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呪われた貴方を佑ける方法  作者: 槻 みことӪ
第一章 アウラ島脱出編
12/25

移動開始

「⋯ゴホン。」

『わっ!』


誰かの少し強めな咳払いが聞こえ、振り向くと

私の後ろにはリルントさんが立っていた。


「やり取りは終わったか?」

「リルント殿か」


兄様は、その鼻下が伸びた顔から、すぐに真面目な顔に戻って、リルントさんと向き合う。


「⋯メノン、移動中のメノンの護衛は俺が受け持つことになっているんだ

よろしくな」

『タイズさんが?』

「アゲットは自分がやると言って聞かなかったんだが

族長は巫女を守らないといけないからな⋯

説得には時間がかかったよ」

『そ、そうですか

シャロア様の⋯』

「だから代わりにと、アゲットはスフェンを指名したんだが

スフェンはクラース族で一番目が良いし、殺気にも敏感に反応する

だから先頭を任されているんだ。」


それで、兄様でもなくスフェンでもなく

タイズさんが請け負うことになったのね


でも⋯


『タイズさんだって、兄様の右腕で

戦士団で二番目に腕が立つじゃないですか

私一人に付きっきりなんて、勿体ないです』

「けれど、護衛を付けないわけにはいかないだろう

メノンは前族長が残してくれた、クラース族の大切な存在だというのに」

『⋯あ、あの

私は本当に大丈夫なので⋯!』

「め、メノン!?」


私は堪らない気持ちになり、その場を逃げ出す

タイズさんと、近くにいた兄様から、私を呼び掛ける声が聞こえたが

私は止まらずに、スフェンの元へと走った。



スフェンはもう既に起きていて、敷いていた毛布を畳んでくれているところだった。


「お、メノン!

アゲットと話せたみたいだな」


私が抱えている荷物が入った袋を見てそう言う


『あ⋯』


⋯そういえば、持ってきてしまった。

俺達の荷物、と言っていたし、兄様の物も入っているかも


(いや、今はいいや

移動中に話せるタイミングがあったら返そう)


私はそう思って、スフェンから畳んでもらった毛布を受け取った。


『スフェン、タイズさんに聞いたよ

移動中、隊の先頭を任されているんだって?』

「ふふ、まあな!」


スフェンは自慢気に胸を叩き、得意の武器である弓を取り出し、高く掲げた。

腰には二つの短剣も携えており、スフェンの戦闘能力の高さと、その器用さを窺える。


「じゃあ、あたしはもう行くよ

メノンはきっと、隊の真ん中あたりだろ?

何か不便があったら、あたしを呼ぶんだぞー!」


そう言ってスフェンは外套を羽織り、軽快に走って行く。

私は手を振り見送って、出立のその時を待った。


(隊の中央⋯

位置まで決められているのか)


そうだよね、兄様はぞろぞろと動きに統一なく移動するのは危険と判断して

リルントさんと話し合ったんだろう。


先頭はもちろん、一番危険で一番重要

二番目に危険なのは後方

何かの追撃を受けやすい


真ん中は⋯比較的安全

もし隊を二分するのが目的の敵がいれば、真っ先に狙われるとは思う

シャロア様もきっと中央だから、心配するような事は起きないだろうけど⋯。


それに兄様も隊の中央にいる

シャロア様の護衛を行う一方で、シャロア様から離れられないのなら、逆に私を近くに配置して

様子を見守ろうと考えていると思う。

そこにタイズさんもつくというなら、後方は手薄になってしまうので

リルントさんが引き受けているか、戦士団を多めに固めているのだろう


(⋯後でこっそり、後方に移動しよう

私がシャロア様と同等の扱いなんて

身に余る待遇だ⋯)


そう考えていると、兄様から出立をする声が聞こえ

周りの人達が、村の出入口へと向かって行く。


私も荷物を抱え直し、今一度忘れ物が無いかも確認して

隊を編成し始めている皆の元へと向かうのだった。





フェルンを先頭に、クラース族は順番に並ぶ

先頭、後方は戦士団を多めに配置し

前衛で動きやすい戦士、戦士の補助を担う槍兵、魔法兵、弓兵の順番で並ぶ

中央には聖職者(サケルドース)、シャロア様、族長である兄様、タイズさんと

陣営には抜かりがない。


そして⋯


「リベラルの兵とも少ししたら落ち合う予定だ」


クラース村とアーク港の中間地点辺りで

リルントさんの仲間が待機しているので、合流予定とのこと。

リルントさんしか見かけなかったので、単身で来たのかと思っていたが⋯


「そうしたらリベラルの兵が、更にクラース族を囲み

アーク港まで護衛をする


港に近付けば近付くほど、イーオン帝国軍に会う可能性は高くなるからな⋯


港には、船を一隻用意している

クラース族全員と、リベラルの兵合わせても乗れる程の大きな船だ」


リルントさんはそう言って、私達の後方についた。


「そのリベラルの兵と落ち合う場所で、少し休憩を設ける予定だが

アーク港まで半日以上はかかる距離だ


体調が悪い者がいたら、周囲の者と助け合い

それでも厳しい状態の者がいたら、すぐ近くの戦士団に教えてくれ


それでは、アーク港に向けて出発するぞ!」

「「「「「応!!」」」」」



アゲット兄様の掛け声に、一致団結して

とうとう、ついに⋯私達はクラース村を出発した。

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