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呪われた貴方を佑ける方法  作者: 槻 みことӪ
第一章 アウラ島脱出編
13/25

駕籠

『わあ⋯』


移動を開始する頃、私は目の前の風景に圧倒される。

それはシャロア様が駕籠に乗って、運ばれている姿だった。


大きな一本の太い木に、縄と分厚い布が引っ掛けられて、その布の上に腰掛けている。

安定性があるところを見ると、背中と、そのお尻が面している部分にも木の板が入って、椅子の様になっているのだろう

宙ぶらになった脚から、靴が脱げて落ちてはいけないと

その駕籠を持つ聖職者(サケルドース)の一人が、靴を預かり

泥が跳ねるかもしれない、と綺麗な布を足に巻かれていて、巫女様のその丁重な扱われぶりを

タイズさんと呆然と見つめた。


『⋯いつこんな物を?』

「出立前に、聖職者で集まって何かの準備をしているのは見たが

まさかシャロア様を運ぶ駕籠だったとは」


タイズさんもさすがに驚いている様子だった。

それに、他の聖職者達はやけに荷物が多い様に見える

他の村人は、食料を中心に衣服や家宝なども持っているようだが⋯


『すごい荷物⋯』

「祭事に使った道具⋯にしては小さいな」


聖職者の人は、一体何を持っているのだろうか

ただの村娘の私には想像できなかった。




そして、歩き始めからそれなりの距離を歩き、疲れを感じ始める頃⋯

私より前の方にいたシャロア様が、そっと私の横に移動してきた。


「疲れていそうね、大丈夫?

回復魔法を使ってあげても良いのよ」

『え!

いいえ、私は大丈夫です』


私に使うくらいなら、お年寄りの方が子ども達

あとはいつ帝国軍や魔物(モンスター)襲撃に遭うか分からない

戦士団の回復の為、温存も必要だろう


「貴女と私の仲なのだから

遠慮は必要無いのに⋯」

『⋯え、

えっと⋯』


シャロア様は困った様に笑うが

歳が近いだけで、そこまでして貰う理由もないし⋯


「巫女様、ご心配ありがとうございます

ですがメノンが疲れてしまったら、私が抱えるので大丈夫ですよ」


と、タイズさんがひょこっと私とシャロア様の間に立って

シャロア様に軽快に返事をした。


「⋯そうなのね、メノンのことが心配だったのだけれど

大丈夫そうなら、良かったわ」


シャロア様はにこっ、と笑い、前方へと戻って行く

うろうろしないように、とアゲット兄様の注意する声が聞こえるが

シャロア様は貴女の妹が心配で、と言うと

アゲット兄様は後ろ姿でも分かるくらい、機嫌が良くなって、生えていないはずの尻尾をぶんぶんと振った。


『シャロア様って、こんな時でも周囲の気遣いも欠かさず⋯

凄いですね』

「ああ、そうだな」


尻尾ぶんぶんな兄様は、チラッと私の方を振り向いて

にこにこと笑って

おーい!と手を振った。


「わお⋯相変わらずだな」

『あはは⋯』


私は兄様に手を振り、兄様がまた前を向いたのを確認すると

少しずつ歩く速度を遅めて後ろに下がる。


「ん? どうしたんだ、疲れたのか?」

『あ、いえ⋯』


私を不思議そうに見るタイズさんに

ずっと言い難かったが、いっそ言ってしまおうかなと悩む


『⋯その、やっぱり私は後ろに下がらせてくださいませんか?』

「いや、駄目だな」

『え!』


り、理由も聞かれず断られるとは⋯


「絶対に俺から離れないようにって言ったろ?

それに、アゲットにも怒られるし⋯」

『シャロア様は兄様が専属護衛で

私にはタイズさんが専属護衛だなんて、どうしても大袈裟に感じてしまうんです

居た堪れないというか⋯』

「ふむ⋯そんな事を考えずともメノンは⋯


お、そうだった!

もしメノンと離れそうになったら、と

アゲットからこんな物を預かってきたんだ」

『へ?』


タイズさんは懐をごそごそし、縄を取り出すと

そりゃ!と互いの腰を結んだ。


『わわっ!』

「よし、これで離れられないだろう!

何故そんなにも遠慮するのか分からないが、大人しく俺に護衛されていなさい」


これは遠慮ではないんだけどな⋯

⋯でも、そうだよね

こんな時に、自分の都合で隊の羅列を乱すのは軽率だったし、我儘だったのかも⋯


『⋯すみませんでした』

「ん? いや⋯俺は構わないけど


何かあったのか?


アゲットから、メノンの元気が無いように見える

そういう時、メノンはそそくさと人と距離を取りたがるから、と

それで秘密兵器として、縄を預かっていたんだが⋯」

『え、兄様がそんな事を?

それに、秘密兵器に縄って⋯』


私が悩みを抱えることに気付く事には、もう驚きもしないけれど、縄って⋯

一体どういう意味で持たせたんだろう?


「他人の元気が無い、そんな時はまず相手の話を聞き、相談に乗ったりするものだが

アゲットは相手の話を聞くとか、そんなことよりも

まずは傍にいるという考えを持っているみたいだな


⋯考えはともかく、このやり方理解はできないが⋯」

『そ、そうですね

傍にいるの意味を履き違えているみたいですね⋯

変な人です』

「お前の兄なんだがな⋯

因みにアゲットは、いつも常備しているらしいぞ」

『⋯。


ええっ?』


⋯やっぱり兄様の愛情深さは普通では無いのかも⋯

そんな事を考えながら、でもまだ実際にされた事はないので

もしかしたら兄様は冗談でそういう事を言ってい

それを素直に信じ、実行しているタイズさんも、タイズさんなのでは?とか思ったり⋯。

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