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 山登りを終えて宿に到着したのは、十五時ぐらい。バスの中でも、若干グロッキーだったから正確には覚えてないけど…。昨日とは違う宿に泊まることになっていて、今回の所は、部屋一つ一つに温泉がついているらしい。相当豪華な所なんだと思う。

 皆で荷物を下ろして部屋でのんびりくつろぐ。宿の近くには、お土産を売っている、大き目な商店街があるらしい。夕飯までに戻ってくることが前提だけど、自由に見て回っていいとか。

 お土産のために、皆で話し合って別行動することにした。笑夢と俺は一緒に行動するけど。笑夢が「ちょっと待っててください」と言って、少しばかり姿を消した。数分経って戻ってくるが…女性の姿になっていた。

 「ちょっと?!大丈夫なの?!」

 「大丈夫ですよ、少しぐらい!」

 「本当かな…全員把握されてるんじゃないの?」

 「観光客に見せかけます!」

 無理があるだろ…。あの…隣を歩いているのは俺なんですけど…。顔が怖い!と言われ拒否され続けた俺だけど?

 「そこまで気にされませんよ!」

 「否定してよ…?!」

 「あはは、冗談ですよ!」

 とても楽しそうに、嬉しそうにしている笑夢を見ていると、男性の姿で一緒に回ろう、とはとても言えない。二人でこうやってデートする機会もあんまりなかったし…いっか。

 笑夢は俺の手を引いて歩いていく。ちょっと恥ずかしいな…。知り合いに見られるのは。智一とかルトが来たときにごまかしたのも…意味がなくなっちゃうかもな。

 「わ!見てください、これ!」

 「ん?どれどれ?」

 可愛い豚のキャラクターが犬の着ぐるみを被っているキーホルダー。わぁ…笑夢はこういうの好きそうだな。そもそも、犬が好きだって言ってたし。

 「可愛いのが好きだよね」

 「ええ、好きですよ!」

 「動物が動物の着ぐるみ被ってるのはいいの?」

 「どうしてです?何かおかしいですか?」

 「なんていうの?パーカーにパーカーを重ねているような感じがするというか…」

 「別に可愛ければいいんじゃないですか?」

 「そ、そっか。」

 確かに、そうだよな。うん。手に持って笑顔が輝いている笑夢にそんなことを言うのは無粋だったか…。可愛ければなんでもいい、そういう事にしとこう!

 少し先に行った所で木刀が売られているのを見かける。うわぁ…これ、誰か買うんじゃないか?俺ら中高生ってこういうの好きなイメージがあるんだよなぁ。千八百円?結構手頃な価格なんだな。

「肇さんもこういうのがお好きですか?」

 「いや、何故買ってしまうんだろうな?って考えてただけなんだけど…」

 「かなり古くからお土産として売られていたはずですけど、買う心理は…“かっこいい”からでしょうか?」

 「そうだよね~。」

 「大人になったら、お菓子とかお酒が人気になると思いますね」

 「サービスエリアとかで売ってるもんね」

 「旅行先に行った証になるようなご当地名物が売られていますからね!」

 そういえば…神が言ってたけど、お土産は“イチャイチャ”しているシーンと言うのは…達成されたのだろうか。手を繋いで旅行している感じ…うん、これはイチャイチャだ!

 “そんなわけなかろう!もっと見せるのだ、小僧”

 どこでも現れるのか?!どこだ?!どこに着いてきている?!カバンか、カバンなのか?!それとも、天界か?!

 “そんなことはどうでもいい、キスぐらいせんかい!”

 厄介おやじみたいになってるんだけど…。さては…また飲んでるな?酒のつまみに俺らを監視しているな?!

 “………”

 「そうですね、これは飲んでますね」

 「あの神…常に飲んだくれて大丈夫なの?」

 「あの方は信仰の対象になる程のお方ですから、大丈夫でしょうね」

 「もしかして…いろいろお供えされてる?」

 「あの方のお供えは基本小説ですよ?」

 「そんなわけあるかい?!神がそれでいいのか?!」

 「喜ばれる、と噂を流しておきましたので!」

 グルだったのか。天使を使ってまで小説読むの?なんでも出来そうなのに…供えられてしか読めないのかな?

 キス…ね。笑夢の唇に視線を移す。意識すればするほど、恥ずかしい…。余計な事をしてくれたな、神よ。

 「ポッキーゲームとかすれば簡単になりそうですね?」

 「それはそれで違くない?!」

 「そうでしょうか?」

 「何、あれって罰ゲームみたいな感じのイメージがあるんだけど?」

 「考え方は人それぞれですよ?」

 それは、そうか。恥ずかしさを軽減できるのか?顔がどんどん近づいてくるわけで…いや、普通に恥ずかしいって。待てよ…意気地のない俺でも、えい!とやれば出来る…か?そんなのでファーストキスをするのは…なんか違うような…う~ん…。

 「悩むだけだ、これは。」

 「そうですかね?そういうものですか?」

 「初めては大事じゃない?」

 「雰囲気にこだわりたい、と?」

 「そうだね、ロマンチックに…」

 ロマンチックってなんだ?!こういう時だけ助けてくれないか?!小説いっぱい読んでるんだろ?!神…ロマンチックな雰囲気づくりを手伝って。

 “小僧、お前が見せられるなら手伝ってもいいぞ?”

 でも、見たいんでしょ?キス。俺がキスに囚われたのは…あなたが原因なんで。よろしくお願いします!

 “神使いが荒いもんだな。”

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