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 いよいよ週末、初デートの日。いつも通りの服装しかないけど、一応服装を整える。笑夢は「少し待っていてください」と言って、もう一つの部屋に行った。待ち時間とか、ドキドキするしそわそわするし、落ち着かない。

 落ち着け…俺。人という字を三回手のひらに書いて、飲み込むんだ!いざ、実践してみると、全く効果は出ない。ていうか、なんでこれ人を書くと落ち着くって言われてるんだ?何かあるんだろうな。

「お待たせしました!どうですか?」

 現れた笑夢はいつもとは違う服装をしていた。薄桃色の長袖ブラウスに、薄紫色のひらひらしたロングスカート。清楚感があり、どこか大人びているような印象を受ける服装をしていて、髪の色もブロンドではなく黒色になっていた。

「い、いいんじゃない?」

「それだけ…ですか?」

 笑夢は潤んだ瞳をこちらに向けてもっと褒めてもらおうと待っている。ちょっと待って…今言葉に出来ない。緊張と綺麗のダブルパンチは心に刺さりまくりです…。ど、ど、どうしよう?!

「ふふふ…そんなに緊張しますか?」

「そりゃ…もちろん…。」

「嬉しいですね!では…行きましょう?」

 笑夢は玄関で靴を履き替えて俺に向かって手を差し出す。手を…繋ぐって?ちょっと、もう頭が真っ白で…。一応笑夢に応えるために手を取る。う…心臓が飛び出しそう。そこから先は覚えていない。気づいたら目の前にテーマパークがあった。

 調べてはいたけどさ…わんわん王国って名前、どこかで聞いたことあるような名前してる。一応、様々な犬種をモチーフにしたキャラクターがお出迎え!とは書いてあったんだけど、どうなんだろう?

「ふふ、いいですね!犬は大好きですよ、従順なので」

「笑夢…怖いよ?」

「そうですか?でも、甘えてくるし、何してても可愛いですよね?」

「まぁ…同意はするよ」

 二人分の入場料を払って、入園する。少し歩いて園内の案内板を見る。ジェットコースターや観覧車、ゴーカートやバイキング。アトラクションも充実していて、飲食店も多く入っているらしい。

 え、待って。わんわん王国の中に猫カフェが入ってるんだけど…そこは犬カフェじゃない?ここのオーナーはどっちも好きなのかな?それにしてもじゃない?そんなことを考えていると後ろからつんつんと肩を突かれた。

「あ、しっけ君ですよ!」

「あ、知ってるの…え?湿気君?」

「柴犬のしっけ君です!可愛いですね~!」

 しばけんでしっけ君?なんか…申し訳ないんだけど湿気てそう。ネーミングセンスが良くないんじゃないかな?もうちょっと…あったでしょ。待って、顔は凄く可愛いな!愛くるしい目がたれ目みたいになってて口が短い。キャラクターという事もあってか、顔は大きい。

「うん、可愛いね」

「あ、あっちにはなーが君が居ます!」

「え?蛇の神様…?」

「違いますよ!ボルゾイをモチーフにしたなーが君です!」

 手を引っ張られてぐいぐい近づいていく。ボルゾイ…?うわ?!顔が長い!!なんでこの子だけキャラクターって言うかリアルなの?!こ、怖いって!もうちょっと何とかなるでしょ!!もしかして…顔が長いから、なーが君?失礼だろ!!

「というか、ここの存在知ってた?」

「はい!何回か来ています!好きな人と一緒に来ることができるなんて…嬉しいですね!」

 喜んでもらえているなら…いっか。お、あっちにも…あ!ダックスフンド?俺でもわかるぞ!名前はどんな感じなんだろうな?ダックス君とかかな?安直かな?フンド君はちょっとなんかしっくりこないし。

「あ、ダック君ですよ?」

「アヒルになってるじゃん?!」

「あはは!そうですね、わんわん王国はネーミングセンスで有名ですから!」

「え、これ有名になっちゃったの?!」

「はい、そうですよ?」

「あぁ…そうかぁ。」

 皆…強く生きるんだぞ。あれ、向こうにも居るな…?え、なんか今までの子たちより力が入ってる!ん…?可愛く美化されすぎてなんの犬種なのか分からないな…顔が小さくて、目がウルウルしてて、口が短い…?

「チワワのうるる君ですね!この子が一番人気ですよ?」

「でしょうね…こんなに力入ってるし、何?オーナーは猫とチワワが好きなのかな?」

「確か…家族として迎えているはずですね?猫カフェにはオーナーの猫ちゃんしかいないですし」

 贔屓だ…贔屓されてる。さっきさりげなく調べたけど、ボルゾイだって細長くてシュっとしてて、かっこいいと可愛いを兼ね備えていたぞ?柴犬も可愛いし…ダックスフンドも短い手足と長い胴体がめっちゃ可愛いじゃないか!

「肇さん犬好きでしたっけ?」

「うん?動物が好きだけど、こんなに種類が居るとは思わなかったな。特にボルゾイとか初めて知ったかも」

「ボルゾイは、優雅で争いを好まないとされているロシア原産の大型犬です」

「わぁ…辞書みたいだ」

「長い絹のような被毛は寒い地域で暮らすための物です、大体25キロ~45キロぐらいまで成長して…」

「うん、ありがとう」

「更に、所作にも気品がありまして、独立心旺盛で忠実…」

 ごめん、そこまで聞いてもイメージが湧かないや。止めても喋り続けてるから…喋ってもらおう。きっと話したいんだ、うん、そうに違いない。あ、でも初めて知識が豊富な所を見ることができたのかもな。

「以上です、分かりましたか?」

「う、うん」

 数十分間止まらず話続けていた。ボルゾイだけでなく、ダックスフンドやチワワ、柴犬の事まで話してくれた。まさか、わんわん王国の事まで話してくれるとは…。笑夢は完全に歩く辞書になっていた。

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