表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/61

(5)

 店を出てもまだドキドキは収まらない。緊張も相まってか、のどが渇く。どこかに自動販売機はないだろうか?あたりを探してみるが、見当たらない。困ったな…店の中で水でも飲めば良かった。

「う~ん…自販機とかはこの辺りにはないと思いますね。」

「わ?!そ、そうだよね」

「あ、そうだ!猫カフェとか行きますか?」

「猫カフェ…行く?」

「あは、そんなに硬くならなくても大丈夫ですよ?」

 うん、別にそうなんだけども。食べさせあうのは破壊力がすごくて…。自販機がないって言うなら、猫カフェに行くか。アトラクションを乗るために来たわけでもないし。こういうデートもいいのかな。

「はい!良いですよ、私もこういうのは好きですし!」

「そう?」

「では、行きましょうか!」

 二人で並んで歩いていく。猫カフェは飲食店街より少しだけ離れた場所にあった。自然に囲まれた中に一軒だけロッジみたいな木造の建物がある。ここだけ別空間というか、隔離されているかのような印象を受けた。

 中に入ると、様々な猫が居る。あ、なんだっけ?エキゾチックショートヘア?色々な所で見るけど…結構可愛い。他は…分からない。なんだろう?

 カウンターでメロンソーダフロートを注文して席に座る。ワンドリンク無制限らしい。外から見ただけでは分からなかったけれど、中に入るとかなり大きい。席数は100席を超えているとか。

「おぉ…なんて種類なんだろうか?」

「この子は、メインクーンですね、他には…」

 ロシアンブルー、ピクシーボブ、マンチカン、シャム…え?これ全部オーナーが家族として迎えた子たち…?多すぎない?他に犬もいるんでしょ?ここだけで猫の別荘みたいになってるけど?

「すごいですよね!まぁ、猫は好きではないですけど」

「あ…ごめんね?というか、なんで苦手?なの?」

「ああ、私が猫だった時ありましたよね?あの時に色々あったんですよ…」

 笑夢はいつもの表情を崩して、苦い顔をする。野良猫に喧嘩を売られたり、求愛されたり…主に求愛がしつこかったらしい。動物だから仕方無いよ。しかも野良猫だからね、生きるのに精一杯なんだよ。

「あ、良かったの?ここ、猫カフェだけど」

「はい、別に今は特に何も感じないですよ?」

「分かった」

「肇さんのデレてる表情も見れますからね」

「うぇ?!俺そんな顔してる?」

 自分の顔を触り、頬を両手で上に引き延ばす。動物ってなんて可愛いだろう、とかはいつも思っているけど…緩んだ表情をしていたとは。笑夢は残念そうに「言わなければ良かったです」と呟いていた。

 周りを見渡して気づいたけど…猫に囲まれている?!なんで?俺らから何かが出ているのか?猫に好かれる何かが。天使効果か?笑夢をちらっと見ると、笑夢は首を横に振って「そんな効果はありませんよ」と言った。

「じゃあ、何だろ?」

「肇さんの人柄に惹かれて、じゃないですか?」

「え?結構怖がられるけど?」

「飼い猫じゃないでしょ?野良猫は警戒して当然ですよ?」

「そっか、飼い猫は触ったことないな」

「いつか触れますよ、きっと…そろそろでしょうね!」

「うん?そうかな?」

「私がそうできるように導きますから」

 恥ずかしくなって何も喋れなくなってしまった。すると、店員が飲み物を運んできてくれる。受け取って、飲み物をすぐに飲む。はぁ…生き返る。甘さがあるから、疲れが取れるな~。

 膝の上に乗ってきたメインクーンを撫でながら飲み物を飲む。今までだったらこんな事は出来なかっただろうな。怖がられるから店にも入らなかったし。笑夢が居てくれるからこそかな。

「照れますね、そんな。」

「そうだった…慣れないな」

「これから徐々に慣れていきますよ!」

「だといいけどね」

「思ってる事をすべて見られるのは恥ずかしいですか?」

「そりゃもちろん?だって、生きてきて十数年、心を読まれる経験なんてここ数日の事だからね?」

「私たちには当たり前なんですけどね」

 文化の違いだ…。ていうか、天使同士だとどういう会話になるんだ?そもそも会話しなかったりして。

「しますよ?でも、あんまりないかもしれないですね?」

「え?!そうなの?」

「はい、思ったことすべて読まれるので、飾る必要がないですからね」

「わぁ…怖い」

「そうですか?皆ほんわかしているので…黒い事も考えないですし!」

「へぇ、居心地が良さそうだね」

「そうかもしれないですね、人間界と比べるとかなり過ごしやすいですよ?」

「う、うん。なんて答えればいいか分からないや」

 もしかして…人間界ってそんなにやばいところなのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ