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呪われた貴方を佑ける方法  作者: 槻 みことӪ
第一章 アウラ島脱出編
1/25

夢から醒めて

いつも、同じ夢を観る。


黒い煙の様なものを、口から濛々と出す兵隊

まるで天上から、糸で操られている様に力無く動いて

けれど時折、確かな意志があるかの様に、生き物と大して変わらぬ動きも見せる

そしてその握っている剣で、周囲を無造作に切りつけるのだ。


容姿も、夢だけれど繰り返し見ればしっかり覚えているもので、全身に黒い甲冑を纏っている

全身覆われている所為で、その甲冑の中の姿までは分からない。

兜の目の部分の隙間からは二つの薄く赤い光を放ち、その兜から、涙の様なものを流している。

何が悲しいのだろうか、何が苦しいのだろうか

それでも、周囲を斬り裂くことを止めず、ただ行軍するだけ。


そしていつもその兵隊達が向かう先には、城壁に囲まれた美しい国があるのだ。












『⋯⋯あ』


それは喉かな初春の、降り続いた雪が完全に溶け消える頃、防寒用の海豹(あざらし)の衣を羽織らずとも外に出られるようになったので

今日は森に、山菜を採りに出掛けていた。

昼間というのもあり、陽光がポカポカと野を照らすので、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

そして、いつもの夢を観たのだが⋯


いつ見ても、不気味で怖い夢だ。

(おびただ)しい数の真っ黒な軍勢が、美しい緑と城壁に囲まれた国へと攻め込む

そこには確かな意思は見られず、戦いのことはよく知らないけれど、国を攻めるのだから、指揮官がいたり、攻める為に策を興じたりするかと思えば

何を目的としているのか分からず、数だけ頼りに攻めるのだ。



(何故、そんな夢を繰り返し観るのだろうか⋯)


今となっては、慣れてしまったので

自分の内側の、何かに対する不安などが映像となって、頭に流れているのだと思うようにはしているのだが

どうも現実味があるというか、嫌な胸騒ぎに近いものを毎回感じてしまう


私は生まれた時からこの小さな島の、小さな村で暮らしていて

甲冑姿だとか、城壁がある建物だとか、話を聞いただけで見たことないものばかりなのに、こんなにもはっきりと想像など出来るものなのだろうか

考えても仕方の無いことだと思っていても、やはり見てしまった後では、つい考え込んでしまうのだ。




(⋯さて、私もそろそろ帰らないと。)


普段は村の人と数人で採集に来るのだが、春先の昼間はあまり魔物は出てこないのと、今晩はクラース族にとって一番大事な催しである謝肉祭(カルネヴァーレ)があって、その準備がある為、皆は先に帰ってしまった。


私は一度採集に出たら、籠いっぱいまでは帰りたくないので、一人残り続ける事にし

お昼寝はしてしまったけれど、そろそろ籠がいっぱいになるので、村に戻ることにする。


謝肉祭(カルネヴァーレ)とは、クラース族の暮らしは森の恵みあってこそ

狩りでは主に鹿や猪、そして山菜やきのこ等を採集して暮らしている。

春が訪れるその前に、一年間飢えることなく暮らしてこれたことに対する感謝と

そして、またこれから一年間、不作なく暮らしていけることを願って行う。


その謝肉祭(カルネヴァーレ)の準備の為、村の男達は三日前程から狩りに出掛けており

村に残った高齢の方、女、子ども達は野原や山へ山菜採りに行ったり、食卓の準備をするのだ。




ここで忘れてはいけないのが、聖職者(サケルドース)の存在だ。

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