク港に何回か来たことがあるが

来たことがない民もいれば、きっと子ども達の中には

海も見たことがない子もいるのだろう

はしゃいでしまう気持ちは、何だか理解出来る。


「静かに⋯」


リルントさんははしゃぐ子どもの親にそう言いながら、隊の中腹部にまで移動し、兄様の横に屈んだ。

アーク港に着いた、と言っても

まだ港内に入ったわけではなく、足を踏み入れてはいない。

目的地に着いても尚、慎重に行動するには訳があった。


それは、中間地点を出発する前のこと⋯

リルントさんは、私達に一つの話と謝罪をした。


シャロア様の予言通り、確かにこのアーク港には

かなりの数の、あの黒い軍勢が着港していたそうなのだが

村と戦士団に来た黒い兵はほんの僅か

ただリルントさん達によると、リベラル軍を待ち伏せて襲った別動隊もいたらしい。

それでも着港していた数に満たないみたいだけど⋯


それと本来、クラース族が襲撃に合う前に村に到着する予定だったが

想像以上の兵数に押され、救出が間に合わなかったという話だった。


何故クラース族が襲われることが分かっていたのか、隣の大陸のリベラル軍が助けに来てくれたのかなど

疑問に思うことは幾つかあったが

リルントさんはそこまでは語らなかった。


ここでリルントさんに謝られても、正直我々の悲しみと怒りがリベラル軍には向くことはなかった。

寧ろその謝罪に、居た堪れない様な変な空気になってしまっただけだった。


そしてその数の合わない、まだ姿を現していない数多くの黒い兵がアーク港で待ち伏せているのでは

というのが、リルントさん達の見解だった。


「リルント殿の予想は、半分当たりだったみたいだな」


港より少し高い、丘に登り、茂みに身を潜め

アーク港を覗きこめば、そこには黒い軍勢ではなく

イーオン帝国軍がいるのが見えた。


「ここ最近、港には行っていなかったが

完全に帝国軍の手中に収まってしまったみたいだな⋯


アウラ島にまで勢力を伸ばしているのは知っているが

これ程とは⋯」


兄様は複雑な顔でアーク港を見下ろし

タイズさんも、どこか寂しげな表情になる。


「アゲット、あそこの港門近くにある大きな船が

我々の船だ。


だが、帝国軍が包囲している上

我々が港に入れば、港門は閉じられてしまうだろう」

「ふむ⋯」

「軍を三手に分けようと思う

一つは、帝国軍の注意を引きつける囮役

もう一つは、船に皆が乗り、出るまで港門の操作を担う役

そしてもう一つは、クラース族を無事船に乗せる役だ


どれも簡単にとはいかないが⋯」

「⋯そうだな


では囮役は戦士団に任せてくれ

ようは派手に暴れれば良いんだろう」

「この数の帝国軍なら、リベラル軍が囮になり

戦士団は共に船に乗った方が安全ではないか?

港門なら、俺とアモルの二人で間に合うだろうが⋯」


何やら、これからの事を相談しているようで

戦士団もリベラル軍も、二人に注目していた。


「というか、イーオン帝国軍に手を出して平気なのか?

俺達はこれまで、正面衝突は避けて過ごしてきていたんだが⋯」


ここで、タイズさんが小さく挙手しながら二人に言う

兄様は確かに⋯とタイズさんに頷くが

リルントさんはにやり、と笑いながら

タイズさんや戦士団の顔を見た。


「リベラルとイーオンは、既に対立して

敵対関係にある。

今更関係を気にする事理由にならない。


我々は船を取り返して自国に帰るだけだ。

邪魔をするならぶった斬るさ


⋯それとも、大国相手に怖気付いたのか?」

「⋯ふん!

俺達だってもう戻れない所まできているんだ

邪魔をするなら徹底的にぶちのめすさ!」

「⋯そうこなくてはな」


リルントさんは、そっと笑いながら立ち上がり、

静かに腰の剣に手を置いた。


「リルント殿、俺に少し考えがある」


兄様も同じ様に立ち上がり、同じくアーク港を見下ろす。

ごにょごにょと、何かをリルントさんに伝えて

戦士団の方に振り向いた。


「クラース族の戦士団よ

派手に暴れるぞ!

溜めに溜めまくった鬱憤、ここで晴らしてやる!


俺に続け!」

「「「「「応!!!」」」」」


その兄様の掛け声と共に、戦士団の皆は

一足先に、アーク港へと走って行くのだった。

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