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(3)

 笑夢とお土産を見ながら町を歩く。手はずっと繋いだままで。勢いで神に任せてしまったんだけど…どうなんだろうか。

 「そうですよ、どうなんですか?」

 「え?どう…とは?」

 「私は別にいつでもいいんし、タイミングなんていいんです!」

 「そ、そうなの?」

 「ただ、普通に言葉で言ってくれるだけでも…。」

 そうか、そういえば。色々行動で示そう、と思ってばかりで言葉にすることもなかった。あんなに真剣に好きかどうかを考えていたはずなのに、気づけば違う形に固執してしまったのかもしれない。

 「本当に、好きだよ。いつもありがとう」

 面と向かって言うのは…ちょっと恥ずかしいけど。それでも、今思っている言葉を口にすればいい。

 「そ、そうですか?!嬉しいです!私も好きですよ!」

 形に固執しなければ、こんなにも二人が満たされる。俺は…笑夢を満たしてあげられればそれでいいんだ。

 “やれば出来るではないか!良い物を見た!宴だ!”

 いつもしてるじゃないか。宴ってなんの宴なんだよ?!……?待てよ。一人で見ているわけではない…?

 “む?複数人いるぞ?今この場に居るのは…ざっと千人程か?”

 そんなに視聴者が居たのか?!ちょっと、有名なテレビ番組じゃないんだぞ?!人の恋愛をなんだと思っているんだ…!

 “だから、楽しんでいる、と言っているだろう?”

 「肇さん、神が楽しんでいるのは応援している数と言う事になりますよ」

 「と、言うと?」

 「数千人が私達を応援してくれて、祝福してくれているという事です」

 「なんだろう…加護的な感じって事?」

 「そうですね!本来であれば、嬉しい事ですが…流石に私も恥ずかしいですかね」

 二人で顔を見あって照れる。照れている笑夢を見ていると、いとおしく思えてくる。往来がなくなった事を確認して、笑夢にハグをしてキスをした。

 “宴だ宴だ!!”

 神たちは騒ぎ過ぎているが、俺の心臓の音の方が騒がしい。初めてのキスが修学旅行…か。いい思い出になりそうだ。

 笑夢は固まって動かなくなってしまった。俺も…しばらく笑夢の顔を見れそうにないや。顔をそらして、来た道の方を振り返ると、見慣れた三人組がわなわな震えていた。

 「は、じめ。お、おま、おまえ?!」

 「な、なに?」

 「ごま、ごまか、せ…」

 「ゴマ?持ってないな…ごめん」

 「ごまかせると思うなよ?!」

 「わぁ…うちは笑夢君とくっつくと思ってたのに!」

 「あら、おめでとうございますわ」

 う~ん…同一人物ではあるんだけど。なんというか…もう説明しない!ていうか…ごまかす…ごまかす…。決定的な瞬間を見られているから…無理だ!諦めよう…。

 「肇!お前の彼女…なのか?!」

 「うん?そうだね」

 「もしかして家にあったおしゃれな置物とかは…」

 「彼女が置いてくれた」

 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 智一は頭を抱えて走り去った。智一…ごめん。別に隠すつもりはなかったんだ。彼女が居るってことを。ただ、タイミングが、な?

 「うちは驚かないよ?ただ…笑夢君が…」

 「大丈夫ですよ、彼は女性が好きですから」

 「そうなの?!残念だよ~…。」

 「性別がどうとかは関係ないですわね!強いて言えば、当人同士が好きならですわ。」

 「うん?ごめんけど…何回も言うけど俺は女性が恋愛対象です…。」

 見られてしまったのは仕方ない事だ。この後の智一のフォローをどうするか考えないと…。でも、祝福してくれると思ったんだけどなぁ…。逃げられちゃったよ。

 「大丈夫だよ!うちがフォローしておく!」

 「本当に…?」

 「彼女が出来なくても、彼氏は出来るかもって!」

 「それは…それで。」

 「じゃあ、どうしよう?いつかきっといい女性が現れるよ?」

 追い打ちにならないだろうか。ルトは私は付き合わないけど、みたいなことを言ってる感じに聞こえないだろうか。それはそれで…傷口に塩を塗りこまれている気がする。

 「そっとしておけば大丈夫だと思う。」

 「本当に?」

 「そうですわね、何も言わない方がわたくしもよろしいかと思いますわ?」

 「智一は立ち直れると思う、と言うか、ツッコみ待ちな可能性もある」

 ギャグ体質で居てくれて助かるよ…。今度何か返してあげるから…本当に。唯一の同学年の親友よ。

 「先を越されてしまいましたわね…」

 「え?あの人を知ってるの?」

 「ええ、知人ですわよ?」

 「どんな人なの?」

 「機械的で、感情が無さそう…何を考えているか分からない」

 「悪口ですね?聞こえていますよ?」

 「あら、ごめんあそばせ?」

 二人がまた火花を散らしている…。良くこんな感じで今まで暮らせていたな。顔を合わせるごとに喧嘩していたんじゃ…。

 「喧嘩するほど興味を持ってませんでした」

 「そうですわね?共通の目的を持ってしまったというか、何と言うかですわね?」

 「あ~…ごめんなさい。」

 「今はどうでもいいのですけど、この方が突っかかってきますわ」

 「貴方が来るのでしょう?」

 「もう…やめて~!!とりあえず…帰ろうか」

 「もういいのですか?」

 「ああ、お土産…見せられたでしょ?」

 「そうですね、きっと喜んでますよ」

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